14話 吸血弾ってか?
来週テストなので今週、来週ともお休みさせて頂きます
次回投稿は27日(火)の予定です
「“氷結魔槍”!」
気迫に満ちた少女の声で、この戦いは始まった
それはどうやら魔法の詠唱だったようで、少女の周りには数えきれないほどの氷の欠片が発生した
と同時に部屋に冷気が漂い始める
そして、無数に発生していた氷の欠片は空を切りながら俺に向かって飛んできた
咄嗟に剣で防いでみたものの、数が数だ
ダメージこそ再生できるものの、それを行うための燃料(リリム姉さんに教えてもらったところ、魔素というらしい)がいつ尽きるかわからない
消耗戦になる前に早く決着をつけない「バキッ!」と・・・
ん?バキッ?
どこかからか何かが折れる音がした
これは、どう考えても嫌な予感がする
とりあえず『善意』さん
〖なんでしょうか?〗
直して
〖了解しました!〗
その声とともに、俺を周囲を囲むように壁が発生した
バキッという破損音は、案の定エクスカリバーから出ていた音だった
ある程度耐久はあるはずなんだけどな・・・
あの氷の硬度がぶっ壊れているのかもしくは、
{刀身が凍ったか、だな}
あ、やっぱり?
{まあこの世界の科学技術がどれだけ発達しているかっていうのは謎だから、相手が狙ったやったのかどうかはわからないし、とりあえず気を付けろ}
相変わらず雑でいらっしゃる
{それが俺だからな}
・・・あ、はいそうですね
{えちょっ、そんな冷めるなって}
〖二人とも大丈夫ですか・・・、一応こんな状況ですよ〗
あ、そうでしたね
〖・・・はぁ、しょうがない人ですね。とりあえず新しい効果も付与させたのでさっさと勝ってきてくださいね〗
新しい効果?
〖はい。まあ説明するより実践してみた方が早いので、もう壁壊しますね〗
ん~、『善意』さんが自信満々なときは大体何かやらかすフラグなんだけど・・・
まあいいか、今回ばかりは信用してみよう
立ち上がると、鞘からゆっくりと剣を抜いた
あれ、何か刀身の部分に赤い装飾が施されているな
効果が付いた証みたいな奴だろうか
というか周りが・・・
周りには破壊しようと頑張ったのか、これまた数えきれないぐらいのヒビが床に入っていた
少女は壁が壊れたのを見て、少し警戒しているようだ
さて、効果とやらはどうやって発動するのふぁ?
装飾が気になり、少し刃に手を当てると力が抜けた
『高速再生』のおかげもあって一瞬で力は戻ったが、一体何が・・・
〖それが今回の付与した効果です〗
力を奪う的な?
〖いいえ。力ではなく、血を奪い取るんです〗
『善意』さんのその言葉とともに、剣先からは小さな何かが素早く飛び出した
それは少女の胸を貫通すると、そのまま壁に当たり消滅した
吸血鬼の視力で見えたそれは、丸く赤い何かだった
赤い、紅いそれはたぶん・・・
〖そう、この能力は敵味方の血を吸収し打ち出す能力です。名前はそうですね・・・吸血鬼らしく『吸血』でいいですかね〗
なるほど、俺の再生能力と合わせればほぼ無限に打ち出せると?
〖そういうことです〗
まったくお前は相変わらず・・・
最高のものしか作らねえよな!
刀身に手を滑らせると、溜まった血を一気に放出した
血は波のように少女に襲い掛かり、その体に傷をつけていく
対する少女も氷で対抗しようとするが、有限と無限の差は歴然だ
それに先ほどの弾幕とリリムさんとの一戦で大分魔素を消費していたらしく、5分もしないうちに彼女の方から負けを認めた
そんなわけで、長いようで短かった俺の人生の危機はとりあえず去っていった
ここまで来ておいて今更だが、疑問に思ったことがある
そういえば俺、『生け贄』使ったっけ?
{正確には『死神』だけどな。まあともかく、使ってないぞ?この世界に来てから一回も}
じゃあなんで俺は、今ここにいるんだ?
なんで俺は自動的に死の運命から遠ざかっているんだ?
{それは『死神』にある【事象変化】っていう効果のせいでな。それは一定確率で起こりうる事象を自分の都合のいいように改変する効果を持つんだ}
つまりは?
{一周回ってチート能力}
なるほど
さて、そんな茶番はおいておくとして・・・
「で?なんで俺がお前のお母さんとやらを殺すって思ったんだ?」
「・・・わたし、みらいみえる。とつぜんみらいがみえて、おかあさん、しらないやつにころされてた」
「で、その知らないやつが俺だったと」
「・・・うん」
今は、完全なる尋問を行っていた
先に部屋に入ろうとも思ったが、こいつが最初に言っていたことも気になったのでとりあえず縛り上げた
勿論逃げ出そうとしていた男も一緒に
「そう言えばお前、今更だけど血とか出てないよな」
「・・・わたし、あくま。だからち、でない」
ん?
なんだか気になることを聞いたんだが
「あれ。リリムさん前怪我した時、血がブッシャ―!!ってあふれ出てなかったっけ?」
「ああ、それは私が特別だからよ」
「特別?」
「そう、まあ私たちといった方がいいけどね。私の種族は悪魔公っていってね、悪魔族が進化した存在なのよ」
進化って・・・
あの体がバラバラになる奴だっけ?
{それはポケモン限定だろ。しかもあれゲームだし}
それもそうだな
「で、悪魔族っていうのは基本死体で受肉するの。でも悪魔公はちょっと特殊で、生きている人間にしか受肉できないのよ」
「あ~、だから血が流れてるのか。でもなんで生きている人間限定なんだ?」
「それはね、死体じゃ私たちの魂の強さに耐え切れず器が崩壊してしまうのよ」
「なるほどわからん。てことは、お前は悪魔族ってことでいいのか?」
そうやって少女に聞いてみると、
「ちょっとちがう。わたし、なないろのあくまっていうの」
少し恐ろしめに(全然怖くないけど)、どんよりと答えた
七色の悪魔?
「なあリリムさん、七色の悪魔ってなんだ?」
「・・・正直、私もそれは答えたくないのよね。でもまあいいわ、七色の悪魔っていうのはね・・・」
リリムさんの言葉は、そこで途切れてしまった