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20話 やっぱりこうなるのですか?

 


 カチャリと扉が開き、セルエルとノイエットがそこにいた。

 セルエルは嬉しそうに笑いながら部屋の中に入り、ノイエットも追従する。



「愛ではありません。お兄様の行動を読み取っただけです。クリスが気になるんですか?必要以上に構いますよね?」



 冷たいくらいにセルエルの『愛発言』切り捨ててクリステルの藍色の髪を梳きながらジェシカは溜息と共に口を開いた。



「おや、そうかな?それ一重にジェシーが可愛いから」

「お兄様、戯れは度が過ぎると変態です。クリスに誤解されますよ?」

「別に構わないが?」

「構います。変態の兄はいりません。それに妹ラブは外面だけで十分じゃないですか?十分令嬢避けにはなってますよね?」

「おや?僕の愛が疑われているのかな?」

「疑ってはいませんが、せっかくお友達が来てるのにちょっとうざい」



 思い切ってスパッと切ってみた。

 酷く嫌われはしないと思うけど、いい加減少し離れて欲しくって。

 ちらりとセルエルを見れば唖然と口を間抜けに開けてジェシカを見つめている。



「ジェシカ…僕の事が嫌いかい?」



 ただ一言呟くと、それはそれ庇護欲を唆る瞳でジェシカを見つめる。

 ジェシカの中の人はキュンとなるのを止められない。

 それは反則だろう。

 断じてショタでは無かったはずだが今は断言出来ない自分が悲しい。

 いや、成長したセルエルは立派に好みの男になるから…と少々思考が混乱する。

 その隙にセルエルはジェシカの側に移動していた。

 まだ少しも結っていない髪を一房持ち上げ唇を寄せる。



「っ!……ちょっ!」

「ジェシーは僕の事が嫌いかい?」

「……嫌い…ではないけど…」

「…けど?」

「シスコンのお兄様は嫌い」

「……シス…コン?何だそれは?」

「ばか…」



 クリステルは見守っていたが、ジェシカの一言に思わず呟いた。

 その言葉この世界でわかるわけない。

 シスターコンプレクスという言葉があると思えない。

 不審そうな顔でセルエルはジェシカとクリステルを交互に見る。

 ジェシカとクリステルはお互い顔を見合わせる。

 なんと説明したら良いものか…



「あの…シスコンは度の過ぎた姉や妹馬鹿という事です」

「お兄様は私に構い過ぎです。お友達が遊びに来てくれているのに邪魔するお兄様は嫌い。お友達が羨ましいならお兄様もノイエットのとこにお泊りに行けばいいのよ」

「それは何かが違うんじゃ…」

「妹馬鹿…」

「そのくらいにしないと本当に嫌われるよ?」



 唖然としているセルエルだが、今まで指摘された事が無かったのだろうか?

 シスコンその言葉は正にセルエルを表す一言だった。

 ノイエットがクスクスと笑いながらセルエルの肩を叩く。



「わかった。今日はもう構わないから、代わりに髪を編んであげよう」

「いいです!代わりでもなんでもないし!あ!じゃあクリスの髪を編んであげてください」

「い!?いや、セルエル様が編みたいのはジェシカ様の髪です!盛大に遠慮します!」

「クリステル嬢もそう言っているし、ほらジェシー?ああ!なんならクリステル嬢の髪はノイエットが編めばいいよ!ノイエットもできるだろ?」

「そういう問題では…あ、こらセルエル」

「お兄様離して」

「ノイン、僕じゃなくてクリステル嬢を」

「ジェシカ様離して…く、苦しい…」



 ジェシカがクリステルを離さず、セルエルはジェシカに抱きつき、そのセルエルを離そうとノイエットがそこに絡まる。

 ギャアギャア、ギャアギャアと子どもならではの光景ではあるが、クリステルはただ挟まれているだけなので苦しい。

 助けて欲しくて侍女探すが生憎と席を外しているようだ。

 というか逃げた…のか?




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