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英雄になれると思いましたか?  作者: 蔵餅
堕落した戦姫編
16/68

1話 拝啓、転生いたしました

やっと本編開始です

ごゆるりとお読みいただけると幸いです

※章の名前は変更する可能性大ですので気にしないでください

 現在改稿作業中・・・・・

 日は昇る

 それが当然のように

 それが必然のように

 そして日は沈み、日はまた昇る

 延々と繰り返されるその現象に、果たして意味はあるのだろうか

 繰り返された俺の人生も、意味はあったのだろうか

 それが分からないまま、今日も日の出は訪れる




 その時俺が目覚めたのは、偶然だろうか

 いつものように、「ああ、また死んでしまったのか」と半分ほど呆れながら体を起こそうとする

 そして、閉ざされた目がやっと開かれた

 周りを見渡すと、そこは俺の部屋でも、広い野原でも、高層住宅が立ち並んだ都会でも、洞窟の中でもなく―――――――

 荒れ果てた街だった

 ・・・・・・・は?

 残念ながら、その一瞬だけで状況を判断できる脳を、俺は持ち合わせていない

「えっと、どういうことだ?」

 とりあえずこういう時の『善意ジキル』さん頼みだ

〖と、いいますと?〗

「えっと、俺死んだよな」

〖はい、死にましたが何か〗

「『過去移動さかのぼり』は?」

{封印されてて使えなかった}

「え、封印って、まじか・・・」

 おかしいな、ショックを受ける場面なはずなのに

 それ以上に周りの変化等に驚いていて、どうもその事態には反応を示せない

{まじだ。天童さん(あの子)が死の間際に、『蛇妃メドゥーサ』暴走させちゃって、結局『二重人格おれら』も封印されたんだ}

 そうだったのか

「え、ってことは何だ?『悪意(お前)』が前に言ってた死後の世界か?」

{いや、異世界だな}

 異世界!?

「いや異世界って。え~!?」

{残念ながらこれが現実だ。あきらめろ}

 そんな辛辣な・・・

「いやなんていうか、もうちょっとなんか、異世界っていうとほら。もっと自然が残ってて、科学技術も発展してないど田舎みたいなイメージがあるんだけど。それと比較するとどうよ!この世界は!」

{どう見ても世紀末だな}

 いやまあ別にモヒカンの人がバイク乗り回して「ヒャッハーーーーーーーー!!!」とかいうのはなかった

 でも、実は隠れてんるんじゃないかと疑いたくなるぐらい、そこは荒れ果ててる

「だからどこが異世界だよ!!どう見てもヒャッハーーーの人の世界じゃんこれ。なんだあれか?俺は北○の拳の世界に舞い込んだのか?!」

{そんなの、俺にもわからん}

〖なのであきらめるしかないかと〗

「そんな・・・」

 そういえば、さっきモヒカンは居ないといったが、それどころか人の気配さえしなかった

 まさか本当に隠れているわけでもあるまいし、一体どうなっているのだろうか

〖あ、一応生物の反応は感知しました〗

 おっさすが

「それで人間か?それともなんかの動物か?」

〖おそらく人でしょうけど、なんか怪しいです〗

「怪しい?」

{まあなんだ、人ではない別の生物、って感じだな}

〖おおかた魔物かと〗

「答え言っちゃうんだ・・・」

 しかしさすが異世界 

 魔物とかもいるんだな

 どうしようか、興味はあるんだけど・・・

 まあ減るもんじゃないし行ってみるか

〖先にある角を曲がって、三つ目の角を左に曲がったあたりにいますよ〗

「おお!さすが『善意ジキル』先輩ですわ~。ホント誰かさんと違いますわ~」

{ん?誰の事かな?}

「さあしらん」

 やっと立ち上がると、『善意ジキル』さんナビゲートの元、目的の場所へ歩向かった




「しかし、戦争でもあったのか?ここは」

 目的地に向かっている途中、様々なものが確認できた

 高くそびえたつビル、ベビーカーらしきものや、まさかの信号機まであった

 他にもバイクらしき乗り物があったが、どうやらガス欠の様で、動かなかった

 果たしてこれは偶然だろうか

 ビルやベビーカーはまだ分かるとしても、バイクや信号機なんて異世界に必要だろうか

 信号機に至っては、俺のいた世界のものがそのまま送られてきたかのようにそっくりだ

 そしてそれらはすべて、さび付いて、壊れて、原形をとどめていないものもかなりあった

 

