死亡
連載初投稿です
色々不慣れな部分もありますので、アドバイスなどあればぜひお願いします
目を開けると、赤く染まった空が広がっている
<*認 ス*ル 『過去*動』を起*し*した>
体の左側から、鈍い痛みが襲ってくる
<効* 【魂*動】*使用*ます>
焦る思考の中、意味不明な幻聴まで聞こえる始末だ……
なんというか短い人生だった
思考は、完全に停止する
<*の移*を開始……*功しま*た。続いて*憶の*植……*功し*した>
そして俺の意識は、暗闇に吞まれた
「っういや!?」
謎の悲鳴を上げて、俺はベットから跳ね起きる
今までのは夢?
いや、夢でないとまずいか
体は特に異常もない
まったく、自分が死ぬ夢なんか見たくないっての
む、腹が減った
とりあえず、飯でも食べに行くとしよう
部屋に掛かった着替えにそでを通すと、そのまま部屋を出た
今日は4月8日
新学年シーズン
俺も今日から高校生になる
「あら、おはよー。早いじゃん起きるの」
「今日から学校だっての。昨日言ったよな」
「お~そーか、やっと真司も高校生か~」
こいつは姉の智里
俺の唯一の肉親だ
親は早くに他界して、それからは約10年程、周囲の人に支えられながらなんとか生きてきた
「これからも分からない事があったら、お姉ちゃんを頼るんだぞ」
「あ~ハイハイ分かりました」
なんだかんだ言っているがやっぱり10年程一緒にいるせいで、結構仲はいい
「ん?あんた、どうしたのこれ?」
「え?」
智里は俺の首筋に手を当てる
姉弟ということもあって興奮まではしなかったが、さすがにびっくりした
「ほら、血がついてる」
そう言って姉はこちらに掌を向けた
血……
特に切った覚えはないし、たぶん寝ている間に傷つけたんだろう
血、か
血と言えば―――――
「なあ、姉ちゃん。自分が死ぬ夢を見るときってさ、そんな精神状態の時なんだ?」
智里にふと、聞いてみた(これでも智里は、大学では心理学を選択している)
「死ぬ夢?ん~……」
智里は、軽く頭を下げる
「それは不幸の前兆って感じだね」
「不幸の、前兆?」
「そ。何か悪いことが起こるんだよ、きっと。」
「例えば?」
「えっと……バナナの皮で転ぶとか!」
「いや漫画かよ」
「それと……あっ、上から花瓶が落ちてくるとか!」
「それ俺死んじゃうよな?」
「うーん、まあ未来は予想できないからね~」
「ま、そりゃそうだよな」
誰にも見えないものが分かるはずもない、か
……ん?
ここである”違和感”に気づいた
違和感というか、既視感というか
どこか最近だったか、はたまた少年のころだったか
この会話を以前にしたような、気がしたのだ
そのなんとも言えない感覚は、俺の心にもやをかける
……まあ気のせいかな
そんなところでふと、壁にかかっている時計に目をやると、長針が3の数字を今にも指そうとしていた
「あっやっべ時間だ。遅刻しちまう」
そう気づいたところで、残ったご飯とみそ汁を一気に胃に流し込む
「そうだ、もう一つ仮定としてよ―――」
「ごめん、話聞いてる時間ないわ。いってきまーす」
「あ、ちょっと!」
俺は玄関前に置いていたカバンを手に取り、玄関のドアを開け、走り出した
入学初日に遅刻とか、冗談でも笑えねーよ
一人取り残された智里は、そりゃ当たり前のように、とても不機嫌だった
「たっくもー、人の話ぐらい聞いてくれたっていいじゃん」
ぶつぶつと文句を言いながら、自分の作ったご飯に口をつける
しかしながら、真司の器を見てみるとあらかた食べ終わっているようなので、安心はしていた
とにかく帰ってきたら叱らなくっちゃね~
とても楽しそうに彼女は笑った
そして、彼女は知らなかった
彼女の予想が、半分的中していたことに
いや、正確には3/4、だろうか
彼女はまだ、何も知らない
走る
息を切らして、肩で呼吸して、とにかく足を回転させて
俺は学校に向かっていた
中学の時は陸上部だったこともあり、体力にはある程度の自信がある
ふと手元の時計を見ると、8時15分をさしていた
あと10分で学校につけばセーフなので、もしかしたらもう少しゆっくり行っても、普通に間に合ったのかもしれない
そんなことを思いながら曲がり角を曲がる
左右を確認をすることなく曲がる
もしこれが恋愛ものの少女漫画なら、とても素敵な女の子とぶつかって、学校で出会って、最終的に恋に発展して、なんてストーリーが生み出されるのかもしれないが
しかし、ここは現実だ――――――――
瞬間、重力が消滅したように感じる
そして痛み、体前端を蝕む痛みが脳天を突き抜ける
ぐしゃり、と不快な音が俺の耳に届いた
俺がぶつかったのは鉄の塊――――もう少し具体的に言うならトラックだった
トラックは急停止し、反対に俺は物理の法則にしたがい、トラックの進行方向に吹き飛ばされる
「がっ……」
肺が痙攣し、叫ぼうにも叫ぶことが出来ず、無様な悲鳴が少しだけ漏れる
痛かった
特にトラックにぶつかった左半身が、猛烈に
腕は人体構造的に不可能な方向に曲がり、腰には力が入らず、そして―――左目から入る光がかき消されている
衝撃で潰れたか、神経の方がやられたか……
このさい、どっちでもいい
死ぬのだろうか
死ぬのだろうか
だというのに、なぜか怖くはなかった
痛みも、慣れてきたのかだんだんと麻痺していく
自分が死ぬときは、もう少し焦るものだと思っていたが、泣きわめくものだとばかり思っていたが、しかし、これほどまでに落ち着いていられるとは
ふと、思い出されたのは、智里の顔だった
走馬灯というやつだろうか
小さい時の智里、中学の時の智里、叔父さんに旅行に連れて行ったもらった時の智里、高校の時の智里、大学に受かったときの智里
全く俺はどれだけシスコンなのか、俺の脳裏一面中に、智里の姿が映し出される
そのすべての彼女が、笑っていた
笑顔だった
――――――いや、すべてではなかったか
たった一つだけの忌々しい記憶
その中でだけは、ひまわりのような彼女も、夏が過ぎてしまったかのようにうつむいて、泣いていた
あの記憶の、中でだけは
あそこでは、彼女さえ泣いていた
<確認 スキル 『過去移動』を使用します>
急に、声が聞こえた
いや、聞こえたというのは間違いか
正確には、頭の中を流れた
<効果 【魂移動】を使用します>
さかのぼり、たましいいどう
わけのわからないワードが、俺の意識を走馬灯から引き戻す
なんだ、この声は?
初めて聞いたような気がしない、この声は
いや、たしか俺はこの声を、知っていた……
<魂の移動を開始……成功しました。続いて記憶の移植……成功しました>
声は次第に消えていき、ノイズとなっていく
そして――――――――
そして、俺の意識は暗闇に吞まれた
私個人、これを良い作品として仕上げたいと思っています
なのでもし批判(文章が面白くない、文章が見にくい、文章が醜いなど)や記述の間違いなどありましたら感想やメッセージボックスなどから遠慮なくお願いします