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序章
よろしくお願いします。
私は知的障害者では無い。
人が喋っている言葉は理解できているつもりだ。
ただ、土足で人の心に踏み込んでくる人の言葉は、聞こえてはいるが、ゆっくりと単なる音になっていき、私の心に届かなくなっていく。
それは最早、言葉では無く、音に変化してしまうのだ。
これは、私が幼い頃の経験がそうさせているのかもしれない。
言い訳なのかもしれない。
しかし、私が幼い頃に自分を保つために覚えた唯一つの方法なのだ。
中学校へ入る前に、両親は私を病院へ連れていき、病院の医者は、此処を紹介した。
森の中の施設。
ありがとうございました。