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42・敵も空戦出来るとなると戦術が必要だな

 飛竜に弾が当たり、翼の付け根がちぎれ飛び制御できずに墜ちていく。


 ふと爆発した僚機がどうなったか見ると、ダクテッドファンに穴が開いた状態でフラフラ降下していた。どうやら不時着可能らしい。


 しばらく様子を見ていると何とか畑に滑り込んで事なきを得た様で、操縦士が這い出してきた。


 基地近くという事もあってすでに騎馬で向かって来るものも居る。何とかなりそうだ。


 

 あたりを見回すとすでに飛んでいるのは2機のフェヂケだけであった。撃退できたという事だろう。



 しばらくして帰って来た迎撃組も2機ほど欠けている。


「2機少ないが墜とされたか?」


 駆け寄って聞いてみると、同じ様に爆裂結晶の矢じりを付けたらしいクロスボウで撃たれたという事だった。ただ、2機とも不時着やパラシュート降下で操縦士は無事らしいとの事だった。ま、ドワーフだから大したことは無いだろう。


 だが、これまでと違って相手も対抗手段を手に入れたのは確かだった。こちらもこのままではいけない。


 そして、基地近くで撃墜した例の飛竜の術者が持って居た矢が炸裂せずに回収されてきた。


「間違いなく爆裂結晶だな。クロスボウも原型があれば良かったが、ちょっとこれではな」


 それは間違いなく爆裂結晶が取り付けられた矢であり、推測ではなく確実となった。


 クロスボウについては壊れて弦の力で部品の多くが四散してしまい、原形を知ろうにも不足する部品が多すぎた。


 だが、大きさはだいたい把握したので、威力は推定できる。


 ダータが使う馬上弓と構造は同じく魔物の骨や筋を木に張り付けている事が分かった。強さは一般的な馬上弓よりあるし、クロスボウにしては異常にデカイ事から射程も弓と同じく200mに迫るだろうことが予想された。


「こいつはうかうかしてたらやられるな。まっすぐ飛んで銃を撃って帰れば良かった今までと違って来るぞ」


 1人がそう言う。まさにその通りだ。

 

 そこで、暇を見つけては宙返りの練習を始めた。更には2機ペアで相互に後方の確認を行う体制も整えていく。


 哨戒もこれまでの遊覧飛行気分から、練習時間へと変化した。


 ただ、それは飛行時間を縮める結果にはなったのだが、空の上の事なので当人たち以外は知りようもなかったのだが。


 そして、それからも散発的に偵察にやっては来るが、群れで攻撃してくるということは無い。


 そんなある日、マーヤが回収した矢の分析を終えたと言ってわざわざやってきた。


「久しぶりだね。兄貴」


 そう言って笑う姿に癒されてしまう。


「例の矢なんだけど。ダータは結晶の小型化には成功していないみたいだね。あれは保護魔法をかけて砕いた欠片だと思う」


 そんな事が出来ることに驚くしかない。だったらこちらでもそうやって作れば量産性は高いだろうに。


「まあ、そう思うのも無理はないけど。一度保護魔法をかけた結晶は過敏になるから二度目になる遮蔽魔法は無理なんだ。矢じりだから使えているけど、弾丸に使うとなると、近くで爆発が起きただけで連鎖して爆発していくだろうね」


 何とも恐ろしい話だ。つか、連中はそんな危なっかしい事をやっていたのか?


「一応、矢筒が魔物革製の特殊な作りだから、弾が直撃しないと相互反射も起こらないみたい。アレを弾倉に施せばもう少しフェヂケも安全になるかもね。ただ、近くで魔導機回ってると保証の限りじゃないし、装填時に魔力を浴びる事に違いは無いから、ヴェレーブに積めるようにはならないよ」


 そう忠告もされた。


 顔に出てたんだろうか?プロペラ機として作ればもっと軽快に飛べる機体が可能だって思ったことがさ。


 牽引式プロペラ機の利点は何と言ってもプロペラ後流を主翼で受けることで揚力に変換可能な事だろう。

 それが出来る事で楽に曲芸じみた飛行が出来る。プロペラ同調機構だけなら開発可能だしな。


 ただ、やはり爆裂結晶が強力な魔力に触れるのはよろしくないことには変わりないので、実現できないという事らしい。


「あと、砕いてるわけだから大きさが一定してないハズなんだ。赤組で撃墜された3人は小さな破片だったんだろうね。ただ、アクシュの白組ではフェヂケが粉々になるような撃墜も起きているようだから、気を付けた方が良いよ」


 それは怖い。確かに大きな欠片であればそうなる罠。


 すでにアクシュではフェヂケが5機墜とされ、うち2人が戦死しているという。暢気に構えている場合ではなくなった。


 そして、アクシュの状況やぺスタでの操縦士養成の状況を聞いてみたが、まだ編隊でのチームプレーといった話まで進んでいないという。それが被害を増やす一因だが、まず、訓練時間が取れずに常に出撃している現状にも問題はあるだろう。


「今年に入って操縦士養成も効率的になったから、もう少し増やせるかもね。機体はロウカの毛って制約があったけどさ、母さんがそれに代わる素材を見つけてね、ミスリルではない銀で、軽銀って言うのを使えば、ロウカの毛の半分の出力で効率は同等、価格は魔物糸の3倍程度に収まるらしい」


 なんと、新しい素材があるのか。そいつは朗報だな。


「ただ、出力は魔物糸同様にコアに巻けば上がるから、今のファンと同等かそれ以上に出来るって。ただ、コアが大型化するから直径は3割増しになるからフェヂケには積めないみたい」


 直径がデカいか。ただ、ロウカの毛と同等程度の出力を出せるんだろう?長さを得てるわけだから効率はロウカの毛と実質変わりなしだ。上手く作れば新型機が出来るな。

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