「ユイとの出会い」その3
「まさか殺そうとした人間を治療するなんて良心でも傷んだの?」
治療を終えると女性は薄ら笑いする。瞳が死んでる分狂気に満ちている気がする。
「そんなんじゃありません」
「なら人殺しになるのが嫌?」
女性の質問は何処か苛立ちを覚える、人を見下し他人の事を評価しない私の先輩みたいだ。
「違います」
「ふーん?なら私を殺せば良かったのに♪殺せば助かるのよ?」
私の反応が面白いのか女性はベッドに座りながら足を組む。それにしてもこの人、美人だ。
「私は・・・・」
だが女性の言葉にすぐに答えを出せなかった。これは多分・・・
「貴方は自分の意思で物事を決められないタイプでしょ?だからそんなに弱気で自分が間違っていていると分かっておきながら助けても答えられないんでしょ?」
女性の言葉に私は質された。あんな虚ろの瞳でよく観察していると悔しいが適切だ。
私は“普通”から変えたくて別になりたい夢も無く“憧れ”だからとわざわざ高い料金払ってシスターズに入ろうと学校まで通っているのにいつも私は最下位でシスターズの試験も一度も合格したことがない。
皆は希望と羨望の眼差しで学問に励んでいるのに対して私は・・・
いつかユカリちゃんと一緒にお仕事出来たらいいね!その時は絶対に私を呼んで!
親友の言葉に胸が刺さる、アスカちゃんはお嬢様なのに私なんかと一緒にいて白い目で見られてるのにそれを気にもせず私と“一緒”に笑ってくれる。
幼馴染だとしてもこんな価値の無い奴なんかさつさと縁なんか切ってしまえばいいのに本当に優しい女の子だ。
思い返すと不甲斐なく自己嫌悪が溢れる。
すると女性はそっと私の肩に手を置く。その温もりは何にも得難い感情になる。
「貴女も私と同じで無意味な事をしているのね」
女性は私の頭に手を置き優しく撫でる。
本来なら拒絶するが何故かこの女性に撫でられるのは嫌じゃない、まるで“似たような事”があったかのように身体は自然に女性に胸の中にいた。