19話 やっと来た異世界要素
改めてテンション上がるわー!!!
今まで異世界っぽいなーって感じたのが「魔法」と「魔獣」と「技能」だけっていうな!
だって転生した場所廃れたビル街だぜ!?
新手のドッキリだって言われても信じれる状況だったよ全く!
「リリムさんリリムさん!!街見て回りたいんだけど!」
「・・・急にどうしたのよ、そのテンション。まあ少し時間はあるし、ちょっと歩きましょうか」
無邪気な子どものように声を上げて話しかけるとどうやら呆れられたようで、ため息をつかれてしまった
まあいいだろう!
そんなことより探検じゃー!
リリムさんを置いて、俺は山を駆け下りていった
「まったく。大人らしいんだか子供らしいんだか・・・」
リリムさんは俺の背中を眺めながら、その姿を消した
あっれ~おかしいな
置いていったはずのリリムさんが、なぜか俺より先に国内へとつながる門の前に少し自慢げに立っていた
「『空間移動』ですか。俺も連れて行ってほしかったですけどね・・・」
「勝手に先走ったのはそっちでしょ?」
まあそうですけども
「まあいいわ。さて、ようこそ。私の母国、タルシタ王国へ」
リリムさんの声と連動するかのように砂埃を上げながら門は開きだした
門が完全に開かれた時、俺は幼稚園生が某夢の国に行くレベルの激しい動機に襲われた
やっべぇ、めっちゃ楽しみ・・・
「まずはどこに行くんだ?武器屋か?ギルドか?それとも質屋か?」
「どれも違うわよ。ここの近くだし私の家に寄ろうかなと思ってね。それでいい?」
「オッケーです!じゃあ行きましょうすぐ行きましょう」
大きく親指を突き上げると、また走りd・・・
「・・・ああ、歩いていくわよ?ほんとに近いし」
じゃあ俺も歩こうかな
リリムさんの隣でぶらぶらと町を見ていると、一つ面白いものを発見した
「あれ!あの食べ物なんだ!」
「・・・?あれは私も知らないわ。ここ5~6年の間にできたものかしら」
リリムさんでも知らないことってあるんだな
{そりゃ、彼女も化け物じゃないからな}
まあそりゃそうだな
そんでそこにある面白い物っていうのは、秋葉とかで有名なケバブだった
異世界だと名前は「キバン」らしいけど・・・
とりあえずすごい美味そうだ
そういえば、だけどさ
{どうした?}
俺ってこっちに来てから何食ったっけ?
{あ~、そういえば回復薬しか食ってないような・・・}
〖死体も食べましたよ?〗
あれは吐いたからノーカンで
だとしたらもう2日も何も食ってないのか
ここは年下らしくおねだりでも・・・
「ああ、ちなみに。私今持ち合わせないからね」
先読みされた!?
くそう、ならまた今度買ってもらうとするか
しかしよく見ていると、
「おっリリムさん久しぶり!」
「あ~、お姉さんだ~」
「やっと帰ってきたのかい。ほれ、これ持って帰んな」
老若男女に笑顔で話しかけられてるリリムさんって愛されてるんだな~って思えてきた
そんなこんなで、やっとリリムさんの家に着いた
どうやら元の世界とこの世界では近いの感覚が少しずれているようで、15分もかかった
「お、おお・・・」
リリムさんの家は豪邸だった
ここらの家の2、3倍はあるだろう大きな館
どこぞのアナウンサーが「東京ドーム〇個分!」と言いそうなぐらい広い庭
思わず口から歓喜の声が漏れるぐらい、それはすごかった
「えっと、ここがリリムさんの家、だよな?」
「再三言わせないでよ・・・。ここが私の家だって言ってるでしょう?」
意外と金持ちの家系に生まれたんだな
{この人悪魔だから家族はいないぞ}
あ、そだっけ
そういえば結構強いとか言ってたし、その実績からか・・・
「そう言えばヤクスさんは?」
「魔王様の所に行ってるわ」
魔王様ってこの国の、だよな?
「この国の魔王様はその、どんな罪を?」
「『嫉妬』よ。もちろんあの人にも七色の悪魔が仕えてるわ」
嫉妬か・・・
いったいどんな奴なんだろうか?
「さて、何か食べましょうか。私おなかすいちゃったわ」
「あ、じゃあ俺が作りますよ。迷惑かけた分もありますしね」
「あらそう。じゃあお願いするわ」
そう言うとリリムさんはキッチンに案内してくれた
つーかまた広いな!
キッチンだけで俺と姉ちゃんの部屋足したぐらいの広さがあるんだけど
「調理器具とかはそこの棚。食材はそこの箱に入ってるわ。火はそこのつまみを握りながら魔力を込めればつくから。じゃ、お願いね~」
一通りの使い方を教えると、リリムさんは鼻歌交じりにどこかへ行ってしまった
さて、調理にとりかかろうとでもするか
まず器具は・・・あれ、向こうの世界と似ているものが多いな
フライパンや鍋、包丁にまな板にあの「オムライスとか作るときに卵をひっくり返す時に使うやつ」もあった
驚いたのはそれだけではなく、食材を取り出そうとすると、
「寒っ!」
箱の中から寒気が流れ出してきた
どうやらこの段ボールのような箱は冷蔵庫代わりになっているようだ
便利だな、異世界も
うっわ、よく見るとこのキッチンのテーブルも高級品感が漂ってくる
器具等を壊さないように慎重になりながら、落ち着いて料理を始めた
「ん~!美味しいじゃない!」
よかったよかった満足してくれて
4年以上料理してなかったらしいからどうかとは思ったけど、腕は落ちていないようで安心したよ
よほどおいしかったのか、ぺろりとたいらげるとお代わりを要求してきた
ただ、この屋敷にいた使用人らしき方々は少し落ち込んでいた
ちょっと悪いことしちゃったかな
あとで差し入れに持っていくとしよう
「さて、そろそろ時間だしお城に行きましょうか」
早いね、食べるの
ついさっき大盛りで渡したはずなんだけど
まあいいや
「了解です。じゃあちょっと準備してきますね」
「分かったわ。じゃあ先に言ってるわね」
そう言ってリリムさんは俺を置いてさっさと行ってしまった
相変わらずあの人は・・・
さてと、皿でも洗うとするか
ちなみにあの後、あの料理が使用人の皆様に大好評で、ぜひうちのコックになってくれと土下座までして頼まれてしまった