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英雄になれると思いましたか?  作者: 蔵餅
前日譚 「夢落ちなんかじゃ終われない・・・」
11/68

一〇話 さっさと片付けないと・・・

※'16 12/17 言い回しなど変更しました

       【死の回避】の効果を変更しました

 聞いたところによると、支給品は当分来ないらしい

 さてどうしようかと悩んではみたものの、飯は2人で分けても4~5日分ぐらいはあるから、まあ大丈夫か

 とりあえず今日はここで寝て、明日に家を片付けに行くとしよう

 そう思いながら姉のもとへ帰るとさっきぶりの天童さんがブルーシートの上で姉と話していた

 よく見たら天童さん泣いてないか?

 天童さんの目元は赤くなっていて、手元にはハンカチが握られている

 まったく・・・あの姉はどんなデリカシーのないことを言ったんだろうか

「本当大変でしたよね。私も買い物帰りに地震が来ちゃって、とっさに近くの公園に逃げ込んだんですよ。こんな朝早くに地震なんて来るとは思ってなかったから・・・・」 

「いやー大変だったよね。途中真ちゃんが気絶しちゃってさー、私おぶってきてあげたんだー」

 ゆっくりと姉の背後に近づくとそんな嘘を言っていた

 天童さんは俺に気づいたようで、手を振っている

 さて、姉に気づかれる前に・・・

「誰がおぶられたって?」

 若干額に青筋を浮かべながら、低い声で話しかけた

「あ、あーお帰り真ちゃん。・・・どうだった?ご、ご飯とかはあった?」

 姉は事の重大さに気づいたようで、顔を青ざめながらゆっくりとこちらを向いた

「なかったよ?それよりもさっきの質問に答えてほしいな~」

「あ、さっきぶりですね堀山君。大変でしたねお互い」

 笑いながら天童さんが声をかけてきた

 けど、手元のハンカチを見るとどうにも無理しているようにしか見えない

 ちなみに智里は俺の足元で土下座をしている

 素晴らしいとしか言いようがない土下座だ

 この姿を銅像にして、未来永劫笑いものにしたいぐらいの素晴らしい土下座だ

「おはよー天童さん。えっと、ここにいて大丈夫?お父さんとか心配しないか?」

「え、えっと、それは・・・」

 少し遠慮するように天童さんは口ごもった

 え、何この重い空気

 なんか俺まずいこと言っちゃたか?

