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英雄になれると思いましたか?  作者: 蔵餅
前日譚 「夢落ちなんかじゃ終われない・・・」
1/68

死亡

連載初投稿です

色々不慣れな部分もありますので、アドバイスなどあればぜひお願いします


 目を開けると、赤く染まった空が広がっている

<*認 ス*ル 『過去*動』(さか**り)を起*し*した>

 体の左側から、鈍い痛みが襲ってくる

<効* 【魂*動】*使用*ます>

 焦る思考の中、意味不明な幻聴まで聞こえる始末だ……

 なんというか短い人生だった

 思考は、完全に停止する

<*の移*を開始……*功しま*た。続いて*憶の*植……*功し*した>

 そして俺の意識は、暗闇に吞まれた








「っういや!?」

 謎の悲鳴を上げて、俺はベットから跳ね起きる

 今までのは夢?

 いや、夢でないとまずいか

 体は特に異常もない

 まったく、自分が死ぬ夢なんか見たくないっての

 む、腹が減った

 とりあえず、飯でも食べに行くとしよう

 部屋に掛かった着替えにそでを通すと、そのまま部屋を出た

 



 今日は4月8日

 新学年シーズン

 俺も今日から高校生になる

「あら、おはよー。早いじゃん起きるの」

「今日から学校だっての。昨日言ったよな」

「お~そーか、やっと真司(しんじ)も高校生か~」

 こいつは姉の智里(ちさと)

 俺の唯一の肉親だ

 親は早くに他界して、それからは約10年程、周囲の人に支えられながらなんとか生きてきた

「これからも分からない事があったら、お姉ちゃんを頼るんだぞ」

「あ~ハイハイ分かりました」

 なんだかんだ言っているがやっぱり10年程一緒にいるせいで、結構仲はいい

「ん?あんた、どうしたのこれ?」

「え?」

 智里は俺の首筋に手を当てる

 姉弟ということもあって興奮まではしなかったが、さすがにびっくりした

「ほら、血がついてる」

 そう言って姉はこちらに掌を向けた

 血…… 

 特に切った覚えはないし、たぶん寝ている間に傷つけたんだろう

 血、か

 血と言えば―――――

「なあ、姉ちゃん。自分が死ぬ夢を見るときってさ、そんな精神状態の時なんだ?」

 智里にふと、聞いてみた(これでも智里は、大学では心理学を選択している)

「死ぬ夢?ん~……」

 智里は、軽く頭を下げる

「それは不幸の前兆って感じだね」

「不幸の、前兆?」

「そ。何か悪いことが起こるんだよ、きっと。」

「例えば?」

「えっと……バナナの皮で転ぶとか!」

「いや漫画かよ」

「それと……あっ、上から花瓶が落ちてくるとか!」

「それ俺死んじゃうよな?」

「うーん、まあ未来は予想できないからね~」

「ま、そりゃそうだよな」

 誰にも見えないものが分かるはずもない、か

 ……ん?

