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英雄になれると思いましたか?  作者: 蔵餅
堕落した戦姫編
25/68

10話 ロ、ロリコンじゃねーから!

忙しかったので今回は字数が少ないです





「ほんとにここにいるんですか?あの、全く気配を感じないんですけど・・・」

「馬鹿ッ、勇者様が言ったことだから真実で間違いないだろ!!ですよね!?」 

 トサチスさんはここにあいつがいないことに気づいたらしい

 まあ、俺はここにいるなんて言ってないんだけどな

 「いや、ここにはいないぞ?」と言おうとした

 でも、何も聞こえなかった

 別に、ガムテープが張られているとか、口をホッチキスで止められているとか、口にホッチキスとカッターを突っ込まれているとか、そんな感じではなかった

 声は出ていた

 声は出ていたはずなのに、パララは、みんなは何の反応も示さなかった

〔そりゃそうですよ。あくまでこれは過去にあったことを流しているだけです。貴方はビデオに映っている人と意思疎通ができますか?そんな感じです〕

 そうか、そうなのか

 じゃあ俺することが・・・

〔今やることは見ることですから黙っていてください〕

 黙ってって言われてもな・・・

「あ、あそこに扉があるわよ。とりあえず入りましょうか」

 長い廊下を歩いた先には赤いドアがあった

 赤い、赤い血に染まったドアが

 周りには人が何人も倒れている

 たぶん、彼らの血だろう

「・・・ここは、やばいな」

「ええ、そうね。気を引き締めないと死ぬわよ?」

 そう言ってガネーラは死体の横を素通りし、ドアを思いっきり開けた

「え?あいつなにやってんの!?」

〔やりますね。度胸だけならそこの男よりありますよ〕

 そこの男ってのは・・・たぶんパララの事だろう

「な、な、な、何やってるんですか!!こんなことし」

 そこでトサチスさんの声は途絶えた

 彼女は、死んでいた

 いつの間にか、死んでいた

 頭部がきれいに切られ、脳が露出している

 彼女は悲鳴さえ残さず死んだ

 ひゅんと何かが空気を切る音がして、俺は眠くなってきた

 視界がだんだんと暗くなっていく

 結局俺も、声1つ出さずに眠ってしまった





 

「えっと・・・これを見る限りだと俺、死んだことになるんだけど?」

〔大丈夫です。生きていますから安心してください。あと、トサチスさんも生きてますよ。というよりみんなですね〕

 そうか・・・

 ならあれか?幻覚ってやつか?

〔そうですね、あの部屋にいたのは魔人だと思いますけど・・・正確には分かりません。一応魔獣でもある程度の知恵があれば幻覚を起こすことは可能ですし・・・まあ、気を付けてください〕

「最後無責任だなおい!」  

〔さて、じゃあ出ましょうか。この空間から〕

「ああ、そうだな。早く出る方法を探さな・・・『神通者ジャンヌ』?今なんて言った?」

〔え?出ないんですかここから〕

「出れんの!?ここから。いったいどうやって出るんだよ?」

〔ああ、ご主人があの映像を見ている間にこの魔法は解析して、抵抗レジストが可能になったんですよ〕

「・・・・・」

 そりゃ絶句ものですよ

 だってこんなチートスキルを自分が持っているんだから

「まあいいや。とりあえずまた今度説明は聞くとして、解除お願い」

〔了解しました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔法の解除に成功しました。また、その副産物として『幻覚耐性』を獲得しました〕

 その声と同時に、あの長い廊下は消えていく

 そして、目の前に赤いドアが現れた

「この先にいるんだよな?」

〔はい。完全に油断してますし狙うなら今ですよ?〕

「そんなんわかるかよ」

〔わかりますよ。ほら、物凄く濃い妖気オーラがこの部屋からあふれ出ているのがわかりますか?〕

 ・・・・・・・・・

 確かに、この扉の向こうから物凄い威圧感を感じる

 真司の時よりも強い威圧感が

「あいつより強いか?」

〔どうでしょう。まずあいつの本気を私たちは知りませんからね。こればっかりは最強の私でもわかりません〕

「自分でそれ言っちゃうんだな」

 俺は苦笑した

「んじゃま、行くか」

〔はい、そうしましょう〕

 ドアノブを握り、ゆっくりと回す

 そして、ドアの隙間から見た部屋の中身はと言うと・・・・・ 

「何この地獄絵図」

 部屋が真っ赤に染まっていた

 壁が、床が、机が、ランプが

 赤黒く染まっていた

 そして、その部屋の中心に俺たちに魔法を使ったであろう人物が立っていた

 そいつは、なんというか・・・

 6~7歳ぐらいの幼女だった      





「なあ、リリムさん。上に行かなくていいのか?」

 俺は今、リリム姉さんと一緒に城の一階をくまなく探索していた

「ふふ、大丈夫よ。魔王さんは下にいるから」

 そう言うと急に立ち上がり壁に手を当てた

「ムンイイェオウィヒメイウシゲデウングムネウェイェオッェオァ」

 なんか小さい声でぶつぶつと言っている

 魔法の詠唱ってやつか?