「あの、その、お父さんたちは・・・」

「無理しないでいいよ、澄羽ちゃん。後は私が説明するから」

 いつの間にか正座の状態に戻っていた智里はとても珍しく真剣な顔をしていた

 かなり珍しいことなので、こっちも真剣に聞くとしよう

「あ、ありがとうございます。智里さん」

「いいって、これぐらい。真ちゃん。澄羽ちゃんのご両親、地震で家がつぶれて、それで・・・死んじゃってたんだって」

 一瞬視界が真っ暗になった

 そういえば俺はこれまで、何度絶望してきただろうか

 そんな素朴な疑問が頭の中をよぎっていく

 幼少期の頃は正直思い出と言える記憶がほとんど失われていた

 さすがにそこまで昔のことは憶えていない

 そして、小学校に上がって1ヶ月にも満たない時期

 両親が死んだ

 これが俺の2番目に大きな絶望だったろう

 親が、家族が死ぬというのは大きな喪失感が生まれ、かなり狂いそうになる

 とはいっても俺がまだ物心つく前だったからか、そこまで悲しくはなかった

 そこまで両親と過ごした時間は多くなかったからだろう

 そんなことよりも、俺は俺の隣で大声で泣いていた姉の姿をよく覚えていた

 棺に覆いかぶさるようにして、何度も何度も泣いていた

 その時に何かぶつぶつと言っていたような気がするが、それはさすがに覚えていない

 ただ、あのとても悲しそうな顔は脳裏に明確に残っていた

 それだけは俺の心にしっかりと残っていた

 そしてだ、鈍感とはこういうことだろうか

 無様なことに、その時生まれたずれ(・・)を俺は気付くことができなかった

 正直、このずれに気づいていたら人生薔薇色ハッピーエンドになったのかもしれない

 なんて、そんなこと言っても遅い話だ

 そして俺の一瞬の様で長かった時間は、やっと終わった

「嘘、だろ?」

 俺の口からは、この現実を否定しようとする言葉が漏れた

 そんなと頼りない声できいても、ふるふると弱弱しく姉は首を横に振るばかりだった

 天童さんも両親の事を思い出してしまったのか頭を押さえながら泣いていた

 確かに当たり前と言えば当たり前だ

 こんな朝早くに地震が来るなんて、俺以外の人間は知る術がない

 そこまで大きな地震ではなかったとはいえ、人は死ぬだろう

 実際、2度死んだし・・・

 しかしどう声をかけるべきだろうか・・・

 泣きじゃくっている天童さんを慰めようとしても、言葉が出てこない

{お前男だろ?気が利いた言葉の一つでも言えないのか?}

 かなり空気が読めないようで『悪意ハイド』はめんどくさそうに話しかけてきた

 気の利いた言葉・・・

 自分の親が死んだことはあっても、他人の親が死んだとか、親戚が死んだとかはこの15年の中で一度もなかったから、こんな時どうすればいいのだろうかがわからない

{だまれヘタレ}

 うっさい馬鹿

〖そうですね・・・なら「とりあえず何か飲むか?」と聞いてみたらどうですか〗

 「何か飲むか?」、か

 まあ言うこともないしそれが一番いいな

 完全に『善意ジキル』さん頼みだが、まあ自分が持っている技能スキルだから、どう使おうと誰にも怒られないし大丈夫だ

「とりあえず天童さん。何か飲む?」

 ザックをあさりながら問いかけてみた

 ぼうっとしていたのか少し間をあけてから

「あ、はい、ありがとうございます。丁度喉が渇いていたので」

 なんて言って、手を出してきた

 俺はザックからブリックパックに入ったお茶を手渡した

 ナイスだ、『善意ジキル

{俺にはなんかないのか~}

 無いに決まってるだろ

 それ以前にお前、俺を助けようともしなかっただろ・・・

{応援はしてやったぞ?かなり邪魔になる程度に}

 いや、結局ダメな奴だろそれ

「あ~そうそう。澄羽ちゃんは親戚が結構遠くに住んでるらしいので、私たちで引き取ることにしました」

「え?」

 『悪意ハイド』達との会話を楽しんでいると、突然姉がとんでもないことを言い出した

 あれか?

 地震で頭がいかれたのか?

 嘘だよな?

 天童さんがうちに居候するなんて、そんなわけないよな?

「澄羽ちゃんはこれから私たちの家族になります」

 二度目を言われたことで、疑惑が真実に変わったようだ

 やっぱり頭を打ったのか・・・・

 とりあえず一発殴ってやろう

 そう思って拳を握ると、

「よろしくお願いします、堀山君」

 と、天童さんが土下座をし始めたので、やっぱり真実のようだ

「えっと、天童さん?姉ちゃん?本気で言ってるのかな?」

「本気も本気、超本気だよ~。ね!澄羽ちゃん!」

「は、はい」

 姉はさっきまでの重かった空気を吹き飛ばし、勢い良く立ち上がると天童さんの肩をつかんだ

 天童さんもそんな暢気な姉の姿に元気をもらったようで、すっかりいつもの笑顔を取り戻していた

 それよりもちょっと待ってほしい

 たぶんこういう時はこの世界ではこういう決まりであろう

 それなんてエロゲ?

 正直理解が追い付かないというか、なんというか

 本当動揺したように、

「え、まじで!?まじで言っているのかそれ!」

 としか言えなかった

「まじです。これ、もう決定事項だから」

「嫌でもそれだとやばいよな!特に俺が!!」

 同じ学校の女子と(一応)同居してるなんて知られたらいじめられる!そして殺される!!

 そして不運か幸運か、天童さんは美人だ

 これがばれて、いじめられる程度で済んだらどれだけ喜ばしいことか・・・

 やばいな、俺の死亡ルート確定した気がする

「別にいいじゃない。それにこれは澄羽ちゃんから言ってきた話でもあるんだし」

「はい!?」

「あ、はい。そうです。私が智里さんに頼み込んだんですよ」

{なかなかにこの子グイグイ行くね~。いや~面白い事になりそうだ}

 この状況を楽しんでるんじゃないよ!

