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4話 クリステルは逃げ切りたい

書けちゃったので投稿w

 


「はぁ、はぁ、はぁ…ここまでこれば大丈夫…ここはあの方は知らない…」



 クリステルは階段の物陰でようやく一息つく。

 散々撹乱させながら走って逃げてきた。

 体力には自信のある方だ。

 お嬢様お嬢様したジェシカにはこんな芸当は無理だろう。

 田舎育ちを舐めるな!だ。

 それに入学してすぐに探検に探検を重ねて学園内をウロウロしまくって見つけたこの階段下。

 流石にお嬢様のジェシカはこんな人気の無い薄暗い場所はご存知無いはず。





 スワン学園に入るまでは、いや、ジェシカ・コルダに会うまではこの世界があの乙女ゲームの世界だなんて思いもしなかった。

 ジェシカの顔を見て自分が転生者である事を思い出した。

 そこから貴族としての礼儀作法がおかしくなった。

 転生者と意識してから本当自分にがっかりだ。

 子どもの頃から勉強してきたこの世界の礼儀作法が怪しくなる。

 クリステル・ラザフォードとして確かに7年生きてきたのに。

 日本人だった20年の行動が咄嗟に出るのが悩ましい。

 今、クリステルにできる事は、クリステル的バッドエンドにならないようにジェシカを徹底的に避ける事。

 他の令嬢に混じるようにそっと息を潜めてやり過ごしてきたのに、ジェシカに目をつけられた。

 気のせいなんかじゃ無い。

 今日なんて、真っ直ぐクリステルを見つめてきた。

 そっと視線の先から他の令嬢に身を隠したのに獲物を見つけたように狙いを定めて近寄ろうとしてきた。



 怖い。

 怖すぎる!

 あんなのに絡んで修道院送りになんてなりたくない!



 イケメンゲットとか思って楽しんでゲムってた自分を呪いたくなる。

 イケメンゲットどころか、結婚できるかすら怪しい。

 せめて他の令嬢に興味を移して貰えないだろうか?

 カタカタと震えながらブツブツこれからの回避策を練る。

 うっかり視覚さえも瞳を閉じて自分で遮ってしまったのだ。

 だから、忍び寄る影に気づかなかった。





 ダンっと音が鳴るかの如く鋭く手のひらが突き出され、クリステルは後ろに仰け反った。

 しかし、背中は壁。

 目の前にはジェシカ・コルダ。

 あれだけ走って切らせていた息が漸くと整ったクリステルに比べて息一つ乱さず優美な微笑みを浮かべて仁王立ちしている。



「修道院送りは嫌!」



 小さく漏れたクリステルの叫びにジェシカは甘やかな笑みを浮かべた。

 まるで獲物を見つけた悪魔のように。

 顔を青ざめてガクガク震えるほかにはクリステルにどこにも逃げ場は無かった。



まとめ書きしてません。

勢いです。

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