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様々な世界・世界の詩

比翼の世界

作者: リィズ・ブランディシュカ



 照らして、照らされる。


 対になり、二つで一つ。


 どこかのかなたには、そんな世界達があった。


 その世界は一つでは存在できない。


 一方の世界「明かりの世界」は、もう一方の世界「暗がりの世界」を照らす事で、必要なエネルギーをうみだしてもらっている。

 もう一方の「暗がりの世界」は、別の「明かりの世界」から照らされる事で、狂暴な生物が活動する「闇の時間」を短くする事ができた。


 その世界達は、決して欠けてはならない。


 欠けては、なりたたない。


 もしも、どちらか一方が欠けたてしまっらら、もう一方も運命を共にしてしまうだろう。


 だから、二つの世界は手をとりあって、互いに存続してきた。


「暗がりの世界」は、効率よくエネルギーを生み出す方法や、そのエネルギーを素早く届ける方法を研究し。

「明かりの世界」は、遠くまで明かりを届かせる方法や、その明かりを強くする方法を研究していた。


 しかし、そんな二つの世界に危機が訪れた。


 どこからかやってきた蝕という化け物が、世界を喰らいつくそうとしていたからだ。


 それは、満たされる事のない飢餓感を抱えたもの。


 暴食という罪を孕んだ化け物「蝕」は、今までに多くの世界をのみこんできていた。


 そこから逃れられた世界は、皆無。


 比翼の世界は決断を迫られた。


 どちらかの世界を差し出しているうちに、もう一方の世界が逃走の準備をはかれば、もしくは防御の準備をはかれば、事はなんとかなるかもしれない。


 しかし、それでは二つとも生きられはしない。


 結局は二つともいずれ滅びてしまうだろう。


 ならばと彼等は決断する。


 共に生きる事ができないのなら、最後まで共に生きて死ぬしかないのだと。


 それは決断とはいえないもの。


 諦めににたなにか。


 しかし彼等は曲りなりにも、自分達の結末を決めた。


 最後まで己らしくあるために、最後まで己を見失わないために。


 やがて蝕はたどりつき、その二つの世界は喰われていった。


 化け物の腹の底にたどり着いた世界は、地獄でもなお共に在り、比翼の世界であり続ける。


 その形は、死後も失う事がない。






 それから、長い時が経ち。


 世界が再生を果たす。


 蝕の腹を引き裂き、地獄から蘇る。


 そんな奇跡が起こるいつかかなたの未来。


 その時まで。


 ずっと。




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