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43・まさかそんな事になるとは思わなかったさ

 新たな情報をもたらした義妹が帰って行った。


 それからの俺は僚機を失った事で基地警備の専従となっている。他の4機を引き連れて暇を見ては空戦戦技の向上に努めている訳だ。アクシュの状況が悪くなっている事もあってこちらには補充すら来やがらないからな。


 ラジコン飛行の際に知った2機編隊での飛び方、ロッテ戦法?だった。


 さらには旋回を多用した回避や攻撃の方法などを試して見ている。


 ただ、相手の速度は攻撃部隊は爆裂結晶を抱えている事もあって100km程度なので、それに合わせて飛ぼうと思うと空戦飛竜部隊の思うつぼとなる。

 戦技だと言って攻撃部隊に旋回や何やで迫っても、速度の優位を失うだけなので、一撃離脱も試してみる。


 空戦部隊は身軽なので150km程度は出ているだろう。旋回すればそれに近い速度まで落ちているので狙われることもあるし、ちゃんとわかって戦えば攻撃を避けて敵を墜とす事も可能だ。


 すでにシビンの連中には基地防護の任務の際に今日と同じように空戦法を教えているので、2度ほどあった飛竜部隊との空戦でも被撃墜はない。


 少し余裕も戻ったシビンの基地では暢気な日々が続いていた。


「おい!アクシュから援軍要請だとよ。うちの第一人者のマッツと・・・・・・」


 俺はご指名でアクシュへ向かう事になった。


 翌日にはアクシュへと飛び立つ。



 ただ南下するだけの暇な空の旅だが、久しぶりに長時間飛べるというのでどこか浮かれていた。


 上空からは東に大山脈が見える景色が延々とづつく。時折、草原内に小規模な森が出現するがまるで変わらない景色が続く。


 そして、南の山並みが大きくなりだすと、その下はアクシュだ。


「ん?なんだ」


 ふと東を見ると何かが見えた。それが飛竜なのかフェヂケなのかは分からない。


 しばらくそれを見ていたが、そろそろ着陸なので一度基地上空をフライパスして風の方向を吹き流しで確認する。


 下では何かやっているがよく分からない。白い機体が草原に見えないのは全力出撃中だろうか?少しは基地警護に残せばいいのに。


 そんな事を想いながら脚を降ろして着陸態勢に入る。


 ふいに、先ほどの影が気になり東を見ると、確実に飛竜に見えた。


「クソッタレが!」


 俺はそのまま魔導機を全開にして上昇していく。


 弾はある。まだ魔力残量もある。一回戦くらいなら何とかなるはずだ。


 そう思って飛竜へと突っ込んでいきながら後ろを見ると、皆気が付いているんだろう、俺に続いて飛竜へと向かう。


 まず動いた飛竜は空戦部隊の様だ。なかなか動きが洗練されている。流石は南部でフェヂケを苦しめているだけの事はある。


 俺は空戦部隊に一撃離脱を掛けるべく全速で向かっていく。が、なぜか周りに抜かれてしまう。負けじと彼らに食い下がって一撃離脱攻撃に参加しようと追いすがった。


 飛竜とすれ違いざまに一連射してその速度のままで離脱していく。が、なぜか追いすがって来る飛竜が居る。

 こいつ、どんだけ無理してるんだ?こっちは360kmは出るんだぞ?


 そんなこと思いながら後ろを確認しながら旋回しようとしたのだが、いきなり右側面で爆発が起こる。


「なんだぁ?」


 そちらを見ると右主翼が吹き飛ばされていた。


 これでは制御不能なのですぐさま脱出する。


 飛竜は・・・


 俺に構うどころではなく、予期せぬ第二波の一撃離脱を受けて術者がはじけ飛んでいた。


 俺はしばらく上を見ながら降下し、空戦とはやはりああやってチームプレーとちゃんとした戦技によって成り立つんだと改めて確信を得ているところだった。


 地上に降り立つとそこは基地から1㎞程度しか離れていない場所。基地は攻撃を受けたのだろう。煙も上がっている。


 しばらく歩いて基地へとたどり着く頃には空の戦いも終わり、執拗にフェヂケにまとわりついていた飛竜たちをほぼ墜としきって帰途に就くところだった。


 降りて来た連中に心配されたが体は何ともない。だが、翼をもがれた機体が無事なはずもなく、完全に破壊されたことだろう。


「お前、脚出したまんまだったろ」


 そう言われるまでなぜ飛竜に追いすがられたのか気付いていなかった。そうだ!着陸態勢だったんだ!!


 そりゃあ、飛竜に追いつかれても仕方がない。脚は空気抵抗だから全速なんかでやしない事は初歩だというのに、あまりに間抜けな話だ。


「援軍に呼んで墜とされた奴に与える機体などここにはない。そんな余裕があるなら呼びやしないさ」


 基地ではそのように嫌味まで言われた。


 他にも墜とされて機体が無いドワーフ達が整備に専従しているという。本当に、ここには俺の居場所が無かった。



 それから数日。俺が墜とされたと聞いたぺスタの連中が俺の召喚を要求しているという。どういうことかと思ったが、母親の開発した軽銀を使った魔導機の扱いに困り、俺を呼び戻したいのだそうだ。



 ここに居ても仕方のない俺はその話に乗ってぺスタに帰ることにした。 

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