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優しき魔王と悲しき勇者  作者: ラルド
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第3話 魔王と勇者

丑三つ時、それは人間にとって恐れられてる時間である、私達魔物にとってはそれはまた別の話なのだが…ラミアが船を出せるのは基本的に丑三つ時か午の刻から酉の刻まで、それ以降はやる気が湧かないんだとか、けどそんな時間配分でもお客さんはちゃんと来るらしい、提案した私が言うのもなんだけどよく儲かってるわねこの商売…などと考えて船着場で座って海を見ていると声を掛けられた

「エストレア様、本当に宜しいのですか?彼女…シェリルと申しましたか、エストレア様が魔王だと分かったら困惑しますよ?」

その様に声をかけて来たのはラミアだ、なんだかんだお人好しの彼女はシェリルの心配をしてこう言ってくれるのだから上位の魔物としても戦闘には向かわせる事が難しいのだ。

「大丈夫、それにきっとシェリルは気が付いてるはずだから心配要らないよ。それとね?私、シェリルになら最悪殺されても良いかなって、そう思っちゃうんだよ、ラミア含めてみんなには悪いんだけど、ここまで良い子に殺されるなら文句はないかなってね?」

私はラミアに笑顔でそう言うのだがラミアは表情を暗くして悲しそうな顔をしてしまう。当然だろう、慕って来た者がこの様な事を言い始めたのだから…

「分かりました、でしたら私は何も言わずに船を出すだけですね。」

それでもラミアは必死に笑顔を向けて来る、正直私は自分が殺されたら次期魔王はラミアにするつもりなのだ、優しくも賢いラミアなら皆を守り抜けると、そう信じて。


 エストレア様の言葉を受け私は少々…いや、かなり悩んでいた、側近の魔物としては守るのが普通なのだが今回は異例、滅多に起こりはしない事態なのである。

 そして丑三つ時、遂にその時が来てしまった、私は未だに悩んでいる、しかし時は無情にも進むしかない、今この時だけは時が止まれば良いのに…と、思ってしまうが、今私が出来るのは船を出すだけだからその仕事をやり遂げないと。


 船が出てから四半時くらいが経過した時シェリルが口を開いた

「ね、ねぇ、エストレアはどうしてここまで魔王城とかに関して詳しいの?」

なかなか返答が困る質問が来た、でもここは少し濁して返答をしようかな

「えっとね、ラミアは知ってるけど私はこの近辺に本来住んでたからこの辺りの事はある程度詳しいよ」

「そっか、じゃあ今度この辺りを案内して欲しいな、私はあの国から出たのが初めてだからもっと色んなところを見てみたいから」

「うん、勿論良いよ」

私が無事になんとかなればの話なんだけど…

「そろそろ魔王城前に着きますよ、忘れ物だけお気をつけ下さい…それと、こちらをお二人に、お二人の旅路に光あれ」

ラミアから鱗を渡されて魔王城前の船着場に2人で降りる、この鱗どう言う意味があったかな…あまり記憶してないんだよね…


 魔王城に到着してから私は驚きを隠せなかった、それもその筈、スライムやゴブリンと言った最下級の魔物が住んでいるのだから、本来なら魔王城の中にこそ死神やドラゴンなどと言った魔王を守護する様なモンスターが居るはず…それにもっと驚いたのはエストレアを見るなり魔物達が寄り付きこそするけど襲う意思は全く見えないのだから…


 やはり久し振りに帰って来ると実家に帰ってきた感じがするなぁ…いや、実際実家なんだけども…私が入るとみんなが寄って来る、この子達は元の住処から離れさせてここで保護した子達であるのだけどここの暮らしが如何だったのかを聞かないといけない、でもそれはシェリルに全てを話してから、そして、私が如何なるのかをシェリルに決めてもらわないと…そんな事を思いながら私はシェリルの方に向き直って…

「さて…と、多分ここまで来てもう分かってると思うけど改めて…ようこそ、私の城…魔王城に、色々と思う事があるとは思うけど…どうするかだけ聞いて良いかな?」


 私の中ではどうするかはもう決まっていた、いや…現実を見て私の考えは変わっていたのだ。

「私は…魔物達の味方をするよ、でも人間を裏切る訳でもない。私は全ての種族が皆等しく過ごせる世界を作りたい…じゃあ…ダメかな…?」

私がそう言うとエストレアは呆れ気味に私を見ながら

「全く…今の勇者様は随分欲張りだね…?良いよ、私も協力するよ、それと…その選択をしてくれてありがとう」


 ここからの話は早かった、シェリルと共に一度スタンに戻りマスター達に事情を説明したら宴が行われた、その日はドラゴンや死神達といった見張りをさせていた子達にも戻って来てもらって紹介がてら宴を楽しんであっという間に夜が更けていった。

かなりの期間お待たせしてすいません、また、今後もかなりの期間が空くかもしれませんがご了承ください

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