7 黒い霧 1
よろしくお願いします。
この日から私は、学校に通うことになった。
学校と言っても支援学校というものである。
ここで習うものと言えば、私が今までに習って来たものと殆ど変わらなかった。
私は外の世界の小学校時代、と言ってもほんの数週間前の事であるが、成績はと言えばそれほど良いとは言えないまでも、真ん中くらいではあったので、退屈な授業であったことには間違いなかった。
それなのに、施設の職員達は、私を脳なし扱いしていたことは事実であるが。
授業を終えて、私達全員が帰ってくると、施設の扉は施錠された。
私達は、再び囚われの身になった。
そのことに気付いているのは、この施設の中で、一体何人いるのだろうか。
中には喜んで、その囚われの身になったいるような子供もいた。
彼は、私よりも年上で、外の世界で言えば高校生ぐらいだったと思う。
彼は、なにかといえば私に指図してきた。
やはり、規則に沿って、という事らしい。
彼は、この施設の中で唯一、施設の職員から信頼を得ている人物だ。
彼は、職員が居ない場所では、私を怒鳴りつけることもあった。
それは、彼の作った本年度の施設の子供達の目標を真っ先に破ったことになるのだが。
彼の作った皆んなの目標、それは喧嘩をしない、であった。
然し、職員達から見れば優等生だった彼は、数ヶ月後には命を無くすことになる。
朝食の準備が整ったある日の朝、時間通りにやって来ない彼を不審に思った職員が、彼の部屋を見に行くようにと言いつけた。
職員がついて来てくれるのなら兎も角も、彼の機嫌を損ねれば私はまた怒鳴りつけられることになる。
然し、従わない訳にはいかない。
職員の命令は、たとえ世界中の陸地が海に沈んでも絶対なのだから。
私は食事の途中ではあったが、席を立ち、彼の部屋の前まで来た。
物音ひとつしていないように思える部屋の中に声を掛けるために、ゆっくりと扉を開けた。
小さなベッドの上のかけ布団には、小さな膨らみを認められたので、私はベッドに近寄り、声をかけてみた。
全く返事が無かった。
このまま帰ると職員に叱れるという恐れが私を動かし、私は静かに掛け布団を上げてみた。
ありがとうございました。