「ユイとの出会い」その2
???
次に目を覚ますとそこは暗い部屋だった。どうやらベッドで寝かされていたらしいが問題なのは私の服が何処にも見当たらないのだ、斬られた傷を治してくれたのか包帯が巻かれているがそれ以外は何も無い。
取り敢えず掛けられた毛布で身を包みまだ痛む傷のせいで動くだけで激痛が伴うが私は一刻も早くここから抜け出そうとしていた。
「うっ………げほげほ!」
咳込んだ筈なのに押さえた手は血で覆われ直後身体がふらつく。容態が悪いのか傷はまだ痛み、視界が遠退く。逃げようとしようとする考えは潰えないがこの身体ではどうしようもない。、
それに今逃げたら本当に殺されてしまうだろう、だけどこのまま寝込むのも危険な気がする。
私は辛い体に鞭を打って迫り上がる吐血をしながら歩く度に身体をふらつかせしまいには倒れ込み意識が失いかける。
明らかに状況は最悪だ、このままあの人殺しの糧になるくらいならいっそ自害を視野に入れたが全て蹴散らされた。
「ん、起きた?」
部屋の扉が開くとそこには聞き慣れた女性の声が聴こえる。だが服装はあの時の漆黒そのものも見た目ではなく逆の真っ白で純白そのものもだった。
見慣れない服装は恐らく地球からの輸入品だろうか、とてもお淑やかな雰囲気が漂う。
「こ、来ないで!!」
だがどんなに姿形を変えようがあの時の声と生気の宿っていない瞳には騙されない。
私は咆哮のように叫ぶが全く動じず私との距離を縮める。
私は後方に下がり咄嗟に机にあるナイフを持ち出しその刃を向ける。
「刺せるの?」
だがそれでも女性は目の色変えず歩いて来る、まるでこの状況に慣れているかのようだ。
女性が私の目の前にまで接近すると私のナイフを持つ手が震えているとなんと女性はそのナイフの刃先から握ってしまった。
「あ………うあ」
刃先を握れば当然血が流れる、だが女性は全く動じずさらに強く握る。
掌から溢れる大量に流れる血がポタポタ床に流れて私の震える手は更に痙攣する。
「どう?これで満足?」
息が荒くなると女性は見透かしてたような無機質無表情でそう告げる。
どうしてわざわざ血を流す必要があるのか、そんな事しなくても私くらいなら余裕で殺せる筈なのに、良心の呵責なんか女性が持ってる筈もないだろうにどうして血を流すのか分からなかった。
私は握る力が弱まると感じた女性はそのナイフを一気に抜き取る。
女性の掌は肉の半分まで切り込みが入り私は完全に身体が震えて今にも倒れそうだった。
「ふん」
女性は血塗れのナイフを床に落とすと処置することすらなく話そうとする。
私はもう我慢出来ず震える身体で何か止血出来るものを探すと偶然にもテーブルに包帯があるのを見つけた。
私は不気味で不思議な女性をもう敵対する気など起きず女性の手を掴み応急処置を行うことにした。授業で習った分止血するにはあまり時間が掛からなかったが血が流てる分焦りが私の心臓の鼓動を大きく鳴って生きた心地が無かった。