頑張る
やっと主人公以外の人が出てきます。
今日、「ぼくは明日~」を読みました。
私もああいうのが書きたいです…
この暗いの放り投げて短編で甘々ラブコメ書きたいです。
ココイチの5甘みたいなやつ…
病院に着いた優衣はよろよろとした足取りで指定された場所へ向かう。目から涙が零れることはなかったが、「家族の死」という現実が彼女を押しつぶそうとしているのか、やや猫背気味であった。それでも一歩一歩踏みしめるように、現実を歩いて行く。
しばらく歩くと指定された病室に着いた。病院の院長と思わしき老人と数人の医療従事者が優衣に頭を下げ、病院で行ういくつかの儀式を済ませた。優衣は「次に遺体の搬送についてですが…」という看護長らしき人物に「自宅にお願いします。葬儀会社はこちらで手配しますので」とそつなく対応した後、「ありがとうございました。」と頭を下げ、支払いを済ませて病院をあとにした。優衣のあまりの落ち着き様に、その場にいた看護師や医者は唖然としたり「血が通ってないようだ」と小声で言ったりしたが、優衣には聞こえていなかった。
病院から出て。秋の風が冷たく頬を撫でた。あぁ…「私は、一人になったんだ。」涙は、出なかった。代わりに、虚無感が心を埋めて、現実を今一度意識した。頬をつねる必要もなく、これは「現実」で自分で、自分独りで生きていかなければならないのだと「理解」した。
優衣は今度はしっかりとした足取りで街を歩いた。開発が進んだとは聞いたが、二年とは微妙な歳月で、変わっていない場所も多くあった。そのことが優衣を安心させもしたし、後悔させもした。(なぜ私は二年も引きこもっていたのだろう、もし私が外に出ていたら…)考えようとしてやめた。いくら考えても、家族は二度と帰ってこないのだ。
本屋に着いた優衣は「冠婚葬祭」や「マナー」、「面接」といった本を数冊買って、スーパーマーケットに行き最低限の食材を買って帰路に着いた。(すぐにでも働き出さなくてはならない。人間の皮を被った親戚たちは、無職を理由に財産を強奪するかもしれない。)そんなことを考える優衣の足元が覚束なくなるのは必然で、瞬間、優衣は誰かにぶつかった。
「すいません!怪我はないですか?」優しい声と、綺麗な手。自分の身に何が起きたのか理解できず、一瞬、反応が遅れてしまう。
「あっ、大丈夫です…すいません、前見てなくて…」ぶつかった青年は少し困った顔で、大丈夫ですよ。というと優衣の顔をじっくりと見てこう言った。
「あの、もしかして、長尾優衣さんですか…?」初対面の青年に名前を呼ばれて、優衣は驚いた。何も思考することができず、ただコクリ、と首を縦に振った。
「会えてよかった~!これ、ご家族の死亡診断書です。忘れてましたよ!」あまりの急展開に金魚の様に無能な口だけがパクパクパクと動く。すると青年は
「ごめんなさいっ!説明もなくてビックリしましたよね…?濱野病院の次男で、濱野南雲と言います。病院の受付でこれを忘れて帰る長尾さんを見たので、追いかけてたんです…」と、犬の様にしゅん、と目線を落とした。そうだったんですか、ありがとうございます。と頭を下げてこの場を去ろうとした瞬間、手を掴まれた。
「あの…まだ何か…?」と言うと、悲しそうな顔で何かを呟いた後、
「これから先、何か困ったことや相談があれば」と言って連絡先が書いた紙を私に渡した。携帯の番号だった。携帯の番号を渡されると、なんだか悪いような気持になったため私も濱野さんに携帯の番号を渡した。
濱野さんと別れた後、家に帰って携帯電話を見ると何件もの不在着信が入っていて、それは全部、濱野さんの番号だった。あの時は突然だったこともあり、もう一度、ちゃんとお礼を言わなきゃいけないと感じた私は画面をタップして、耳に通話用のイヤホンを挿した。
自然な出会い方がわかりませんでした。