〖まあいいんじゃないですか?マスターは私のものですし〗

 『善意ジキル』さん、貴女は貴女でなんか怖いよ・・・ 

「というわけで今日から澄羽ちゃんは私たち堀山家の一員です。これから私のこと、お姉ちゃんって呼んでいいからね」

「えっ、はい分かりました。ええと、ち、智里お姉、ちゃん?」

 天童さんはほほを赤く染めながら、恥ずかしそうに首を傾げた

「はい、おねーちゃんだよ~。いやー妹って憧れてたんだよねー」

 そう言いながら姉は天童さんに抱き着いた

「ああ、そうだ。真司のことも呼び捨てでいいよ。ね、真司」

「別にいいけど。せめて君付けで呼んでもらっていいか?」

「分かりました。じゃあ、真司君。改めてよろしくお願いします」

「ああ、よろしく天童さん」

「はいアウト」

 姉は胸のあたりに両手で×を作った

「あんたもちゃんと澄羽ちゃんって呼びなさいよ。これから私たちは家族なんだから」

「あーわかったよ。えと、なんか恥ずかしいな」

「はい、ちゃんと言う!」

「ハイハイ。えっと澄羽ちゃ・・・さん。こちらこそよろしく」

 うん、さすがにちゃん付けで呼ぶのは恥ずかしいな

「はい!よろしくお願いします!」

 そんな感じで、今日天童澄羽は学校で唯一の知り合いを殺した男の家族となった



 その後、夕食を作り終えると、何の話をすることもなくテントに入った

 念のためテントを2つもってきていたが正解だったようだ

 しかし寒いな・・・

 春一番とはいえ夜になると結構冷え込む

 寝袋に深く潜り込むと、『悪意ハイド』に聞いてみた

 死の宣告はどうなってる?、と

{ん?死の宣告か?えっと・・・今起動させんぞ}

 その声が聞こえると、またあの声が聞こえた

<明日の死亡時間は・・・不明 死因は・・・不明です>

 結果は・・・・なんとも頼りないことに、どちらも不明だった

 てかそれだと宣告の意味ないじゃん!

{しょうがないだろ。あれだけ死因と時間が変更されたら、こうもなるよな}

 やばくないですか?

{ん?やばいよ?}

 そんな暢気に答えられてもな・・・

 そんな風に落ち込んでいると、

<告 技能スキル『生け贄』の【死の宣告】を技能スキル過去移動さかのぼり』が吸収・・・成功しました。【死の宣告】は変質により、『過去移動さかのぼり』に効果【死の回避】として追加されました>

 えっと・・・とりあえず何かが起きた

 また進化か?

 でも変質とか聞こえたような・・・

 『善意ジキル』さん、【死の回避】の効果ってなんだ?

〖【死の回避】の効果は

  死亡する60分前に確定的になった死の状況を宣告+死亡した場合、60分以内の好きな時間に魂移動を行う

 です〗

 確定した状況の報告と、60分以内の好きな時間に移動する・・・

 【死の宣告】が便利になった感じだな

〖まあ、そうですね〗

 かなり納得がいかないが、明日も早いだろうし気にせず寝るとしよう




 やっと、朝が来た

 ごつごつとした土の上で寝たせいか、体のあちらこちらが痛い

 眠い目をこすりながらテントから這い出ると

「あ、おはようございます」

 天童さんは早くに起きていたようで、料理を作っていた

「ちょっと待ってくださいね。すぐにできますから。智里お姉ちゃんを起こしてもらえますか?」

「お、おうわかった」

 目覚めたての頭がゆっくりと起動していく

 天童さんの言葉に従いながら、姉たちが寝ていたテントの口を開けると、まだアホは寝ていた

 とりあえず腹を出して寝ている馬鹿姉の頭にチョップを食らわせて、文字通り叩き起こした

「痛った~。なにするのよいきなり・・・」

 頭を押さえながら姉は起き上がっていく

「天童さん、もう料理始めてるぞ」

「うっそホントに?やっばいやっばい」

 そういって姉は半分裸足で外に出て行った

「あと、澄羽ちゃん!いい?」

 姉がそんなことを言うために戻ってきた

「はいはい」

 そうやって適当に流すと、はねた頭を気にしながら満足そうに天童さんのもとへと向かった

 俺も行こうとしたその時、

〖あの、マスター。一つご報告が〗

 急に『善意ジキル』さんが話しかけてきた

 てか何かあったのか?

マスターに対して読心スキルを使用している人物がいます〗

 ・・・はい?

 えっと読心ってことは心を読まれてるってことでいいんだよな?

〖はい、そんな感じです〗

 あれか、テレパシーってやつか

 で、誰とかはわかるか?

