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不承転生者の魔法学園生活  作者: ウバ クロネ
【第2章】目指せ! オフィーリア魔法学園本校
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2−3 軽々しい奇遇

 これまた、変な奴が出てきたな。しかも、微妙に名前の響きが似ているのが……何とも、残念な気分だ。

 そんな事を考えながら、ミアレットは目の前の女子生徒をどうやって追い払おうか、思いあぐねていた。彼女の存在はエルシャの精神衛生的にもよろしくないようだし、何より……大切な作戦会議の邪魔をしないでほしいのだが。


「すみません、見て分かりません? 私はエルシャと組むことが決まっているんで……」

「でも、正式申請はまだのはずでしょ⁉︎ 今からでも遅くないわ!」


 既にペアも決まっていることを伝えてみても、どこか焦りさえ感じさせる熱心さで、アンジェレットがミアレットに言い募る。しかしながら、ミアレットは彼女の熱心さに、明け透けな打算も見越しては……もうもう、ため息しか出ない。


「……何がどう、今からでも遅くないんすかね……?」


 確かに、ペアの正式申請の受付は始まっていない。特別カリキュラムを受けてみてから、ペアの交代もあり得るため、最終判断はまだしなくていい事になっている。1ヶ月という期間は、ペア同士で十分に「話し合う」時間を考慮した期間であり、同時に「試行錯誤」できる余裕も見越した期間なのだ。現段階でハッキリとペアが決まっているミアレットとエルシャの方が、むしろ珍しいとするべきだろう。


「そもそも、私にアンジェレットさんと組む利点、あります?」

「もちろん、あるわよ!」

「例えば?」

「私の方が年長なんだから、色々と知ってるし! そこの落ちこぼれと違って、魔法を教えてあげる事もできるわ!」

「へぇ〜……そうなんですか? それじゃぁ……アンジェレットさん、風属性だったりします?」

「そう、そうなのよ! あなたとお揃いなんて、奇遇よね!」

「……」


 どこかで、漏れ聞こえてもいたのだろう。アンジェレットはミアレットが風属性の持ち主である事までも、知っている様子。しかし……エレメントが同じ程度の共通点で、果たして奇遇と言えるのだろうか? その程度のお揃いなら、軽々しい奇遇が大量発生する事になるのだが。


「……そんなんだから、前回の試験も落選したんじゃないんですか?」

「はぁっ⁉︎ それ、どういう意味よ⁉︎」

「試験の内容が分からないから、まだなんとも言えませんけど。先生の説明を聞いていても、試験の選考基準は魔法をただ使うだけじゃなくて、どんな風に使うかが重要なんだと思います。そんな中で、同じエレメント同士で組んだら、作戦の幅が狭くなるじゃないですか。同じエレメントで組むのは、できれば避けた方がいいと思いますよ」


 およそ12歳の少女から出たとは思えない、ミアレットの理路整然とした語り口調に、アンジェレットがポカンと口を開けている。そんな間抜け面の彼女に、このまま一気に捲し立てればお帰りいただけるだろうかと、ミアレットはまたもキレキレモードで応戦する事に決める。


「それに……さっきから、気になっていましたけど。人様のペアに落ちこぼれだなんて、失礼にも程があるじゃないですか。そもそも、そう言うあなたは試験に落選してるんですよね? もちろん、本校登学が狭き門なのだから、落選する方が多いわけだし。それ自体は問題ないと思いますけど。でも……これ以上、大切な友達を馬鹿にするの、やめてくれません?」

「そ、それは……」

「あと、見っともない真似も控えた方がいいと思いますよ? わざわざ初等部の中庭にまで、やってきて。わざわざ下級生を見下すような発言をして。そんでもって、試験自体は下級生を頼ろうだなんて。……無様過ぎて、話にならないんですけど」


 最後は肩を竦めて、お手上げポーズをとるミアレット。片やアンジェレットは怒りでプルプルと震えつつも、相当に焦ってもいるのだろう。なおもミアレットの勧誘を諦めないのだから、なかなかにしぶとい。


「ば、馬鹿にしたことは、ちゃんと謝るわ……。それで、実は私の方もミアレットさんに教えてほしいことがあって……」

「まず、謝る相手が違います。……私じゃなくて、エルシャに謝ってください。それと、教えてほしいことがあるのなら、先生に相談した方がいいと思いますよ」

「えっと……」

「確かに、私自身は魔力適性は高い方らしいです。それに関しては、先生達からも言われているので、間違いないんじゃないかと。でも、魔力はあっても、まだまだ魔法はきちんと使いこなせていない部分も多いです。魔法に関して教えてほしい事は山ほどあるけれど、少なくともアンジェレットさんを頼る必要はないですし、逆に教えてあげられる事もないです。……何れにしても、私にはアンジェレットさんと組む理由がありません。……中等部へお帰りください」

「……!」


 ピシャリとそこまで言ってやったところで、アンジェレットもこの場は諦めたらしい。小さく「また来るわ」と言い残した時点で、ミアレットの勧誘自体は諦めていないようだが。下級生にやり込められた不格好さも相まって、やや苛立ちげに立ち去っていった。


「あぁ……なんか、面倒な事になったなぁ。もぅ……」

「ミアレット、えぇと……」

「どうしたの? エルシャ」

「その……ありがと。ミアレットには私と組む理由、ないと思うし……。それなのに、あんなにも言ってくれて……」

「いいの、いいの。それに、私にはちゃんとエルシャと組む理由、あるわよ」

「そうなの?」

「うん。だって、約束したじゃない。一緒にお兄さんを見返してやりましょう、って。それで、お兄さんを迎えに行くのも手伝うって、言ったでしょ? だったら、2人で本校に行けた方がいいに決まってるわ」

「うん……!」


 ミアレットの返事に、満面の笑みを浮かべるエルシャ。ミアレットとしては、落ち込み気味だったエルシャに笑顔が戻ったことに、安心したいところだったが。……この先1ヶ月間は、きっとこの調子なのだろう。……自分に群がる「悪い虫」のせいで、エルシャに嫌な思いをさせやしないかと、ミアレットは言いようのない不安を抱き始めていた。

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