「エピローグ」
「カズトさん強すぎィ!!」
「それな!!カズトさんまじパネぇっす!!」
「私もカズトさんみたいになりたいなあ。」
そんな会話がチャット欄にて行われているのをにやにやしながら返信しているのがこの俺、東条和人(25歳)だった。
俺は小さい時から多種多様のゲームをプレイしてきた。
そんな中でも俺が今も続けているゲーム。
それが昔からサービスが続いているMMORPGゲームであるドラグーンオンラインだ。
そして俺はこのゲームで世界ランキング一位を保持しているいわゆる廃人ゲーマーだ。
ちなみに今はとある動画配信サービスで配信者として活動をしていてこの間ついに登録者300万人にたっすることができ今では結構安定した暮らしをできている。
今ではゲームをしているだけでお金が入ってくるんだから最近はほとんど外に出ることがなく引きこもり化しつつあるのが少し不安だ。
「さてと。今日の動画撮影も終わったし今からコンビニでも行こうかな。」
窓を開けて外を見る。
すると太陽の眩しい光が薄暗いゲーム専用部屋を明るく照らした。
「まだ昼の一時か。よし、行くか。」
俺は部屋から出て玄関へと向かい靴を履き玄関を出てコンビニへと早歩きで向かった。
それにしても本当に暑い。
今は学生にとっては夏休みか。
あの時に戻りたいものだ。
一応こんな俺でも学生時代は友人も結構いてみんなで海にでも行ったものだ。
そんなことを考えていたら俺はあともう少しでコンビニという所まで来ていた。
もう少しでコンビニだ。
そういえば家のポテチの在庫が減ってきていたな。
ポテチ補充しとくか。
何を買うかを考えながら俺は横断歩道のところまで来た。
そこで俺は信じられない光景を目にした。
小学生ぐらいであろうと思われる女の子が赤信号なのにもかかわらず道路に飛び出したのだ。
そして女の子に迫る車が見えた。
「危ない!!」
考えるまでもなかった。
俺は女の子に走り出し背中を押しなんとか女の子が車に激突することを防ぐことができた。
のだが。
「グハ!!!」
全身に鋭い痛みが走った。
俺は車に勢いよく吹っ飛ばされ地面にはいつくばっていた。
「きゃあああ!!!」
多分まわりの人間の叫び声だろう。
今の俺にはそれを確認するほどの力は残っていなかった。
痛い。
暑い。
寒い。
どんどん感覚がなくなっていき気を失いかけているのが分かった。
どうして俺がこんなことに。
「あーあ。こんなことになるのならコンビニなんか行かなきゃよかったな。」
いやでも俺がコンビニに行かなかったら女の子が助からなかったのかもしれないしこれでよかったのかな。
「もっと人生楽しみたかったなあ。」
俺は薄れゆく意識の中後悔をしていた。
そしてついに俺も意識は底のない暗闇へと落ちていった。