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プロローグ
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ーー 春 ーー
何処までも高く澄んだ空の下。
生まれたばかりの、柔らかく淡い若葉が大地を多い、色とりどりの花々がそれを飾る。
若々しい生命を空へ向かって伸ばした草花達は、柔らかな太陽の光を浴びる。
そうして、葉は葉の、花は花の、色姿を写した半透明の光の分身をせっせと空へ放ち、風に浮かべていくのだ。
それらがふっと空へ高く舞い上がり、ふわりふわり再び大地へ帰るその様は、神々に愛されているかのごとく、美しく幻想的な光景である。
しかし、この世界の住人の多くは、その風景を誰も気にしはしないのだ。
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