{さあな、戦争でも起こったんじゃねえの?}

「戦争だったら町残ってないんじゃないか?」

{なんかのウイルスとか・・・}

「それだったら俺死んでるよな」

<スキル『言語理解』を習得しました>

「{・・・}」

〖どうしました?マスター、『悪意ハイド』〗

「また勝手なことやってるし・・・」

{しゃーないさ、これがこいつの性なんだから}

〖便利だと思ったので頑張ったんですけど・・・〗

「せめて報告の一つぐらいはほしかったんだけど・・・」

〖了解しました。これからは報告を挟めるよう善処します〗

「・・・・」

 ホントに自由な技能(やつ)

{お、あれじゃないか?}

 急に『悪意ハイド』が言ってきた

 『善意ジキル』さんが言ってたように進んでいると、確かに道の真ん中に誰かがいた

「なあ、あれってよくある人をおとりにした罠ってやつじゃないのか?」

〖感知してみても、特にそういった魔力反応はないです〗

{周りにも罠を隠すようなものはないからな。あれのほかに生命反応はねぇし}

〖まあ、念のため遠くから様子をうかがうのがいいと思います〗

 なら、それに従うとしますか

「お~~~~~~い」

 大声で人影に向かって呼びかけた

「・・・・・」

 あれ、反応がないな・・・

〖あ、こっちに向かってきますよ〗

 ホントだ

 その人影はゆっくりとこっちに向かってきた

 そう思った矢先、

「うごぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 瞬間、その人影は空に向かって叫んだ

 まるで何かを呼ぶように

〖!?、生命反応を確認。数は約300です〗

{やっべえな、俺たち死ぬんじゃねえの?}

「とりあえず目の前のやつ対処したほうがよくね?じりじりとこっちに向かって歩いてきてるけど」

 その人影は少しずつ、少しずつこちらへと向かってきていた

{なるほど、あれは不死者アンデットか}

〖そうですか、なら仲間が来るかもしれませんね〗

「え?不死者アンデットって何?仲間来んの?」

{とりあえずなんだ、あいつは早く移動できないから走って逃げろ}

「わ、わかった」

 とりあえず『悪意ハイド』の命令に従い、元来た道を駆け出しで戻っていった

 結局走っている途中、『善意ジキル』さんが言ってた仲間とやらは見つからなかった




 走リ始めて5分経っただろうか

 疲れたから、その足を止めた

「で、不死者アンデットって何?」

 切れ切れな呼吸の合間に、『善意ジキル』さんへと質問する

不死者アンデットとは、人などに使役されている死体の事です〗

「は?」

 死人を、使役?

 なにいってんだ?

{似たようなので腐死族ゾンビってやつもいる。性質とかはほとんど同じで、こっちは人と会話したり、呪文を操ったりとかするやつもいる。簡単に言うと、腐死族ゾンビは操られてない不死者アンデットみたいなもんだな}

「・・・・・」

 いっつも『悪意ハイド』の説明のほうがわかりやすいと思うのは気のせいだろうか(今回は補足だけだけど)

「まあいいや。ほかに生命反応とかはないのか?できれば人間に会いたいんだけど」

〖人間は・・・約5キロ先にそれらしき反応が多数確認。どうやら一つの集落を形成してるものと思われます〗

「集落、か」

〖そのほかにここから北にまっすぐ行ったところに大きな生命反応を確認。おそらく不死者アンデットを使役しているものかと思います〗

 北?

