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隣になった学年一の美少女はゲーム内では俺の部下だった。平穏に暮らしたいからバレない様にしているけど、会う度話し掛けられ困っています。  作者: サイトウ純蒼
第十章「そう、団長命令!!」

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74.拓也の告白。

 新学期になり早速拓也のクラスにやって来た美穂。隣に座るマキマキと『ギルド大戦争』連覇を祝った後、カバンからある物を取り出して拓也に言った。


「これ、ありがとうね。木下君」


 それは拓也が集めた三つのお守りであった。『一之森神社』で手に入れた「銀守り」もある。



「ううん、良かった。無事終わって、……え!?」


 そう話す拓也に美穂は満面の笑みで近付き、そして優しく頭を撫でて言った。



「本当にありがと。木下君、いっぱい頑張ってくれたんだね」


「えっ、あ、うん……」


 拓也は少し恥ずかしくなって下を向く。

 何の話をしているのか分からないマキマキ。クラスの視線が美穂と拓也に集まる中、美穂がマキマキに手にしたお守りの説明をする。理由を聞いたマキマキが納得した顔で美穂に言った。



「そっか。だからミホンさんは最終戦欠席していたんですね」


「そう言う訳。でも木下君のお陰でぜーんぶ上手く行ったんだよ」


 そう言ってお守りを大切そうに顔によせる。



「団長、大変だったんですね……」


 マキマキはどうして拓也が美穂のところに向かったのか、何となくその理由を理解した。拓也が言う。



「ううん、大したことはしていないよ。頑張ったのは優也君。でしょ?」


「そうだね」


 美穂が笑って答えると、教室にチャイムが鳴った。



「じゃ、またね!」


 美穂が手を上げて教室を出て行く。拓也はそんな彼女の後姿を見ながら、そっとスマホでメッセージを送った。



『お昼、屋上に来て』


 そう送った直後から拓也の心臓はバクバクと鳴り続け、その後何があったかほとんど覚えていない。始業式の校長や担任の挨拶など右の耳から入って、意味を成さずに左へと抜けて行った。






(屋上か……)


 拓也は始業式、そして教室での簡単な話を聞き終えると、帰宅する生徒達をよそにひとり屋上へとやって来た。

 夏の終わりを告げる暖かな風。日差しは依然強いが、そんな強い日差しを忘れるほど拓也は緊張していた。



(来て、くれるかな……)


「了解! 後で行くね」、と返事を貰ったにもかかわらず心配する拓也。そんな彼の心配は直ぐに現れた美穂の姿を見て吹き飛んだ。




「おっつ~、木下君っ!」


 笑顔でやって来た美穂。やはり今日も可愛い。

 美穂は拓也の元へ行くと開口一番言った。



「お昼来てって、今日始業式だけで午前下校だよ。木下君、ここでご飯食べるつもりだったの?」


「あ、う、うん……」


 メールを打った時はそこまで深く考えなかった拓也。いつもお昼に来ていたのでそのまま打ってしまったのだが、後でそのことに気付いた。



「ご、ごめん。そうだよね……」


 頭を下げて謝る拓也を見て美穂が笑って言う。



「で~、何の用かな? 木下君が誘うって言うのは初めてじゃない??」


「あ、そ、そうだっけ……」


 拓也は既に美穂のペースになっていることに気付く。美穂が笑みを浮かべて言う。



「まっさか~、愛の告白とか?」


(ぐはほっぐぎがっ!!!!)


 やはり理解できない陽キャの美穂。適当に言ったのだろうが、なぜそこまでピンポイントで的中させられるのか不思議でならない。

 真っ赤になる拓也。ただ恥ずかしいとは思いながらも、自分の想像よりもずっと冷静でいられることに気付いた。


 ふうっと軽く息を吐いてから拓也が美穂に言った。



「俺と、付き合って欲しい」



 ずっと自然に言えた。

 緊張はしたがこれまでの経験が活きたのか、自分でも驚くほど落ち着いて言うことができた。真顔になって聞いていた美穂が言う。



「付き合う? どこへ? どこか行くの?」


 気合を入れて展開していた拓也の領域が、一瞬で美穂のものに置き換わる。焦った拓也が言う。



「い、いや、違うだろ! そうじゃなくて……」


 そこまで言い掛けた拓也が驚く。美穂は下を向き手で()を拭っている。

 驚く拓也。美穂が顔を上げて頬に涙を流しながら言った。



「私ね、待ってたんだよ。ずっと待ってたんだよ、その言葉」


「涼風さん……」


 美穂が頭を下げて言う。



「やっぱりね、その言葉は男の子が言ってくれなきゃね。私じゃなくて……、木下君。私ね、いいよ。付き合ってあげる。ずっとずっと付き合ってあげる……」


 美穂を見て心臓が破裂するほど緊張し、そして安堵した拓也が小さくガッツポーズをとる。



「やった。やった……」


「何それ? そんなに嬉しいの?」


 真っ赤な目をした美穂が言う。



「え、あ、うん。嬉しい!」


 そう言った拓也に美穂が手を取り言う。



「いっぱい遊ぼうね。いっぱい色んなところ行こうね。いっぱいゲームもして、ずっと一緒に過ごそうね。木下……、ううん、()()っ」


 美穂が初めて下の名前で呼ぶ。拓也が顔を赤くして答える。



「う、うん。涼風さん」


 それを聞いた美穂がちょっと怒った顔をして言う。




「違うでしょ? 私達もう付き合ってんだよ。名前で呼んで。みーほっ」


 拓也が更に赤く、そして汗を流しながら言う。



「あ、うん。み、み、みー、みふぉ……」


「ぷっ、誰それ~?」


 美穂が口に手を当てて笑う。拓也が再度言う。



「み、美穂……」


 ようやく言えたその名前。美穂が笑って言う。



「やだ~、赤くなって、可愛いっ!!」


 そう言って美穂が拓也の頬をつつく。



「や、やめろよ!!」


 思わず後ろに身を引くように逃げる拓也。それを見て笑う美穂。ふたりの笑い声が夏の終わりの屋上に響いた。

お読み頂きありがとうございます。

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