表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/55

11・前世知識ばかりが有効とは限らない

 もうすぐ麦刈りが始まる。

 

 麦刈りというと大鎌で刈って積み上げて乾燥させるというのが一般的なモノで、当然この村でもそうやっているらしい。


 もちろん、いきなりコンバインが作れるかというとそれは難しく、まずは刈り取り機を作るところから始めようと思う。


 刈り取り機は車輪の駆動でバリカン駆動することで刈り取り、その後方のベルトで一筋に集めていく。それだけでも刈り取り後に集める手間が大きく減るのだから、面積が広くなった畑の事を考えると大きな違いだろう。


 車軸からギヤを介してクランクに伝わった動力がバリカンを動かし、バリカンの上で回るロールは車軸からベルトで繋げて駆動させ、麦を後方へと送って行く。バリカンの後ろには幅広の革で作ったベルトが敷かれた台があり、ベルトは直接車軸からギヤを介して横へと搬送するように動いている。


 こうすることで刈り取った麦を一筋に集めていくわけだ。そのうち脱穀や選別を行う車体を作ってコンバインに出来たらよいとは思うが、いきなりでは村人も付いて来れないだろう。


 

 刈り取り機は3台ほど製作した。


 冬に魔物素材が多く獲れた事で村の資金も豊富になり、春には農耕馬の購入が出来るまでになった。


 サラブレットと違い足が太くがっしりした馬だ。それが麦刈りの前に5頭やってきた。


「馬が手に入ったならちょうど良い。麦刈りはコレでやってみよう」


 そう言って馬に刈り取り機を繋いで歩かせる。


 車軸の駆動を入れるとバリカンやロール、ベルトなどが動き出して麦畑へと侵入している。


「どうなってるんだ?馬を歩かせただけで麦が刈り取られて一筋に集められてるじゃないか」


 下手に口で説明するよりもみせた方が早い。そう思って実際に麦刈りをやってみたら村人たちがなんの魔法かと騒ぎだしてしまった。


「魔法でも何でもない。コレがドワーフが生み出した道具って奴だ。便利だろうぅ?」


 ドヤ顔で村人にそう言うと「おお~」という感嘆した声が聞こえてくる。


 こうなれば後は使い方を教えるだけで勝手に始めてくれるだろう。なにせ見たことも無い機械を前にして興味津々のオッサンや若者たちばかりなのだから。みんな童心に返ったようにワイワイ楽しげだ。

 それを冷ややかに見守る女性陣は見なかったことにする。


 刈り取り機三台と大鎌による麦刈りが進む。そして、刈り取った麦を集めて木の棒へと積み上げて乾燥させることになる。


 あちこちに小さな櫓が畑に出来上がり、そこで叱られながらも子供が遊ぶ光景が繰り広げられていく。


 さすがに広くし過ぎた畑の収穫はなかなか終わらなかったらしい。


 刈り取り機もすべて順調とはいかず、やはり不良個所が出て来るのでそれを修理、修正しながらの使用が続けられた。


「しかし、いろんなものを作り出すなぁ」


 エッペが感心したようにそう言ってくる。


 刈り取り機もそうだが、プラウもだ。ターンレスト・プラウなど見たことが無かったのだろう。


 そんな彼がクランク機構に興味を持って軸受けについて提案してくる。


「木と鉄で作ると簡単に折れるだろ。そこを猪の骨で作れば強度が上がった上に鉄同士よりも軽やかに動くだろ」


 などと、前世知識にはない発想が口を突いて出てくる。なるほど、そう言うもんか。


 確かに魔物の骨は硬いので様々に使われている。エッペによると馬車の車軸の軸受けも骨で作る事があるそうだ。


 そんな話を聞きながら骨を用いた軸受けを作り、試してみると、なるほど、硬くて耐久性がある上に鉄同士や鉄と木以上に軽やかに動くじゃないか。


 狩人相手で車輪の製作はほとんどしてこなかった俺はどうやらそんな知識を失念して前世知識頼りでやっていたという事らしい。この世界にはこの世界の知識や素材がある事を改めて知ることになった。


 もちろん、それを犂の車輪に応用する事も忘れていない。何ならコレがあればさびて動かなくなる心配のないジョイントが出来るんじゃないか?そうすればプラウの反転板の可動部もさらに軽くできるかもしれない。


 さて、刈り取り機の修理や改修をしながら日々を過ごしているとどうやら麦刈りが終ったらしい。


 刈り取りが終ると冬は休ませていた畑の耕起が始まる。なんとも忙しい事だが、これから野菜を植えたり秋麦を播くんだそうだ。


 当然、またプラウとハローの出番だが、畜力が増えたのでプラウとハローも増やすことになった。


 そして、ハローは二頭曳きが可能となったので大型化する。以前の三台分の大きさにして歯車を三列にすることでより砕土能力も上げている。1頭では厳しかったディスクハローやスプリングハローも2頭なら曳けるので新たに製作した。


 ディスクハローは欧米では乗用となっており、ハローの上に椅子が付いたものや大型で現代の物の様にX字型など、様々なものがある。大型ではまだ畜力が不足するのでハの字型のモノを作る。ディスクは円盤ではなく花びら型に切り欠きのある形状にして砕土と共に柔らかな土なら耕起も出来ることを狙ってみた。


 スプリングハローはカギ爪状の爪を持つハローでただ土塊を砕くというより浅耕起が主となる。2列爪を並べて後部に鬼車を配いて砕土と鎮圧を兼任させるようにした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