 そう思っていると、リリム姉さんが手を当てていた壁が上から崩れ始めた

「さ、行くわよ」

「いや、行くわよって言われても・・・」

 壁の先は地下に続く階段があった

 先は暗くて見えない

「えっと、ここを降りれば魔王に会えるのか?」

「ええ。さっさと行きましょ?たぶんだけど貴女ならなんとかできると思うし」

「そうですか・・・」

 この2日の間でよくここまで信頼されたものだな・・・

〖で、結局どうするつもりですか?魔王を殺してマスターが新しい魔王にでもなりますか?〗

{いや、それ無理だからな。魔王になるには、というか魔王を名乗るならそれ相応の代償を払わないといけないからな。こいつには無理だ}

 やっぱり『善意ジキル』さん怖いよ・・・

 そういえば『悪意ハイド』。代償ってなんだ?

{ああ。代償ってのはな、まあ死、かな}

 死?

 魔王になるには死ななきゃならないとでも?

{まあ、そんな感じだ}

 ?なんだろうか

 少し悲しそうな、そんな雰囲気で『悪意ハイド』は言った

 そんな『感じ』

 とっても意味深な響きだな

「ほら、何ぼーっとしてるの?そこ、転ぶわよ」

「え?おうわっ!」

 俺は段を踏み外し、すごい音をたてながら下まで転がり落ちていった

 前を歩いていたリリム姉さんはいつの間にか宙に浮き、俺にぶつかることはなかった

「いてて。ちょっ、浮くなんて卑怯でしょ!」

「卑怯って何よ・・・それより、そのドアの先が魔王様がいる部屋よ」

 そう言って俺の後ろを指さす

 確かに気づかなかったが、後ろにはドアがあった

 とても質素なクリーム色?のドアがあった

 ぶつかったときについたのか、ドアには血痕が付いていた

「それより、早くどきなさいよ。ドア、開けられないわよ?」    

「・・・・・分かりました」

 少しふてぶてしくドアの前を退くと、リリム姉さんは迷わずドアノブに手をかけドアを開けた 

 中には何もなかった

 何もない部屋の向かい側に、明らかに危険な雰囲気を醸し出している紅く錆びついたドアがあるだけだった

「そんなに遠慮なく行っていいんですか!!」

「ああ、大丈夫大丈夫。これでも私強いから。そこらの魔人なんかには負けないわよ」

 ほんとかよこの人

 あ、でも昨日あたり強いとか言ってたな

「ほう、なら一つ手合わせ願おうかな」

 その声は突如聞こえた

 何もない部屋から突然、その男は現れた

 白い髪のその男はまったくと言っていいほど存在が見えなかった(・・・・・・)

 目には見えているはずなのに、そこにいないかのように

 まるで、何かに騙されているように

 彼の存在を見ることができなかった

 な・・・何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何を言っているのかわからねえ

「あいつは厄介そうね。よし!行ってらっしゃい!!」

 そう言ってリリム姉さんは俺の背中を押し、俺を生け贄にした

「はぁ!あんたちょおま」

「そうか、貴様が相手か。よかろう、その男気に敬意を払い楽に死なせてやる」

 男気なんか発揮した覚えがないんですが

 そもそも俺、女ですし  

{べ、べつに、いいんじゃな、いか?どう、せ勝てるだろうし( ゜∀゜)アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒゴッ!!!ゴホッ!ゴホッオエェェェー!!!} 

 ツボってんじゃねえよ!

