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不承転生者の魔法学園生活  作者: ウバ クロネ
【第6.5章】イグノ君、心迷宮に潜入する
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6.5−2 チャンスは堅実にゲットするに限る

 剣か、槍か。光か、闇か。王道を選ぶなら剣の方だが、ダークヒーローっぽい槍も捨てがたい。そうして、まずは腕試しと光属性の剣・アルマスとやらを犬っぽい魔物相手に振るってみるが……。


「とりゃぁぁぁッ!」


 今、俺は……華麗に活躍している! バッサバッサと魔物を切り捨て、気持ちいいくらいに大活躍している……!


「おっ? イグノ君、なかなかに筋がいいじゃないか。その調子で、そっちの群れを頼むぞ!」

「おぅ! 任せておけ!」


 あぁ、そうだ。俺が求めていたのは、まさにこの展開だよ。

 アルマスは思ったよりも軽く、切れ味も抜群。気持ちいいくらいに、サクサクと魔物共が斬り伏せた途端に消滅していく。剣を振るったことなんてないモンだから、もうちょっと苦労するかなと思っていたけれど。俺はやっぱり天才だった! 最初から聖剣を使いこなすなんて、勇者の再来と言われちゃうに違いない!


「よっし! 俺の圧倒的華麗なる勝利!」

「お疲れ、イグノ君。アルマスとの相性も悪くないみたいだし、こっちは問題なさそうだな。そうそう。光属性の武器は闇属性の相手に、効果抜群なんだ。特に心迷宮では闇属性持ちの魔物が多いから、光属性の武器があると便利かもな」


 なるほど。こいつら、光属性に弱かったんだな。だとすれば、光属性の武器を持ち込めれば、心迷宮の攻略を有利に進められるっぽい。武器の性能も高レベルな上に、俺の腕が良すぎると来れば。冗談抜きでチート無双できるぞ、これ。


(ふむ……やっぱり、剣は王道パターンのイージーモードか。だとすると……)


 槍の方は邪道パターンのハードモードっぽいな。さて……どうする?


(ラクなチートモードを選ぶ……あぁ、いや。折角だ。槍も試してみるか)


 こういう選択肢って、大抵はハードモードの方がリターンがデカいんだよな。最初は苦労するけど、一線を越えればマジ最強! マジ神レベル! ……に化けるキャラも多いし。純粋に、槍のデザインが俺好みってのもある。


「なぁ。次は槍も試させてくれないか?」

「もちろん、いいぞ。それじゃ、次のフロアはロムルスで挑戦してみようか」


 そうして、槍も試させてくれとお願いすれば。ハーヴェンが階段を降りつつ、剣と槍を交換してくれる。……本当は「両方くれ!」って言いたいところだが。こういうイベントって、大抵は片方しか選べないようになっているんだよな。欲張ると武器はお預けパターンもあり得るかもしれない。


(ハーヴェン相手であれば、交渉の余地もあるかもしれないが。両方くれるつもりだったら、最初からそう言ってくるよな……きっと)


 うん、とりあえずは素直に従っておこう。片方をもらえるだけでも、かなりのラッキーイベントだと思うし。なんたって、俺は大人だからな。チャンスは堅実にゲットするに限る。


「……と、その前に。イグノ君、ちょっとストップ」

「えっ、どうしてだ?」

「進む前に、確認だ。最初に説明した心迷宮の傾向、覚えているか?」

「確か……このダンジョンは魔法への抵抗はないし、武器の通りも問題なし。かなり楽な攻略難易度って、言ってなかったか?」

「そうだな。でも、もう1つ……重要な内容があっただろ?」


 えーと……あぁ、そうだ。心迷宮はフロアが変わったりすると、攻略の途中で難易度が変わる事がある(法則変化と言うらしい)って言ってたな。


「もしかして、法則変化とやらがありそうなのか?」

「おっ! ちゃんと覚えていてくれたか。……その通りだよ。情報からするに、次のフロアからは難易度がグンと上がりそうだ。それでなくても、今回の心迷宮攻略は関係者抜きのハードモードだからな。かなりのゴリ押しでいかないと、漆黒霊獣まで辿り着けないかもしれない」


 確かに、そんな説明もあったな。今回の深魔はクージェの第二王妃で、帝王暗殺を企てた超悪女だったとか、なんとか。帝王についてはガルシェッド(つまりは俺!)の親戚って事くらいしか、覚えてなかったけど。どうやら、第一王妃と第二王妃にはそれぞれに皇子がいたそうで……どうも、お世継ぎ争いで揉めに揉めてたらしい。


(あぁ、その片方は魔法学園に通っていたっけ)


 そうそう、ヴァルムートって名前だったと思う。妙に偉そうな奴だったし、絡むと面倒臭そうだったから、スルーしてたけど。そのヴァルムートも行方不明になっているそうで。深魔発生に巻き込まれたかも……なーんて、第一王妃様が泣いてたな……。


「ところで、関係者抜き……って、そんなに不味いのか?」

「不味いも何も、関係者がいるかいないかで、深魔の救済率が格段に変わってくるからなぁ。……関係者がいない場合、大元の警戒心や恐怖心が増強される傾向があってさ。……特殊祓魔師が不用意に奥に踏み込もうとすると、拒否反応を起こして、心迷宮の難易度が格段に上がる傾向があるんだよ」


 でも、関係者に協力を仰ごうにも……ピッタンコな相手がいなかったもんだから、ゴリ押しコースになったんだよな。いくら帝国最強の帝王と言えど、病み上がりでは足手纏いになりかねないし。第一王妃様は仲が悪かったから、却って難易度を上げそうだし……かと言って、息子(フレアムと言うらしい)は怯え切ってて使い物にならなさそうだったし。関係者が三者三様に役立たずだったから、ハーヴェンは「最悪の状況も覚悟してくれ」と言ってたな。


「そこで……念の為、聞いておくな? この先、難易度が格段に上がるだろう。だが、ロムルスは闇属性。おそらく、アルマス程に簡単に魔物を倒せなくなる。だから、一旦はこのままアルマスを使う事をお勧めするが……どうする?」


 ちょっと待て。ここで更に槍の難易度を上げてくるのかよ。そこまで言われたら、確かに聖剣を使っていた方がいい気がするが……。


「俺はロマンを求める! 安心しろ! 槍でも大活躍してやるから!」

「あっ、そうなるか。だったら……はい。ロマン一杯なロムルスをどうぞ。……ごめんな。本当は両方とも渡してやりたいんだけど……何気に、嫁さんからの支給品だったりするもんだから。両方渡したら、怒られるかも知れないし……最悪、没収されちまう」


 なんだよ、その情けない理由……と、言いたいところだけど。……あの幼女ちゃんならやりかねない気がして、ちょっと身震いする。そうか。ハーヴェンが片方だけって言ってたのは、幼女ちゃんが怖かったからなんだな。片方だけでも怒られそうな気がするが、そこは黙っておこうか。……そんな事を言ったら、貰える物も貰えなくなりそうだし。

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― 新着の感想 ―
おおっ! この深魔はあの人が原因ですか! イグノ君とハーヴェン先生は裏でミアレットさんたちを手伝ってくれてる感じになるんですね。 そして嫁さんに尻に敷かれている発言をちょいちょいぶっこんでくるハーヴェ…
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