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25話

 

「ちょ!クリステルさん!見捨てんな!フランシスカ!本当、私も前世の記憶があるだけですって!」

「証拠は?」

「しょ、証拠?!えーとえーと!あ、3歳くらいかな、フランシスカのとこ遊びに行って、キャロを無理矢理抱こうとしてキャロに怒られてお漏らししちゃった件!フランシスカもキャロの怒りにビビって一緒に…もがっ!」



 フランシスカにより口にカップケーキが放り込まれ口を塞がれた。

 フランシスカの汚点であるらしい。

 3歳の子どもがいつも大人しい子猫の怒りにビビってお漏らししたのは口にしたくも無い事らしい。

 別に大人からしたら微笑ましいエピソードだと思うのだけれど。

 ちなみに今のキャロ…キャロルは長毛のふわふわの美猫ちゃんに成長し、超ジェシカの事が嫌いになったにもかかわらずジェシカの地味な努力とキャロルの広い心で会ったその時のみ、ひと撫でさせてくれる優しい猫に育っている。

 ちなみに飼い主のフランシスカの事はキャロルは大好きである。

 あんな猫が欲しいと思いつつまだ猫を飼うまでには至っていない。

 猫よりめんどくさい兄がいるからだ。

 間違いなく子猫をジェシカ以上に懐かせ、その子を口実に今以上にジェシカにまとわりつくであろう。

 簡単に想像がつく。

 修道院送りにしない兄なら見目麗しいので目の保養がてら良いのだが、この先を考えればあまり仲良くしない方が自分の為である。

 ただの兄義妹。その距離感を兄の方がとってくれない。

 目下の悩みどころである。

 もっちゃもっちゃとお行儀は悪いけれどカップケーキを噛み砕く。

 これも不味くないけれど、前世のケーキのが美味しいんだよね。

 この辺り要改良だよね。

 クッキーもさ、バサバサしてるの多いし。



「ジェシカが私の知るジェシカと言う事はわかりましたわ」

「それは良かった。もぐ」

「食べながら話さない」

「フランが突っ込んだんじゃん…」

「何かおっしゃいまして?」

「いえ…なんでもありません…」



 ゴゴゴっと音を立てそうな勢いでフランシスカが微笑む。

 怖い…怖すぎる…可愛いフランシスカはどこにいったのだろか?



「……話しを続けていいですか?」



 一人冷静なクリステルさん。20歳で死んだとか嘘でしょ。

 自分が子どもっぽい大人だったのを棚に上げて失礼な事を思うジェシカ。

 もう既に大人の威厳というか死んだ年齢25歳も棚上げだ。

 言ったら最後な気がするのは気のせいと思いたいが念には念を入れる。

 この世界精神年齢が高い。

 その分早くお亡くなりになっているみたいなのだ。

 80まで生きる方は仙人レベルらしい。

 そんな事に思考を撒き散らしているとフランシスカから声がかかる。



「ええ、ジェシー、あーん」

「あーん。もがっ!」



 うっかり口を開けてしまったジェシカはまたしてもカップケーキを突っ込まれた。

 それを見届けてクリステルは安心したように口を開いた。

 なんだか失礼な気がする。

 気がするが、口を開けばきっとケーキを突っ込まれるだけだ。

 諦めて口の中にあるケーキを咀嚼する。

 これ以上は太る…確実に。

 お腹も一人パンパンである。



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