 なんか納得いかないけどとりあえず勝てばいいんだな

 不安だけどまあ、強くなってるし大丈夫だろう

「行くぞ」

「来い」

 その声を合図に戦いは始まった

 聖剣を創り、敵であろう彼に振りかざした

 しかし、その剣は当たらなかった

 剣は彼をすり抜けた

 そのままの勢いで剣は地面に突き刺さる

 こうなるとなかなか抜けない

 でも、そんな心配をする暇はなかった

 彼はいなかったはずだった

 あれは虚像だと思っていた

 でもやはり予想は間違っていたようで彼の剣は、彼の幻だったはずの剣は非常か理不尽か、俺の首を見事に落とした

 あの爺さんのように綺麗にすっぱりと

 俺の首元からは鮮血が噴出し、血だまりができている

 ・・・・・・・お前これ知ってただろ

{な!?なぜばれた・・・あ、ちなみになぜか『自己再生』が使用できないから『時間移動ときわたり』で戻るぞ}

 それもお前が仕組んだんじゃ・・・

{ちげーよ。ほら、行くぞ?}

〖いつでも行けますよ〗

 じゃー頼みます

〖はい。・・・『時間移動ときわたり』の起動に成功。【魂移動】を起動・・・・成功。これより移動を開始します〗

 久しぶりの感覚に少しむず痒さを覚えつつ、俺は暗闇に飲まれた






「あなた、だれ?」

 幼女は俺に問いかけてきた

「えっと、俺は瞬。君、俺の仲間知らない?」

「わたし、しらない。わたし、おにいさん、きらい」

 幼女は手を振り上げた

 すると、窓もないのにどこからか突風が俺に向かって吹いてきた  

 その風は、簡単に俺を吹き飛ばした

 しかし知らない人にきらいと言われるのは少し心に来るものがあるな・・・

〔そうですか、ご主人はロリコンでしたか・・・〕

 チガウ

 俺はノーマルだからな?

〔・・・・・〕

 だめだ、話を聞いてくれない

 風に流されながらものすごい勢いで廊下を進んでいたが、やっと終点である壁に激突し、なんとか止まった

 しっかしかなり離されたな・・・ 

 あの子に色々と話を聞いて、仲間の居場所を聞き出したいんだけども嫌いと言われたし聞いてくれそうにない

「わたし、きらい。おにいさん、ころす!」

 床に頭をつけながら考えていると、突然あの子が現れて、とんでもないことを言ってきた

「“胡蝶の夢(ソン・バボチキ)”!」

 この子は右手をこちらに向けながら言い放った

〔『幻覚耐性』による抵抗レジスト・・・成功しました〕

 この子は俺に幻覚をかけようとしたらしい 

 たぶんさっきのやつもこの子だろう

 なら、言うことは一つ

「粋がんなよ?お嬢ちゃん」

 そう言いながら、俺は切りかかった

〔幼女に手を出すなんて・・・人間の屑ですね〕

 黙っててくれます?

 とりあえず一撃、は躱された

 さすがにあれを見てただの幼女とは思わないだろう

 ガネーラに聞いた話だと状態異常系の魔法は、効果の割にかなり術式や魔法陣の展開が難しい

 それを彼女は魔法陣の展開も、詠唱もなしに成功させた

 まあ、魔法陣なんて魔法の発動を安定させるためだけにあるようなものだし、ガネーラもあまり使っていないけど・・・

 そんなことを考えつつ二撃三撃と攻撃を重ねていくが、すらりと躱されていく

 しかしよく見れば彼女も動揺しているようだ

 たぶん、幻覚魔法が聞かなかったことに驚いているのだろう

 この子があの時の人影か?

 それならたっぷりと情報を聞き出さないとな

 そしてまた、剣を振った





「ほら、何ぼーっとしてるの?そこ、転ぶわよ」 

「え?」

 そのまま俺は、また長い階段を転がり落ちた

 てかここからか・・・

 ある意味最悪のスタートだ

「大丈夫?まあ、貴女なら心配はいらないか」

 またリリム姉さんは浮いて降りてきた

「心配はいらないって・・・さすがに傷つきますよ」

「あらそう?私はそれだけあなたを信頼してるってことよ」

「うっ・・・」

 信頼されていたのにあのざまか・・・

 今回こそはちゃんとやらないと

 そのままドアを開けると、やっぱりあいつはいなかった

「さ、ここを抜けたら魔王様のとこよ」

「・・・ストップ」

「え?」

 向かい側のドアへと進みだすリリム姉さんを止め、そのまま大声で

「いるんだろ?さっさと出て来いよ」

「ほう、よく気づいたな。褒めてやるぞ人間」

 やっぱりあいつが現れた

 いったいどうやって姿を消してるんだろうな?

{さあな、『屈折』と同じ原理じゃね?}

〖いえ、ここらで法則を書き換えたような反応は出てないので先ほどマスターが言っていたように騙されているといった認識で間違いはないです〗

 騙されてる、か

「ここを通りたいなら俺を殺していけ」

「ちょっと、大丈夫なのあれ?」

「大丈夫ですよ。今度は負けません。・・・行くぞ」

「来い!」

 そして剣を構え、2度目の戦闘に入った



 

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