 そう言えばなんだか大きな建物が見えるな

 あれは城、だろうか

 あそこにいるのか?

〖はい、あの建物の中にいます〗

 そっか

「とりあえず、人の集落に行くとするか」

〖はい〗

{おう}

 そういって、荒れ果てた街をまた一歩ずつ歩き始めた





 ここは人間の集落

 ここでは、魔物などから身を守るため、町に住んでいた冒険者などが集まってできた集落だ

「っち、逃がしたか。やはり不死者アンデットは遅いな」

 ある一つの家からそんなつぶやきが聞こえた

 彼の名はカラキズ・アオキ

 呪術師シャーマンの職を持ったいっぱしの冒険者だった

「おう、どうした。何か問題でもあったか?」

 そのつぶやきが聞こえたのか、家の中に大柄なおっさんが入ってきた

「あ、リーダー。いやちょっとね、厄介な奴が生まれましてね」

「厄介な奴?まさか魔人か?」

「おそらくですが、存在値エネルギーだけならあなたより大きいです」

「そうか、そいつは災厄になるかもな。分かった、みんなに報告してこちらに来た時の対策を検討しておく」

「ああ、頼んだ」

「そちらこそな。無理だけはするなよ?」

 笑いながら大柄のおっさんは出て行った

 リーダーと呼ばれた男はサラト・カラキスという

 彼はこの町、クラテルの元冒険者組合支部長(ギルドマスター)だった

 そして数年前、急な黒マナの増加により、魔物が増え、町として維持できなくなってしまった

 隣国のプラネリに助けを求めても聞いてくれず、死を待っていた人に彼は希望をもたらしてくれた

「つらいならみんなで助け合えばいい。困ったのならみんなで知恵を出し合えばいい。俺らは一人じゃない」

 昔習った冒険者の教訓だった

 その言葉が、みんなに元気を与えた

「・・・意外と人の心ってつかみやすいんだな」

 その時のカラキズは思った

 まあ、もともと信頼していたのでそれは口には出さなかった

「さて、監視を続けるとするか」

 そう言って、目を閉じた・・・





 ・・・吐きそうになる

 目指しているところへ進む途中に、何かが腐ったようなものが在った

 その何かは刺激臭というか、酸っぱいにおいを放っていた

 それが人の形をしていたのはスルーした

{目をそらすだけじゃ成長なんかできないぞ}

「・・・わかってるけどやっぱり、姉ちゃんたちを思い出すからな。いやなんだ、もうあれを思い出したくない」

 情けない

 自分ではそう思っていたが、やっぱりあの悲しみは少しの間心にまとわりつくだろう

 忘れてはならない記憶として―――――

 すると、後ろからガサッと音がした

 警戒して振り向くと、人がいた

 いや、人の形をした何か(・・)がいた

不死者アンデットです。おそらくこの近くに操っている奴がいるかと〗

「そうか、ならそいつの顔を一発殴ってやるか」

{戦る気か?}

「ああ、とことんぶっ潰してやる」

 どうせ死んでも戻れるからな

 不死者アンデットのほうをちらりと見ると、なぜか首をかしげている

 こちらの出方をうかがっているようだ

〖【死の回避】では、死亡の予測は報告されていません。なのでここで死ぬことはありません⦆

「そっか、さんきゅな」

 そういって不死者アンデットに向かって殴りかかった




 カラキズは突然目を開いた

「なっ!いつの間にこんな近くに、早くリーダーに報告しないと・・・」

 そう言って彼は家から飛び出していった

 そして、家から飛び出してやっと気づいた

 北門のほうから漂う、その妖気オーラ

「っち、なんだよこれ。下手すりゃ魔王級の妖気オーラだぞ」

 彼は足早に、サラトのもとへ向かった





 サラトたちがよく使っている会議室に着くや否や、扉を蹴破った

「おい、リーダー!大変だ。奴が、奴が来やがった!!!」

 会議中だったらしく、様々な人が集まっていたがそんなの関係なかった

「き、貴様ぁ。会議中に一体、」

「何!本当か?」

 文句を言いだしてきた白髪のじいさんの言葉を遮り、サラトが尋ねてきた

「ああ、本当だ。今外で足止めだけはしているが・・・正直何分持つかわかんねえ。しかも魔王級の妖気オーラときたもんだ。ここにいる奴らが束でかかっても勝てるかわかんねえ」

