プロローグ
取り敢えず書き続けるぞと意気込みを込めて、プロローグUP。
後に色々入れ替えたり、弄るかも。
俺は、気がつくと「そこ」にいた。
耳鳴りが治まらない中、引きづるように倒れていた小さな身体を起こすと、鈍い痛みが身体中から脳へと伝わった。
ぼんやりと鈍った思考のままに辺りを見渡すと、そこは廃墟のような一室であり、窓枠には窓はなく、乾いた血がそこらに広がっていた。
「ッ……ァァァ…… ここは……?」
掠れるような喉を慣らし、誰に向けた訳でもない一言に応えてくれる人物は無論いなかった。
しかし、同時に外から爆発音が聞こえた。
耳鳴りは徐々に収まり、外からの音に意識を傾ける。
鳴り響く銃声、不定期に聞こえる爆発音、そして何かが燃えているような音に気が付いた。
窓枠に近づき、外をみると、まず雨が目に付いた。次にこの建物の下を見るとどうやらこの建物が燃えているらしく、黒煙が上がっており、鼻血であまり効いていなかった鼻も火災の臭いを探知した。
俺は、自分が何故ここにいるのかを考えた。
そしてその結果、何も思い出せないことに気が付いた。
「……意味が分からないぞ。くそったれ」
自らの名も、状況も何も思い出せず、混乱する思考をどうにか制御し、俺はまず脱出することをようやく決めた。
自分が元々いた階層は5階だったらしい。1つ階層を降りた際に、近くの階段の表記からそれに気づいた。
5階は幾つもの小部屋が並ぶような作りなっていたが、1階は大きなエントランスになっているらしく、また煙が立ち込めており、銃声は建物の外側から鳴り響いていた。
1階からの脱出は厳しいとの判断の元、一時的に2階の階段踊り場に戻る。2階にも煙は立ち込めていたが、まだ1階程酷くはなく、脱出の経路を考えた。
2階の窓からそっと顔を出すと、外からは人の気配も多く、誰かが叫ぶような声も微かに聞こえてきた。敵であるかどうかは分からないが、友好的である保証は何処にもない。万全でないこの状況では安易に立ち向かうのは危険であろう。
「なんだ?」
ふと疑問に感じたのは俺自身の思考についてである。
――まるで「万全の状況なら何とかなる」という考えに至らなかったか?
そして疑問の答えは、その後すぐに出されることとなった。
先程使用した階段付近から人の足跡が聴こえてきた。
「不味いッ!」
隠れる所を探そうとするが、階層を移動するための階段は既に使えず、2階は廃墟さながら何もなく、幾つかの柱があるのみだった。
一先ず一番奥の柱に隠れたが、遂にその瞬間は訪れた。
「2階、熱源を探知ッ! 数は一、ターゲットかもしれません!!」
「捕えろ!ターゲットでなければ殺せッ!」
4つの足音がが柱へと近づてくる。見つかるのはもう時間の問題だ。心臓は煩いくらい鳴り響き、身体中が熱くなる。
――殺されるかもしれない。いや、殺される、殺される殺される殺される。どうする?どうするどうするどうする。どうするんだ!
頭の中がまとまらない。ただただ、恐怖に全身がどっぷりと取り込まれていた。
そして、恐怖が限界へと達した瞬間。冷たい「ナニカ」が全身に流れた。
「殺されるくらいなら殺せ」
ふと、先程までの俺とは思えない声が俺から発せられた。思考より先に手が動く、足が動く、身体が動く、「ナニカ」が動く。
「嗚呼ァァァァァァッ!!!!!」
柱から飛び出し、武闘した四人の大人に突っ込んで行った。手を前に掲げる。「ナニカ」が疾走らせる。
「ッ!撃て、撃てッーーー!!!」
複数の銃弾が俺に向かって撃たれる。俺はまるで時が止まったように、自分の眉間へと放たれた銃弾を認識した。その瞬間、「ナニカ」が発動した。
自分自身の影から黒いオーラのようなものが俺の視界を覆い、銃弾との接触を防いだ。
それを見た武装部隊が騒ぐ。
「ターゲットで間違いありません!どうしますか!?」
「そのまま撃ち続けろッ!ターゲットなら銃撃くらいでは簡単に死なん!!」
やまない銃撃を無視し、そのまま彼らへと突っ込んだ。俺にあたる銃撃は黒のオーラが全て弾いた。
そして遂に攻勢へと出た。
「来い!黒狼ッ!!」
その瞬間、前方で銃撃を続けていた2名が、彼ら自身の影から現れた黒い牙のような物に貫かれた。即死は確実だろう。
「隊長ッ!!」
「接近戦に切り替えるぞ!!」
後方にいた二人は、中距離戦は不利と判断したのか、左右から二手に別れ、突っ込んできた。彼は先程使用した「黒狼」を放つが、全て躱された。
「遅いッ!!」
隊長と呼ばれていた男が叫ぶ。
既に二人は俺を挟むように位置をとっていた。
そして放たれる。左右からのタイミングのずれた、ナイフによる刺突。
しかし彼には全てが視えていた。
瞳が黒から朱へと変る。俺の中の時間はその勢いを弱める。
――遅いのはお前らだ。
胸部を狙った一撃、そしてすぐ後に迫る背後からの一撃。
身を捻り、最初の一撃をいなす。いなすと同時に目の前の敵の首元に手をかざす。かざした手の影、それが映る衣服の袖から、黒の一刺しが目前の敵の首を貫く。背後からの一撃には自らの影から「黒狼」で対処。最後の兵士は貫かれた。
「ぁありえない……」
死に際の一言。だけれども、そんな事を気にする余裕はなかった。鋭く尖った感性が、階下からの気配を察知したのだ。
「行こう」
今の俺に、恐怖や躊躇い、そして人を殺したという後悔はない。「ナニカ」を纏わせ、黒のベールに身を包みこんだ俺は、窓から身を投げ、人に見つからぬように、静かに闇へと消えた。
後に、俺は知る。そこが「第三侵入禁止区域」と呼ばれる檻の中であることを。
そして生きる為に、俺は本能に身を任せ、多くの命を刈り取った。記憶を失った俺に名はなく、いつしか俺は、「死神」という異名を得ることとなる。
――そして、数年の時日が過ぎた。
暁の護衛をプレイする前からあったシナリオ(プロット)なんで許して下さい何でもしますから((