〖それは不明です。スキルを使用した人物を徹底的に探してはいますが、恐らく見つからないと思います〗

 そうか、わかった

「おーい、ご飯出来たよ」

 報告が終わると、まるでタイミングを見計らったように姉が来た

「わかった」

 さて、とりあえず行くとしようか




 朝飯を食い終わると、各々が使ったテントの片づけを始めた

 意外と天童さんが料理上手だったようで、朝飯は非常食とは思えない物になっていた

 口にほのかに残った朝飯の味を楽しんでいると、いつの間にかテントは小さく折りたたまれていた

 姉たちのほうを見てみると、すでに終わっていた

「よし、じゃあ後で家戻って片づけるとするか」

「ん~、そうだね」

「じゃあ行きましょうか」

 それぞれ荷物を持ち、門のほうへと向かった

 そういえばここに橋谷楼香って居るのだろうか?

〖はい。おそらくではありますが、橋谷楼香はこの校庭に存在していますよ〗

 あ、まじで?

〖一時的につながった波動を再度逆探知してみると、この校庭に反応がありましたので、確実性はあると思います〗

 そうか

 どこにいるんだ?

〖細かい場所までは流石に・・・〗

 そうか、わかった

 この町にいることは分かっていたが、結構近くに住んでいたのか・・・

 できることなら会ってみたいな

〖それはやめておいたほうがいいと思います〗

 なんでだ?

 同じスキル持ちがいたんだぞ?

〖昨日の通告をお忘れですか?〗

 昨日の・・・ああ、あの心を読まれてるってやつか

〖そうです。それが橋谷楼香の可能性も捨てきれません〗

 確かにな

 俺みたいに【永劫記憶】を持ってる可能性だってあるから・・・

 いや、無理じゃないか?

〖どういうことでしょうか?〗

 前も言ったけど俺は魂ごと世界線を移動しているから記憶はあるけど、彼女は世界線を移動できないから【永劫記憶】があろうと覚えていられないだろ?

〖・・・〗

 黙っちゃったよ!!

 ・・・・・・わかったわかったって

 『善意ジキル』が行くなっていうならそれに従うよ

〖ありがとうございます。マスター

 いいってそんな礼

 そう言って俺は先に進んで行った姉たちを追いかけた





 よし、やっと家についたな

 途中家が崩れてたり、水浸しになってたりしてたから遠回りしたけど、3人とも無事につくことができて安心だ

「はい、改めてようこそ~」

「は、はい。とりあえずどうしますか」

「ああ、とりあえず家の中をかたずけようか」

 そんなことを言いながら家の中に入っていった

 入ると、思わず鼻をつまむようなあれの匂いが漂っていた

 ところどころを見てみると腐っていたり、さびていたりしてるところがある

 これは、時間がかかりそうだ・・・




 

 まずは一階からだ

 ・・・今更だけどものが多いな

 キッチンを見てみると

 うん。案の定皿が割れてカオス状態になっていた

 しかもなんだあれ?

 壊れた冷蔵庫から、緑色をした液体が溢れ出ている

 しかもあれとは違った濃厚な酸っぱいにおいが・・・

 こ、ここは俺一人でやるとして、あとの2人には居間のほうを片づけてもらうとしよう

 そう思いながら割れ散らかった皿を一つ一つゴミ袋に入れていると、

「いやーーーーー!」

 なんか姉が叫びだした

「なんだ?ゴ○ブリでも出たか?」

 そんな風に若干ふざけながら行くと、そこにはパソコンを目の前にしてガクッと崩れ落ちた姉が見えた

「あの、パソコンが濡れて壊れてたみたいで・・・」

 あらら~

 朝からがんばってたデータがパアになったのか

「あ~、どんまい」

「ねえ、今いくらある?」

「・・・5万までな」

「わかった」

 すっごい落ち込んでる

 まああのパソコンも結構不具合が多かったし、時期的にも十分だろう

{いや、データが逝ったことに対して落ち込んでんだろ}

 まあそうだろうけど

{ん、そうだ。一応の報告}

 なにかあったのか?

{いや、今日の死亡時間と要因だ}

 あれ?

 あの女の人?の声が言うんじゃないのか?

{まあそうだけど、まだ進化したてで調子悪いらしいから。まあ代弁者みたいなかんじだ}

 調子が悪いって・・・

 で?時間は?

{今日の13時14分、死因は出血死}

 あれ、それだけか?

