我が家のモフモフ犬?いや、違うな…あれはヌコだ
私の家で昔、マルチーズを飼っておりました
名前はチャオ、雄です
知り合いのペットショップで売れ残り、あわや殺処分の危機的状況で野生の本能で私にすり寄ってきたヌコのお話です
我が家に来た頃は私の姿を見て震えていたのですが、月日となれとは怖ろしいもので……。
「おいっ……そこはお前の布団じゃない」
ソファに横になっていた私のお腹によじ登り丸くなるチャオ、まるで某アニメのイヌのように丸くなり綿菓子のような姿…。
モフモフの手触り……けど、重い。
我が家に来た当初は私を避けて通っていたのに、今では鬱陶しげに私の足を跨ぎ通り過ぎていく始末……どこで教育を間違ったのだろう。
まぁ、それだけならただのワンコですが我が家のチャオ様は犬としてあるまじき行動をとるのです。
そう、それは………散歩嫌い。
うぉ~い、お前さん犬だろ?
リード見たら普通は喜ぶぞ?
なぜ…イヤそうに逃げる?
リードを無理矢理付けて、さぁ散歩………はいっ、一歩も動きません。
おやつ片手になんとか外に連れ出しますが、最終的に私が抱えて連れて帰る始末。
もちろん、ワンコが大好きなボール遊びも致しません。ペットショップで買ってきた柔らかいボールを目の前で見せて…。
「ほれほれ、さぁ取ってこぉ~い」
と投げてみますが
ポンポンポンポンーーー。
虚しく遠のいていくボールを横目に。
〔何やってんの?〕
と言わんばかりに呆れた表情で私を見つめます。
ワンコですよね?
それ以降、玩具を買い与えることをやめました。
また別の日には、部屋の掃除をしていた際に私は玄関を開けっ放しにしていました。
「あれ?チャオがいない……まさか?」
部屋中を探しても姿が見えません。
まさか、外に行ったのか?
私の家の前は大型車が頻繁に通る車道があります。私の脳裏に嫌な予感が走りました。
慌てて探しに出ようとした私ーー。
ですが、お隣の奥さんが困った表情でふいに我が家を訪れてきました。
「…あのぅ」
何だか言いにくそうに私を見つめます。
嫌な予感が私の脳裏を過ぎりました。
「なんでしょう?」
胸騒ぎを感じながら尋ねます。
「そちらのワンちゃんが玄関で寝ているので連れて帰って貰えませんか?」
一瞬、何を言っているのか分かりませんでした。
「はいっ?」
思わず、聞き返します。
「えっとですね、そちらのワンちゃんが玄関の扉の前で寝ていて扉が開けられなくて…」
困ったような表情を浮かべるお隣さんに私の顔は羞恥心で真っ赤に染まります。
「す、すいません!直ぐに連れ戻します」
慌ててお隣さんの家に伺うと、まるでその家の主だと言わんばかりに玄関先で丸くなっているチャオ様の姿が……。
ペシンッ。
思わずチャオ様の頭を叩いてしまいました。
「なにやってんの、お前は?」
ふいに叩かれて不機嫌そうに私を見つめるチャオ様を抱え上げ、苦笑いのお隣さんに平謝りです。
そんなワンコと言うよりニャンコに近いチャオ様が唯一アグレッシブに行動する時があります……それは、ご飯の催促の時です。
夕飯時になると何時もは無関心な私に対してこれでもかと擦り寄ってくるのです。
その姿はまさしくニャンコです。
「……犬だよな」
思わず疑いたくなりますよ。
そのうち、ニャア~って鳴くんじゃないだろうかと何度、思ったことか分かりません。
ただね、可愛いところもあるんです。
寒い冬の夜、私が買い与えた超フワフワ極上犬用ベッドから抜け出したチャオ様は私の眠る布団に近づいてくるんです。
〔くぅ~ん、くぅ~ん〕
なんて、耳元で汐らしく鳴かれれば私だって鬼じゃありません。少し布団を持ち上げてあげると、サッと潜り込んできて私の直ぐ傍で丸くなるんです。
そっと手で触れるとモフモフした毛皮が気持ち良くて私も満足するまで撫でてから眠るんです。
きっと、良い夢が見れますよね。
……………………な、わけないんですよ。
だって、うちのワンコですよ?
うちのチャオ様、寝相が悪いと言いますか自己主張が強いと言いますか、徐々に私を布団から追い出し始めるのですよ。
丸くなったお尻を私の顔面に擦りつけ徐々に私を布団の端に追いやっていきます……。
最終的に私は辛うじて布団の隅で陣地を死守し、チャオ様は布団のど真ん中で眠るのです。
あれ?ワンコって主人に忠実……えっ?あれ?もしかして私のご主人は貴方?
そんな理不尽を共に過ごしたチャオ様も寄る年波には勝てず、10年ほど前に13年の人生を全うしました、今思えば楽しい日々でしたね。
はっ!?モフモフ話を忘れてた……。