 その言葉に、サラトを含め、全員が言葉を失った

「くそっ、とうとう魔王が我らへの攻撃を開始したか!!!」

 先ほどの白髪のじいさんがそんな虚言を吐いた

「おい、バルト!!魔王様はそんなお人ではないと何度言ったらわかる!!!」

「ならば貴様には分かるのか、突然現れた魔物に妻や子を食われて、一人取り残された物の悲しみを、辛さを!!!」

「落ち着け!!!今はこんな話してる場合じゃない。みんなで協力しないといけないんだろ?バルトさん。サラトさんも、信仰心は分かりますが、仕事にまで持ち込まないでください」

 バルトと呼ばれた老人と、サラトの口喧嘩はカラキズの一喝で終了した

「う、うむ。すまなかったな」

「おう、すまんな」

 二人は互いに誤り、この口喧嘩は終了した

「それより、まずは住民の避難を促さないといけないんじゃない?」

 それが終わったころを見計らい、二十代あたりの女性が提案した

「ああ、それならここに来る途中に、呼びかけはしておきました。御心配には及びません」

「そう、ならいいのだけど。それにしてもさっすがねぇ、ホント可愛いし、食べちゃいたいぐらい・・・・・」

「ははは、冗談はやめてください」

 彼女の名はリリムというらしい

 なぜか彼女は、下の名前(ファミリーネーム)を語ろうとしない

 なぜかと聞いても、「語る必要がないからよ」といつも流されてしまう

 なんだか不思議な人だ

「おい、俺の部下に手出したら殺すぞ」

「はいはい、わっかりましたよ~」

 これもマラトさんと、リリムさんが日常的にやっている会話だ

 そうやって談笑していると、見張りの兵士が会議室に飛び込んできて、

「ほ、報告します!!謎の魔人に、北門を突破されました」

と、報告してきた

 突如舞い込んだ報告に、また全員が固まった

 そんな中、バルトさんは

「ふん、面白い。そんな魔人などこの刀の錆にしてやろうではないか」

 どこからか取り出した刀を構え、殺意に満ち溢れた覇気で周囲を圧倒していた

 しかし、そんなバルトとは違い椅子の後ろでガタガタと震えている少年もいた

「あ、あの~それって僕も行かなきゃダメですかね?できれば僕も逃げたいんですけど・・・」

 彼の名はタイト・ハラシオという

 彼は、この集落で唯一の美精族エルフの族長だ

 少年のように見えるが、その見た目で300歳を超えているらしい

 美精族エルフは基本成長が遅いらしいから、300歳でもまだまだひよっこらしいが・・・

 元々町にいた美精族エルフは、黒マナによって、ほとんどが黒精族ダークエルフになったらしい

 なので、この集落でも美精族エルフの人数は少ない

「お前も行け。結界を張ってくれればそれでいいぞ」

 マラトさんはやんわりと答えた

 昔は強面フェイスということもあり怖がられていたが、今では半径1キロから話しかけても怖がられなくなっていた

「は、はひぃ!が、がんばりまひゅ」

 涙目でタイトは答えた

 今ではこんなに近くによっても返事をしてくれるらしい

 タイトさんも成長したな~

「ほら、お前ら行くぞ!!!」

「「「「「「応!!!」」」」」」

 いつもの掛け声とともに、全員が席を立った

 そして外へ、いや、戦場へと一歩ずつ踏み出して行こうとした

 その時、この物々しい空気をかき消すかのような声が聞こえた

「これはこれはお偉いさん方、どこへ行くのでしょうか?」

 そいつはドアの上部分に足を引っかけ、頭を揺らしながら話しかけてきた

「おま、お前は!!」

 そいつは、少し前に俺が見た災厄だった・・・




 はぁはぁはぁはぁ

 気づくと息づかいが荒くなっていた