 ここである”違和感”に気づいた

 違和感というか、既視感というか

 どこか最近だったか、はたまた少年のころだったか

 この会話を以前にしたような、気がしたのだ

 そのなんとも言えない感覚は、俺の心にもやをかける

 ……まあ気のせいかな

 そんなところでふと、壁にかかっている時計に目をやると、長針が3の数字を今にも指そうとしていた

「あっやっべ時間だ。遅刻しちまう」

 そう気づいたところで、残ったご飯とみそ汁を一気に胃に流し込む

「そうだ、もう一つ仮定としてよ―――」

「ごめん、話聞いてる時間ないわ。いってきまーす」

「あ、ちょっと!」

 俺は玄関前に置いていたカバンを手に取り、玄関のドアを開け、走り出した

 入学初日に遅刻とか、冗談でも笑えねーよ




 一人取り残された智里は、そりゃ当たり前のように、とても不機嫌だった

「たっくもー、人の話ぐらい聞いてくれたっていいじゃん」

 ぶつぶつと文句を言いながら、自分の作ったご飯に口をつける

 しかしながら、真司の器を見てみるとあらかた食べ終わっているようなので、安心はしていた

 とにかく帰ってきたら叱らなくっちゃね~

 とても楽しそうに彼女は笑った

 そして、彼女は知らなかった

 彼女の予想が、半分的中していたことに

 いや、正確には3/4、だろうか

 彼女はまだ、何も知らない




 走る

 息を切らして、肩で呼吸して、とにかく足を回転させて

 俺は学校に向かっていた

 中学の時は陸上部だったこともあり、体力にはある程度の自信がある

 ふと手元の時計を見ると、8時15分をさしていた

 あと10分で学校につけばセーフなので、もしかしたらもう少しゆっくり行っても、普通に間に合ったのかもしれない

 そんなことを思いながら曲がり角を曲がる

 左右を確認をすることなく曲がる

 もしこれが恋愛ものの少女漫画なら、とても素敵な女の子とぶつかって、学校で出会って、最終的に恋に発展して、なんてストーリーが生み出されるのかもしれないが

 しかし、ここは現実だ――――――――




 瞬間、重力が消滅したように感じる

 そして痛み、体前端を蝕む痛みが脳天を突き抜ける

 ぐしゃり、と不快な音が俺の耳に届いた

 俺がぶつかったのは鉄の塊――――もう少し具体的に言うならトラックだった

 トラックは急停止し、反対に俺は物理の法則にしたがい、トラックの進行方向に吹き飛ばされる

「がっ……」

 肺が痙攣し、叫ぼうにも叫ぶことが出来ず、無様な悲鳴が少しだけ漏れる

 痛かった

 特にトラックにぶつかった左半身が、猛烈に

 腕は人体構造的に不可能な方向に曲がり、腰には力が入らず、そして―――左目から入る光がかき消されている

 衝撃で潰れたか、神経の方がやられたか……

 このさい、どっちでもいい

 死ぬのだろうか

 死ぬのだろうか

 だというのに、なぜか怖くはなかった

 痛みも、慣れてきたのかだんだんと麻痺していく

 自分が死ぬときは、もう少し焦るものだと思っていたが、泣きわめくものだとばかり思っていたが、しかし、これほどまでに落ち着いていられるとは

 ふと、思い出されたのは、智里の顔だった

 走馬灯というやつだろうか

 小さい時の智里、中学の時の智里、叔父さんに旅行に連れて行ったもらった時の智里、高校の時の智里、大学に受かったときの智里

 全く俺はどれだけシスコンなのか、俺の脳裏一面中に、智里の姿が映し出される

 そのすべての彼女が、笑っていた

 笑顔だった

 ――――――いや、すべてではなかったか

 たった一つだけの忌々しい記憶

 その中でだけは、ひまわりのような彼女も、夏が過ぎてしまったかのようにうつむいて、泣いていた

 あの記憶の、中でだけは

 あそこでは、彼女さえ泣いていた


<確認 スキル 『過去移動』(さかのぼり)を使用します>

 急に、声が聞こえた

 いや、聞こえたというのは間違いか

 正確には、頭の中を流れた

<効果 【魂移動】を使用します>

 さかのぼり、たましいいどう

 わけのわからないワードが、俺の意識を走馬灯から引き戻す

 なんだ、この声は?

 初めて聞いたような気がしない、この声は

 いや、たしか俺はこの声を、知っていた……

<魂の移動を開始……成功しました。続いて記憶の移植……成功しました>

 声は次第に消えていき、ノイズとなっていく

 そして――――――――

 そして、俺の意識は暗闇に吞まれた




私個人、これを良い作品として仕上げたいと思っています

なのでもし批判(文章が面白くない、文章が見にくい、文章が醜いなど)や記述の間違いなどありましたら感想やメッセージボックスなどから遠慮なくお願いします

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