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29・ドワーフとはそういう粋モノさ

ドン、ドン、ドン、ドン


「おお~、凄い速さで連続して撃てるんだね。兄貴凄いな」


 マーヤがリボルバーカノンを絶賛してくれているが、俺としては不満がある。現状で毎分60発程度で駆動しているのだが、空で試験した時にはその3倍で動かしてみた。


 どうなったと思う?


 凄いぞ。速度が速すぎてラマーが追い付いていなかったんだ。装填時に暴発とかシャレにならんから諦めたよ。

 毎分120発程度ならば動かせないことは無いのだが、そんな連射速度を実現しても弾が足りなくなる未来しかなかった。

 考えてもみろ。弾を一発づつ手作りなんだ。いくらドワーフがチートだと言ってもさすがに全自動の機械には敵いはしない。更に爆裂結晶の製造がそもそも追い付かなくなる。


 そんなわけで持続射撃が出来て弾の補給にも支障が無く持続できる60発程度で行くことになった訳だ。


 キョニュー氏も非常に乗り気でリボルバーカノンの設置を後押ししてくれた。


 そんな事をしているとまた飛竜がブスタへと来襲してきた。


 リボルバーカノンはまだ試作なので俺たちが付きっきりで状態を見るため、操作も俺たちが行う事になった。


「おい、飛竜の奴らかなり高度を取ってないか?」


 せっかくのリボルバーカノンだが、飛竜の高度が高すぎる。バリスタがはるか下方で爆発しているのが下から見ても分かるほどの高度だ。

 当然だが、そんな高度では結晶銃の射高でもギリギリだ。運よく掠めた弾が相互反射を引き起こす程度でしかない。


 飛竜の側もまともに狙えていないので見当違いのところで爆発しているのだが、数撃てばなんとやらで町にも被害が出ている。


「連中、早速こっちの新兵器に対処して来たか」


 悔しさが口を突いて出るが仕方が無いだろう。まさか、出来た途端に対処されるとは思ってもみなかった。


「これに対処して来たんじゃない。バリスタに対処して来たんだ。連中は南部でバリスタで手酷い損害だしてるからね」


 そういえばマーヤは南部に居たんだったか。確かにあの高度ならばバリスタは届かない。爆撃の効率も悪くはなるが損害が出ない事を優先すればそうなるよな。


「第二波が来るぞ!」


 誰かが叫んだ。そして先ほどよりも高度を取った飛竜が向かってきている。


 あんな高さ撃つだけ無意味だろと思っていたら急降下を始めた。


「はやく撃って!」


 ボケっと見上げていた俺にマーヤが叫ぶ。その声でハッと正気に戻って降下してくる飛竜に照準を合わせて射撃を始める。


 回避というモノを知らないのか一直線で降下する飛竜が四散した。次の目標へと切り替えてさらに撃つ。


「やったぞ、4頭落した!」


 俺が喜びながらマーヤを見るが、全く構ってくれなかった。


 どうしたんだと周りを見ると、俺たち以外は対処できなかったんだろう。町は半壊していた。


「・・・・・・バリスタ配備したからここが重要拠点だと思ったんだろうね。精鋭を送り込んできたみたい」


 マーヤがしばらくしてそんな事をつぶやいた。


 降下攻撃された場合、バリスタはあまり役に立たない。


 だってそうだろう。一射すれば次発までに時間がかかるんだから。


 対して結晶銃は発射速度がバリスタの数倍になるので迎撃する事は可能だ。


 ブスタが半壊で済んだのは結晶銃があったからだとキョニュー氏が俺たちの所へやって来てはしゃいでいた。


 はしゃいでいて良いのかとも思ったが、あの攻撃で10頭も撃墜できたというのは快挙らしい。という事は、他の結晶銃も活躍してたって事か。


「凄い!凄いぞ!マッツ」


 キョニュー氏が俺の背中を叩きながらそう言う。


「こんな快挙、久々だよ!いや~、ドワーフの技術は凄いね!あ、コレ、正式に軍で採用するから量産頼むよ」


 まだ試験段階だというのにそんな見切り発車な事を言い出す。


 そもそも開発と言ってもブスタは半壊してしまっているのでヴィゴの工房だけあっても仕事にならないんだが。


 結局、資材が揃うぺスタの造兵廠に帰らなくては試験を継続できなくなったので俺たちはぺスタへと戻る事になった。



 ぺスタに戻ると先に帰っていた親父やドワーフたちが魔導車の量産を行っていた。


「魔導車は今のところ馬車で何とかなる!急いで作らなくても変わりがあるが、もう、飛竜にバリスタは通用しない。対飛竜にためにマッツ銃の量産を優先する!」


 キョニュー氏は帰るなり造兵廠でそう宣言してドワーフ達を呆れさせた。が、言っている事は間違いじゃないだろう。馬車があるから魔導車は急ぎじゃないが、バリスタは飛竜に通用しないとなれば、結晶銃に頼るしかなくなるんだから。


 新技術、それも高難易度となれば燃えるドワーフの性だろう。キョニュー氏の宣言に不平を鳴らしていたドワーフたちはリボルバーカノンを見るとすぐに目の色が変わった。


「当然じゃねぇか!荷車は魔導機さえあればだれでも作れる!こいつは俺たちじゃなきゃあ完成できねぇ!」


 コロッと態度を変えてリボルバーカノンに群がる辺り、俺は呆れるしかなかったのだが、やはり、そこはドワーフなんで、前世の記憶よりも今が優先した。他の連中に完成させられては沽券にかかわるじゃねぇか。   

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