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40・そりゃあ、大口径にしたらな

 実際、弾を見せてもらうとその通りだった。

 

 実際には33mmの弾丸を使う新型銃。シリンダーは4。そして、発射速度は130まで落としているそうだ。


 しかも、弾をよく見ると風防をつけており、その中にバリスタ用結晶を仕込み、後部にはこれまでの爆裂結晶を付けている。


 普通に考えて装薬不足に思うだろうが、そもそも現行の20mm弾が装薬過剰なんだ。それでも初速が高くないのは、銃身長と装薬量が一致していない事による。というか、爆裂結晶の爆速が速すぎて長銃身化しても意味が無い。単に腔圧を上げるだけにしかなず、途中で失速していくことになる。


 ただ、その腔圧の高さを利用すればこのような大口径弾の射出も可能になるので、コレが完成したのだろう。

 一体どこのMk108だよ。違う。MG213って20mmと30mmがあったんだよな。


 機体がHe162で、備砲がMG213か。夢の共演だな、おい。


 ただ、そうは言っても大口径化したという事はそれに伴う威力の増加というメリットだけではなく、デメリットも当然存在してる。


 小型のフェヂケに積むにあたって、発射レートを落したのは反動抑制も考えての事だし、そもそも、4シリンダーへと変更したのだって軽量化の為だろう。


 そうしたフェヂケに合わせる性能調整をしてなお重量がある事は否めない。


 それであっても容積をあまり大きくしていないのは中々に凄い事だ。弾自体もそこを考慮して作ったんだろう。


 だが、そんな努力をしても、搭載重量と弾倉容積の関係から、20mmでは160発積めるのに対して65発と大幅に少なくなっている。


 爆裂結晶の特性から射程がほとんど低下していないというのが救いといったところか。


 しかしよく考えたもんだ。


 爆裂結晶を対飛竜で使用する場合、まずは攻撃前の飛竜に対してバリスタを撃ちかけて相互反射を誘う、いわば近接信管と誘爆の様な状況に持っていく使い方をしていたので、それをそのまま対空銃としてとらえた場合、矢じり程度の量で十分だった。威力を発揮するのは飛竜が抱える結晶の方だからだ。


 しかし、実際に空で戦ってみるとそう簡単ではなかった。


 偵察中の飛竜を捕捉した場合や攻撃後の飛竜を狙う場合、弾頭の結晶が直撃しない限り意味はなく、術者には過剰だが、飛竜に対しては致命傷にならない場合すらあった。

 そのことは既にぺスタにも報告されている事だっただろう。


 その報告を受けて開発されたのが、新たな33mm結晶銃となるのだと思う。


 口径が大きく、弾頭にはバリスタ用結晶を仕込んでいるので飛竜に対する威力も申し分ない。


 ただ、65発では少々心もとないのも確かだ。


 もう少し小型化して27mm辺りにすれば、威力と装弾数をもっとバランス出来たかもしれないが、いまさら言っても仕方がない。

 それに何より、あまりに供給する爆裂結晶の種類を増やすのも得策とは言えないだろうしな。


 その新人の話を聞いて、その機体整備もついでに行った。


 そこで機体側の変更点も見付ける。


 それまで主脚には鉄を利用していたが、どうやら熊の骨に変更したらしい。


 確かにその方が軽量で強度はほぼ変わりないというシロモノだから納得ではある。加工の手間を考えなければだが。

 これも搭載銃を重量化した結果なのかもしれんな。


 この新型には他のドワーフも賛否両論である。


 やはり、その装弾数の少なさが問題視された。

 

 だが、そもそも撃ちすぎるという事で射撃制限を設けた事で実際には撃ち切らない事だって存在している。弾数が多いから良いとは一概に言えない状況だ。


 実際に飛ばしてみたところ、銃の重量分だけ操縦性も重い気がした。これも論議の的にはなったが、コレが同じ航空機同士の戦いならば問題となるが、飛竜相手にはそうでもない。


 仮に、術者の乗らない飛竜であれば速度は同等、360km近い事は確認している。術者を振り落として逃げる飛竜を追っても全く追い付けなかったそうだ。


 対して、術者を載せた飛竜の速度は速くて200km程度。一般的には100kmを超える辺りになる。


 普通に考えればわかる話だが、時速100㎞の不安定な鞍の上で手綱を操れるか?それ自体がかなり訓練のたまものだろう、簡単にできる事ではないはずだ。更に魔法やら弓矢等となると、よくそんな事が出来るなと言いいたくなる曲芸だ。


 あれは誰でもが出来る者ではないだろう。そんなのが200も300も居るとしたら脅威なんてレベルじゃない。


 それから新たな新人が2人来たりしたが、相手の飛竜はかなり低調になった。


 弓や魔法を使うのは群に1人2人という状態。決して多くは無かった。


 ここまで来ると流石にダータの飛竜も息切れだろうと俺は楽観的な事を考えていたが、ぺスタではそうでもないらしい。


 と云うのも、アクシュに展開する連中は南方での戦闘にも駆り出されているが、50機に達したあちらでは苦戦する場面も出ているという。


 魔法や弓を使う術者が居る事が多かったり、巧みな飛竜さばきで翻弄されているという。


 まだまだ出来立ての飛行機と乗り出して数か月の操縦者しか居ないフェヂケが飛竜を一方的に狩りつくせる状況ではないって事なんだろうな。

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