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優しき魔王と悲しき勇者  作者: ラルド
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第2話 港町スタン

歩いて移動する事はや3日最初の1日目はとても長く感じたけどエストレアと一緒に居ると不思議と安心感があって、何よりも必死に守ってくれたり色んな事を教えてくれたりでそれが本当に楽しくて、あまりこう言う事は言う事じゃないけど国に戻るよりもエストレアとこうして居たいと自然と思う様になってしまう。

「シェリル、そろそろ港に到着だよ?」

「あ、もう到着するの?」

そう、魔王城のある程度距離のある場所に港町がありそこで船に乗せてもらう予定なのだが、よくよく考えたら魔王城にわざわざ船で乗せてくれる人が居るのか不思議に思ったがエストレアに聴いたところ

「ん〜?その港町はどんな魔の海域だろうと連れてってくれる命知らずが集まる様な所だからあんまり気にしなくても良いよ?」

と答えられた、世の中は広いなぁ…


シェリルがここ最近色んな事を考えている時が多い気がする…もしかして色々と疑ってるのかな?まぁ普通に考えたら疑う事も多いんだけどね、取り敢えず船…よりも人を探さないと…確かあの子は、いつも酒場で呑んだくれてた筈だから酒場に行けば居るかな?

「ちょっと人探しに酒場に行くよ?」

「もしかしてエストレアの言ってたよく船で移動する時にお世話になってる人?」

「そうそう、この時間なら酒に溺れてると思うからって言う事でね?」

少し小さくそれってどうなのと聞こえたが聞かなかった事にした。


港町スタン、それは人間もモンスターも平等に生きれる素晴らしい場所だ、しかしそれはモンスターが人間に化ける必要性があるのであまり平等とは言わないのだ、魔王様が人間に化ける魔法を授けて下さったから今でこそこんな生活が出来るが無かったら今頃こんな裕福な生活はできて居ないだろう、とそんな事を改めて思いながら今日も酒場で酒盛りを楽しむ。

「おいおい、ラミアの姉さん、いつも言ってるがこのペースで呑まれると流石に困るよ?」

そう言ってくるのはこの酒場のマスターである、私が常連故ではなく厄介者として覚えられているがなんやかんや歓迎はされる。

「そんなつれない事言うなよマスター、それに毎回ツケてる連中の分まで払ってるんだから多めに見てくれよ。」

「それを言われちゃあんまり強く言えないから勘弁して欲しいんだけどね、はいはい…分かったよ、それとだけどこれは姉さんにとっても有益な話だけどこれ以上呑むのはやめた方がいいよ?」

「唐突だねぇ、理由…は聞いても教えてくれないだろうし仕方ない、この辺でやめとくかね、はい、今日の他の連中分と私の呑んだ分ね」

そう言いながら私は代金を支払う、ここの連中は生き甲斐こそあるが金を集めることが出来ない連中ばかりなのでこうして私が代わりに支払っているのだ、それにしてもマスターがあんなこと言うのはなかなか珍しいな。

などと考えて居ると、

「居た居た、ラミア、久し振りだね?また酒盛りでもしてるのかな?」

そんな聞き慣れた声を聞いて恐る恐る後ろを振り返ると…


怯えた様子でラミアがこっちを見てくる、彼女に会うと毎回こうなのだが今回は珍しく呑んでる最中では無かったので良しとする。

「な、何でしょうかエストレア様…私はいつも通り民の補助をしてますよ…?」

う〜ん様付けられると困るなぁ、どうにかやめさせたいんだけど…何よりシェリルに悪影響を与えてしまいかねない…などと考えていると

「ねえエストレア、この人がその言ってた知り合いの人?」

「うん、割と前からの知り合いでね、だから今回は魔王城に連れて行って貰いに来たんだけど、ラミア、お願い出来る?」

こっそりと人差し指を立てながらそうラミアに言うとハッと何か理解したかの様に

「勿論ですよ、えっとエストレア…とそちらの方を連れていけば良いんですね?」

また様って言いかけたね?そう心中で呟きながらも

「そうだね、出来たら早め…今日行けそう?」

「今日ですか…少し厳しいですね、早くても明日の丑三つ時に来て頂ければ船を出せますよ」

こう言った話をしてる時は仕事人の顔してるんだけどね…

「うん、分かった、じゃあ…マスター、今日は私とシェリルがお世話になっても構わない?」

「勿論ですとも、貴女様には数え切れない程の恩があるので寧ろ自宅の様に寛いで行ってください」

う〜ん、嫌って訳じゃないけどここまで言われると少しばかり恥ずかしい…そんな事を思う私の顔は少しばかり赤かったと後にシェリルに言われ尚更恥ずかしくなってしまった…


私はエストレア様達の会話を聞いたりしながら楽しみつつ姉さん達に料理を振舞った、素直な話エストレア様には本当に感謝している、きっとこのお方が居なければ私はそこら辺でモンスターの餌になっていたか餓死していたのだろう、今でこそこの町でこの様な生活が出来るのは親となってまともに話せる様になるまで育て、働き、自炊までが可能な環境を作って尚且つ安全すらも確保して下さったエストレア様のお陰なのだから

「マスターさん、昔を懐かしんでいらっしゃる様ですが良ければお話を聞かせて貰っても宜しいですか?」

「貴女はシェリルさん…でしたか?構いませんよ、ですがその前に1つだけお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「なんですか?」

「貴女にはこの町の者達が皆人間に見えますか?

「と言うと、どう言う事ですか?」

「この町は私を省いて皆モンスターなのですよ?エストレア様には貴女の事をお伺いしてますがこの様に害も無ければ罪も無い者達を殺める事が出来ますか?姉さん…いえ、ラミアさんも歴とした上位のモンスターです、きっとこの町に危害を加えようとすれば貴女の事を殺してしまうでしょう、モンスターと言えど皆が皆見境がないわけではないのです、魔王様も同じ様に、人間達に危害を加えられない程度に人間を止めて居るのに過ぎないのですから、と、一先ずここまで聞いてどう思われましたか?」

「私は…困っている方々を助けたいです、その意思は変わりません、ですが…」

「ほらほら、マスター、シェリルを虐めないであげて?あんまり私の親友を虐められると困っちゃうから…ね?」

と、エストレア様が背後から話しながら子供の様に笑いかけてくる。

「これは失礼しました、それにこの時期珍しいお客様ですからね、もし余裕があれば明日の夜頃に宴会をやってるので来て下さいね。」

きっとこの先の未来、このお二人が深く関わるんだろうとそう思いながら私は翌日の宴会の下ごしらえを始めたのであった。

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