>嫌われ者役の死に様
改心するのではなく、こういう最期に落ち着きましたか。
隔離施設で自分達の薬に固執して死亡
けれど家族には主人公の薬を飲ませたということは
従来のありとあらゆる薬草が効かないという事実は解っていて
ありえない成功を夢見て自殺に近い選択をしたという事なんでしょう。
末期の癌などで
助かる可能性が0に等しい場合に選ぶ“ 尊厳死の選択 ”
による治療拒否とは
正反対の“ 愚かさ故の死の選択 ”で
武士の意地や特攻隊の悲劇といった争いの中の自死
と共通した“ 生命の価値を貶める類の自死 ”。
主人公の目的である“ 医学と薬学の啓蒙 ”に死んでまで抵抗する
無知蒙昧と頑迷さを感じた最期でした。
“ 助かると解っている重篤な副作用もない治療を拒否させて、信者に効果のない治療を受けさせる ”
ような宗教組織などが現代にもありますが
現代なら家族が訴えて
裁判所で
禁治産者が“ 財産を自分で管理できない精神状態 ”と認定されるように
信者を正常な判断ができない者として“ 生命を自分で管理できない精神状態 ”と認定させられるでしょうが
中世レベルの法治国家でない国だと
宗教者も信者もまとめて
閉じ込められて焼き殺されるような行いです。
主人公以外が責任者なら
家族も一緒にまとめて焼き殺されるのと大人しく治療を受けるか選ばせていたかもしれませんねぇ。
主人公の管理下だからこそ
かえって残酷なこういう最期になったのだろうかと考えると
《薬師ギルドから散々妨害を受けてきた主人公だったが、感情と理性は切り分けることを徹底していた。》という描写もあったように
主人公の中に
「やるべきことはやったんだから、死を選んだのはあいつら自身のせいだ」と自分を納得させる大義名分と
“ 復讐心や邪魔者を排除したい無意識の欲求 ”があった結果
こうなったのかもしれないと感じさせるシーンで
熱血医療ドラマとかだと
“ 法的にはともかく医師としてなら唾棄される行い ”として非難されて
主人公が無意識にそう望んだ結果ではないのかと自分を責めてと落ち込むとかの描写がありそうですが
薬学を専門としている人間で
医師としての教育を受けているのではないし
このサイトの“ 復讐心と排除欲求を満たすカタルシス ”
を望む読者層を考えると
これが落としどころなのかもしれませんねぇ。
“ 医学と薬学の啓蒙 ”に抵抗する“ 無知蒙昧な狂信者 ”の心を治療できなかった失敗と解釈して嘆くのか?
“ 無知蒙昧な狂信者 ”が自殺して万歳と悦ぶべき事だと“ 無邪気な復讐の快楽 ”に浸るのか?
あるいは
「愚か者の鼓動の停止など、とるにたらない些事」
と心に留めないのか
主人公の選んだのは
“ 真摯な医療者である純粋さ ”でなく
“ 無邪気な傲慢と悪意 ”でもなく
“ 効率的な医療のための愚者の切り捨て ”
あるいは
“ 新しい治療法による医療の限界を、先駆者として定義する事 ”だったわけですが
「しかえしのカタルシス」とは正反対の
“ 現実ではできない事をやってのけるカタルシス ”を得たり
“ 凡人としては到達できない気高い精神への憧れ ”を満たす
という
「求道と理想を愛する楽しみ」
はない「理想を目指しているはずの主人公」の選択としては少し残念に感じました。