{それだけだがどうした?}

 いやもう少し詳しい原因とかはないのか?

〖その機能は進化により失われています。死因と言ってもそこまで詳しい未来は見通せませんので。あくまで【死の回避】はいつ、最終的にどんな死に方をしたか、というのを報告するだけです〗

{そもそもはどっかの馬鹿が無茶しなきゃもっと正確なスキルに生まれ変わってたんだけどな}

 誰が馬鹿だ

〖さすがに馬鹿はいいすぎかと・・・。本当のことではありますが・・・〗

 なんか『善意ジキル』が毒を吐いたような気がするが気のせいだろう

 気のせいだと信じたい

 さて今は11時35分か

 ってあれ?

 確か【死の回避】って60分まで死因がわからないってことじゃなかったか?

〖さっき伝えたのはあくまでも予想です〗

 そーですか

 じゃあまた30分前になったら確定したのを教えてくれ

〖了解しました〗

 さて、今度はあの冷蔵庫を片付けるとしよう・・・




 休憩も挟んで大体1時間

 1階はあらかた綺麗になってきた

 ゴミなんかは廊下にまとめたし、後は2階だけだ

「とりあえずどうする?ご飯たべる?」

 綺麗になった居間で一服していると、姉が提案してきた

「あ、そうですね。じゃあちょっと待っててください。すぐに作ってきますね」

「ああ、大丈夫だって。澄羽ちゃんだって疲れてるんだから休憩しときなよ。その間に真司が作ってくれるからさ」

「結局俺任せかよ・・・」

 こっちだって疲れてるから勘弁してほしい

「え~じゃあしょうがない。ここは年上である私が料理を作ってあげようではないか!!」

「「・・・」」

「・・・二人ともそんな顔してどうしたの?」

「やっぱ俺が作るわ」

「・・・?別にいいけど」

 その後、ガスコンロでチ○ンラーメンを作った




 食べ終わって少し休むと、一階でまだ終わったいない部分を俺が、表の倉庫の整理を姉と天童さんがすることになった

 1日置いただけなのにすごい汚れ様で、しかも、下水管が壊れたせいか、風呂の中に“自主規制”がこびりついていた

 不快そうな顔をしながら取り除いていると、

〖死亡時間、死因に変更はありませんでしたよ〗

 『善意ジキル』さんの声が聞こえた

 そっか、じゃあ生け贄発動してくれ

〖・・・わかりました〗

<生け贄を起動・・・・・・・・失敗しました>

 はい?

{あっれ~発動できないじゃん。どうしたの~(´゜ω゜):;*.':;ブッ}

 ちょっおま

 なんか細工したろ

{いえいえ、私は何もしておりませんよ}

〖おそらく、橋谷楼香でしょう〗

 まじで?

 橋谷楼香にさえスキルを使わなかったら、封印されないんじゃないのか?

〖そのはずでしたが・・・おかしいですね〗

 とりあえずどうするべきだ?

{はっきり言うと、死ね}

 うん。はっきり言ってくれてありがとう!

 じゃねえよ!!!!ド直球すぎるわ!

 ハイハイ分かりましたよ

 死ねばいいんですね死ねば

 はあ~、嫌になってくる

{そういえば少し気になったことがあるんだが、お前気づいてたか?}

 ん?なんだ、急に

{いやさ、お前が天童さんに話しかけるときって、いつも彼女ぼーっとしてるよな?}

 確かにそうだな。毎回どこかを見つめるようにぼーっとしているな

 でも姉と話してた時もそんな感じじゃなかったか?

{は?お前は一体何を見てたんだ?智里さんの時も、先生と話した時も、あの大原の母親と話した時も、ぼーっとしてたことなんて一度もなかったぞ?}

 そうなのか?

〖はい、そうですね。毎回毎回、マスターと話す時だけは、いつもぼーっとした表情で話しています〗

 ・・・なんでだろうか

〖それは・・・・不明です〗

 そうか、そうだよな

 なんでだろうな~

 天童さんの行動を疑問に思いながら、俺は掃除をつづけた

 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

{ったく、あいつもどこか鈍いよな~}

〖ええ、そうですね。流石に気づいてもらわないといけませんよね。あれだけヒントを挙げたのですから〗

{だよな~。さて、それよりどうする?橋谷楼香は}

〖そうですね。でも、接近もせずに技能スキルは効果を発揮するんでしょうか?〗

{しらん}

〖でしょうね・・・〗

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


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