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2話 お兄様はイケメン

18/11/3設定一部変更とタイトル補充の為改稿。本筋は変わりません

 


 コンコンコンコン



「ジェシカ?大丈夫かい?」

「は、はい。お兄様…やっぱり上手にリボンが結べなくて…」



 思ったよりも時間が経っていたらしい。

 セルエルが再び迎えに来たようだ。

 ちなみに今の声は子どもの声の為、もっとソプラノであの妙な色気は無い。

 安心して聞いていられる。



「結んであげよう。入るよ、ジェシカ」

「はい。お願いします」



 扉が開いてセルエルが入ってきた。



「お願いしますわ、お兄様」


 ジェシカがリボンを差し出すと、セルエルはにっこり笑って受け取った。くそう。可愛い。可愛すぎる。

 ほっぺツンツンしたい。

 したら嫌われそうだし、中のジェシカが年上でも、外見のジェシカは完全に年下である。

 やれる訳がない。



「喜んで。さぁ座って」



 そんな脳内妄想を知らぬまま、セルエルは鏡の前の椅子にジェシカを座らせると髪を編み始める。

 その顔をジェシカはじっくりと眺める。


 ジェシカと同じミルク色のキメの整った肌、天使の輪の入った緩くウェーブの入った金の髪、瞳の色はサファイアブルー、通った鼻筋、まだ柔らかそうな頬は少年らしい丸みを帯びている。

 まさに天使の容貌。

 記憶にあるセルエルのイラストは背は高く天才肌の品行方正、凛々しく澄んだ瞳の優しいイケメンだった。

 彼の男爵令嬢に少し意地悪した時のフフンとした笑顔は小悪魔の様に艶っぽく色気があった。

 流石に今はまだその片鱗程度で圧倒的に子どもらしい天使感満載だ。

 綺麗に髪を編んでいくところをみると随分手先が器用なのだろう。

 そして今現在鏡に映る姿がよく似ているとはいえ、ジェシカが養子である事を思い出す。

 確か父親のコルダ公爵の従兄弟の娘がジェシカだ。

 本当の両親は伯爵でジェシカが赤ん坊の頃に亡くなっているはず。

 そんなジェシカを公爵夫妻…今の父と母は親友の娘だと目に入れても痛くないほど可愛がってくれている。

 まだ本来のジェシカは養子である事を知らない。

 確か7歳の誕生日に告げられる。

 もう間もなくだ。

 そしてその後すぐの第二王太子の誕生日会と言う名の婚約者見繕い会があり、そこでゲームのジェシカは第二王太子のアレクに一目惚れをし、その婚約者の座をほぼ強引に奪い取る。

 これで自分は安泰だとでも思ったのか養女という事は忘れてプライドの高いキツくて嫌味な娘になっていくのだ。

 こうして自分を愛してくれている兄や義両親を見ると切ない。



「どうしたんだい?そんなにみつめられると照れてしまうよ。僕の可愛い天使」

「……お兄様の方が、か、可愛い天使ですわ」



 ジェシカの言葉にセルエルはくすくす笑う。



「ほら、出来た。今日も可愛いね」



 甘い甘い言葉がポロポロ零れ落ちる。

 なんというか…冷静に聞くと身悶えしそうになる。

 いや、確かにこのジェシカは可愛い。

 うん、素直に受け取っておこう。



「あ、ありがとうございます。ねぇ、お兄様、どうしたらそんなに綺麗に髪を編めるの?」

「それはね、ジェシカを可愛くしてあげたいからだよ」



 一房ジェシカの髪を掬い上げキスをする。

 サマになり過ぎている。

 流石、イケメン。

 無駄にイケメン。妹にやる事か?

 ほんの少しドキリとしたが勘違いしちゃいけない。



「私も可愛くなりたいと思いながらやればできる?」

「そうだね。ジェシカは僕より少し不器用さんだから練習しなきゃダメだと思うけれど、ジェシカは頑張れるかい?」

「ええ、侍女にお願いすれば髪はやってもらえるけれど、学校で乱れた時に直せないのは嫌ですもの」

「じゃあ、観劇から戻ったら一緒に練習しよう。教えてあげるから」

「お願いしますわ」



 セルエルに差し出された手を取りコクリと頷く。

 こうして私のジェシカバッドエンド回避作戦はスワン学園初等部1年生からスタートしたのだ。



イケメンはボイスも揃ってイケメン。

甘い台詞はイヤホンで聞く派です。

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