11話 作戦会議!ゲームのセルエル編1
ここから説明に入ります。
まずはゲームのセルエルルート第一弾
この世界、『フェアリー・スワン』はスワン学園を舞台にした恋愛シュミレーションだ。
主役は男爵令嬢。
デフォルトの名前はお互い忘れた。
彼女は男爵と市井の娘というか、侍女として働きに来ていた娘に懸想をして孕ませた。
孕んだ事に気付いた娘はお屋敷を暇乞いをし、逃げて一人で娘を産む。
それが後の男爵令嬢だ。
令嬢が12歳の頃母親が倒れ、何かあれば男爵を訪ねろと告げる。
それからすぐ母親は亡くなるが、その死の直前、男爵が探し当てて見守られながら母親は死に、令嬢は男爵に引き取られる。
みっちり2年、男爵とその奥方に令嬢教育を受け満を持してスワン学園に入学し、イケメンゲットするのだ。
エンディングはデビュタントでゲットしたイケメンとダンス。
又がけは出来るが最後は一人に絞る。
男爵令嬢的エンディングは各ターゲットとのエンディングと、一人で凹んでご卒業、みんな仲良し(ただしイケメンに限る)、何故かジェシカ達とのライバル友情エンディング。
「ここまでは間違いない?」
「はい。私達のバッドエンドエンディングは、セルエル、アレクセイが修道院送り。ラドヴィックとカルフェは領地外出禁。関わりがまったく無いのはアーサーとロイエンタール。他はチラチラ意地悪ショット出て来ますけど追求されたりとかの大きい問題は無かった。誰から整理する?」
「お兄様」
ジェシカは即答した。
セルエルは1番身近で、今は自分にベタ甘なのだ。
この優しさがいつまで続くのか?
記憶が確かならばゲームの中の高等部3年の1年間はかなり辛辣な言葉と冷たい態度を取る。
男爵令嬢を庇いまくり、その裏でジェシカを養女から外す手はずを整え、卒業前に修道院送りにするのだ。卒業さえさせて貰えない。
フラグを上手くへし折れば最悪、セルエルと男爵令嬢がくっついても、修道院送りは免れる。
「男爵令嬢との出会いは入学初日だから…」
セルエルと男爵令嬢の出会いは入学初日。
早く来すぎた男爵令嬢が散策していると学院に進んだセルエルがやって来る。
お辞儀をした瞬間にリボンがハラリと落ち、セルエルが拾って結んであげる。
甘い台詞とともに。
「ここは問題無し」
ジェシカ達は頷きあう。
セルエルと男爵令嬢は庭園や図書館でよく会ううちに次第に打ち解ける。
ある日、高等部の図書館の片隅で勉強中にセルエルが偶然やって来て教えてくれる。
教え方がわかりやすいと礼を言う男爵令嬢に「昔は良く妹に教えていたんだ。昔は可愛かったからね」「今は?」と問うとにっこり笑って「また教えてあげるよいつ来る?ああ、毎週水の曜日のこの時間、ここで」勝手に決めて去っていく。
「と、言うことは高等部3年は私を可愛いとは思っていないと言う事だからその前になんかあるわね」
「次のエピでセルエルがジェシカに近付かないように注意してたはず」
小まめに二人で合ううちに秋の文化祭。
男爵令嬢はミスコンに出る事に。
眉を顰めて止めるセルエル。
推薦を受けてしまって辞退出来ない事を知ると「アレクセイ王子の婚約者のジェシカ・コルダにはなるべく近付かないように」「え?」「僕の思い過ごしなら良いんだが…約束だ」頷く令嬢。
「あ!次が切り裂きだ!」
「うん、コンテスト舞台に上がるドレスの切り裂きスチル、そして、制服のまま舞台に上がった男爵令嬢を庇ってミスコンに輝いたジェシカをセルエルが断罪するシーンだね。ジェシカがやったんじゃないか?って」
「そしてセルエルが2位の男爵令嬢を華麗に連れ去って美しい髪飾りを送って甘い台詞のオンパレード。事前に見せてたドレスに合わせたんだけどって切ない目で口説く」
「でもさ、これって実際やってたかは不明だよね?ジェシカは、衣装も用意できないの?って聞いただけだし。嫌味っぽい顔だったけど」
「どうかなぁ。ファンの間じゃ、ジェシカやった説が濃厚だけど、セルエルファンは学校に多かったからねぇ」
「ゲームしてる時はおいおい!王道かよ!って思ったけど、男爵令嬢視点だと犯人は描いて無いよね?その後のセルエルに色目使ってってお茶かけるのは確実に犯人だけど。スチルあるしね」
そう、濡れ衣な可能性のイベントもあるのだ。
回避できるなら回避するに越した事は無い、
二人はノートに二重丸を付けて回避エピの目印とした。
ちょびっと真面目路線続きます。