 しかし今はそれに集中できる余裕はなかった

 なんせ、不死者アンデットの大群に囲まれているのだから

 それら一体一体にパンチの嵐を食らわせているが、全然効いていないかのごとく、わらわらと出てくる

 正直鬱陶しい

{なあ知ってるか?不死者アンデットってな、再生能力持ってんだぜ?}

〖何が言いたいかっていうとつまり、これまでの行動は無駄ってことです。もう少し高出力で、塵さえ残らないぐらいになる攻撃を行うことを推奨します〗

 はぁ?そんな攻撃持ってないっての

 しかし再生能力か、厄介だな

{〖・・・〗}

 死体ってことは焼いたりしたら跡形もなく消滅するだろうけど、火種になるものなんかないからな

 そう思ってたとき、『コロッケ屋』の看板が見えた

 正確には、文字が重なって見えた

〖それは、『言語理解』の効果です〗

 そうなんですか便利ですねそれ

 そう言えばコロッケ屋なら油とか火とかあんじゃね?

{ガスが通ってたらの話だけどな}

 ・・・まあ、人間の集落がこの近くにあるんだし、ガスぐらい通ってるだろ

 まあつべこべ言わず入ってみよう

 思いっきり不死者アンデットを殴りながら進み、なんとかコロッケ屋の中に入り込んだ

 ドアを蹴り飛ばし、入ると同時に近くにあった箪笥を元々ドアがあった場所に置き、ゾンビが入れないようにした

 中に入ってみると、やっぱりさびれていた

 肉も全部腐っていて、虫までわいていた

「しかも結構埃っぽいなここ」

 少し動くたびに埃がふわりと舞い上がっていく

{まあ、結構放置されてるっぽいからしゃーないんだけどな}

〖あ、マッチがありますね〗

 机の上には、確かにマッチ箱があった

 しかし中を見てみると、マッチは全部ぐっしょりと濡れていた

「・・・・そりゃそうだわな。ほかにライターとか何でもいいからあればいいんだけど」

〖いえ、ちょっと待ってください。このマッチ使えますよ〗

 はい?

 いや~またまた冗談言っちゃって

 湿気ったものは乾かさないと・・・・

〖いえ、『物質操作』を獲得しているので、マッチに溜まった水を操って遠ざければ使えるようになります〗

{ああ、そいえばそんなの獲得してたな}

「は?」

 お前ら一体どれだけ勝手なことしてんだよ・・・

〖それより使用しましょうか?〗

 ・・・まあいいや。頼む

 操作とかはあんまり分からないからそっちに任せるよ

〖了解しました〗

 『善意ジキル』さんがそういった瞬間、小さなガラス玉のようなものがマッチから染み出してきた

〖ガラス玉ではなく水玉です〗

 どうやらそうらしい

 実際に触ってみると、形が崩れてしまい、床にこぼれてしまった

{とにかくこれで使えるようになったな}

 そうか、なら

「よっと」

 マッチの箱で試しにこすってみると、確かに火が付いた

「おお、すげえな」

 火をつけたことで、奥の方に大きな鏡があることに気づいた

「鏡か。そういえば今の状態を把握できてないんだよな・・・」

 もちろん、転生したのだから顔とかも変わってるだろう

「よし、見てみるか」

 鏡には埃がついていたのでそれを掃って、鏡をのぞき込んでみた

 瞬間、俺は驚いた

 瞬間、俺は慄いた

 そこには―——――何も映っていなかったからだ

 正確には、透明人間が服を着ているかのように、服が宙に浮いた状態だった

 俺の体は、顔は、鏡のどこにも映っていなかった

 まるで俺という、堀山真司という存在を映し出すことを、鏡が拒んでいるように・・・・・・

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