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15話 作戦会議!アレクセイ編3

前回短めだったので長め



 男爵令嬢とアレクセイは再びデートを重ねてデレデレ王子の出来上がり。

 ジェシカはこの件以降、男爵令嬢を徹底的に無視する。

 男爵令嬢には色々と意地悪、いじめのような事が続き徐々にエスカレートする。

 そして、卒業前日にアレクセイによるジェシカの呼び出し。

 そこには取り巻き1.2のクリステルともう一人。

 アレクセイの弾劾裁判状態。

 状況証拠しかないが疑わしきは罰しろ裁判で見事に有罪。

 侯爵家から養子解除。

 ジェシカ達はゲオルク島の修道院へ。

 男爵令嬢とアレクセイは婚約し、デビュタントでエスコートされ婚約発表となる。






「ジェシカって悪役?なんかもっと嫌な子だと思い込んでたよ」

「一応悪役かな。ライバルが正しい気がしますけどね。もし男爵令嬢に対する嫌がらせを全て自分で手を出さずに本当にやっていたら立派な黒幕」

「まぁ確かにね。しかし、アレクセイもセルエルも恋は盲目というか何というか?ジェシカの話しに聞く耳持たないね。これはジェシカが悪いのか…それとも彼等の過ちか…ジェシカとアレクセイの出会いは子どもの頃だっけ?」

「うん。時期的に今の私達くらいだから、そろそろじゃないかな?婚約者選びのパーティ」

「そういうのはフランシスカが詳しい。あの子はいつのまにか情報を入手してるの」



 フランシスカの名前を出した瞬間、クリステルは顔を痙攣らせた。



「そうですか…ところで次は誰にしますか?」



 視線を合わせない様にしてクリステルはノートを指す。



「早くしないと何日もかかります」



 クリステルはフランシスカの般若顔を思い出した。

 怖い…あんな顔でずっと見られるのは御免被る。

 出来るだけ短期間で終わらせるそしてもう関わらない。

 なんならお父様には悪いが領地に戻ろうか…

 修道院送りよりマシだろう。良くて退学なのだから単なる子爵令嬢の恥としては領地引きこもりの方がマシだろう。

 逃げる算段を付けているとジェシカにジッと見られている事に気づく。

 何かを見透かそうとするその瞳に思わず身体がギクッとなる。

 喉がひりついて言葉がすぐに出ない。

 腐ってもいや、転生していたって悪役令嬢は悪役令嬢なのだ。

 何かを、クリステルの本心を見抜いてもおかしくないかもしれない。

 でも、本当綺麗な顔だよね。

 と、見惚れて少し油断していたかもしれない。

 侯爵令嬢が網に捉えた獲物を逃がす訳がなかったのだ。



「それなんだけどさ、どこまで確認したらフランシスカに話していいと思う?」

「いや、それはジェシカ様が決めてくださいよ。私は誰一人遭遇してません。今の顔と名前や爵位も知りませんから」

「ジェシカ様じゃなくて、呼び捨てしてね。『ジェシカ』と。はい、リピートアフターミー『ジェシカ』」

「お戯れを」

「ほら、リピートアフターミー『ジェシカ』」



 ガシッと手を掴まれて形の良い唇が間近まで近づく。

 言うまで離さないからねとアイスブルーの瞳が雄弁に語っている。

 顔中いや、身体中からグングン気配が立ち上っている。



「……ジ、……ジェ…無理!!」



 意を決して口を開いても脳内に浮かぶのはフランシスカの般若顔。

 私を差し置いて!と般若が怒っている。



「なんでよ?」

「昼間の…」

「昼間の?」



 カタカタ震えだしたクリステルにジェシカは訝しむ。

 そうして美しい眉を寄せて……



「あ!フランの般若!」



 思い出してくれたらしい。

 青い顔のままクリステルは何度も頷く。

 噂に聞いたフランシスカ様は優しい穏やかな方だと聞いていた。

 ジェシカ様はキツイ性格で多少我儘だが最近は思慮深くなったと聞いていた。

 なのにどっちもその実態は般若と我儘女王様だ。少なくともクリステルに対してはどちらもその表向きの顔は出してもらえなかった。

 そんなレアいらない。

 わたしは平凡がいい。



「そうだね…あれは般若だった。初めてみたわ…おっとりしたフランシスカがあんな顔出来るなんて新しい発見だわ」

「そ、そんな事より、つ、次…あと誰知ってますか?私はどなたとも交流はありません」

「ふむ…確かに私もお兄様とノインしかわかんない。ノインクリアしてないし。ノインは私達絡むの?」

「ゲームのノイエット様はジェシカ様とは絡みません。ただし、この世界ノイエット様はわかりません。なんだかセルエル様と一緒にお見かけした感じですと、ジェシカ様を大変気に入ってらっしゃるようでしたし」

「確かに可愛がって…と言うよりお兄様の度が過ぎるスキンシップから助けて貰ったり守ってもらう事が多いかな」



 クリステルはセルエルの隣で優雅に微笑むノイエットを思い出す。

 いやあれは逃げるなと脅す笑顔だ。

 絶対にジェシカに何かあればセルエルと共に絡んでくるのは間違いない。

 どう言う意味でジェシカを守る体制なのかわからないが、わかりたくもないから可及的速やかに退避の方向で動きたい。

 ここで頑張るからこの後は放っておいて欲しい。



「そうですか…ではここまででしょうか…あとはジェシカ様が実際お会いなった時にでも簡単にお伝えすればよいのではないでしょうか?ゲームとジェシカ様の現実とはやはり違いますからあくまでもご参考程度にしかわたしの知識は役立たないと思います。それでは、わたしはそろそろ帰り…」

「どこまでフランシスカに話していいと思う?」



 フランシスカはガシッと逃げようとしたクリステルのその手を掴み握ったまま問う。

 逃がさない。というか本気でどこまで話していいかわからない。

 助けが欲しい。



「いや、それは、あなたの好きにしたら…」

「フランは賢すぎて…正直、間違いなく、クリステルも転生者ってバレる」

「……全部話したいなら話せばいい」

「一応…いいのかなって」

「少なくとも、ゲームのジェシカだったらそんな事聞くのはありえないでしょうね」



 クリステルが嘆息する。



「一緒に…ね?」



 潤んだ瞳で少し見上げるようにお願いする。

 ジェシカの顔を100%活かした作戦だ。

 クリステルはなんだかんだでこの顔を良く見ている。

 男でも女でも好みの顔というものは存在する。

 案の定、クリステルは苦く顔を歪めてゆっくりと渋々首を縦に振る。

 自分の顔を利用するなんてやっぱり私は悪役令嬢かしら?




 クリステルは何度か大きく呼吸した。

 やがて諦めた様な顔で頷く。



「……わかりました。いつですか?」

「明日!明日はお休み!朝からフランを呼ぶから今日泊まってて!」

「は?いや、帰り…」



 クリステルの言葉を遮り侍女を呼ぶ。



「クリスが今日泊まって行く事になったから準備お願いね?」

「いや、だから!帰るから!」

「お兄様紹介するね?」

「話しを聞きなさいってば!」

「ほほほ!私は悪役令嬢!」

「使い方間違ってると思うの…」



 クリステルは策略に見事嵌ったのを自覚してガックリと肩どころか首を落とした。



こんな感じのコメディタッチが基本です。

多分。

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