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憧憬

 量販店ソレイユ


「あの…今日から新しく入る石田という者ですが…。」

「ああ、こんにちは。」

「こっ、こんにちは!」

「はは、そんな緊張しないの。」

「はっハイ!!」

ダメダメじゃないか…。


店長は優しそうなおじさんだった。

ニコニコ顔で世間話をしながら事務所に通される。

「はいこれ制服ね。」

「ありがとうございます。」

「高校は辞めちゃったんだよね?」

「はい。」

「確かバイトに一人そんな感じの子いるから、あまり気張らなくていいよ」

「あ、はい…。」

同じ感じの人…。


「気になるって顔してるね。」

「はい…。」

「呼んでみようか。」

「え!?いやいやその人に悪いですし…!。」

「八坂くーーん!!!!」

「あぁ…。」

俺が言い終わる前にその人を呼ぶ店長。


少しして

「ハイ?」

八坂と呼ばれた人物が顔をヒョコっと見せる。

俺は愕然とする。

「この子。新しく入る、石田くん」

「…あっ、石田です。よろしくお願いします!」

「んぁー。よろしく。」


その男は、信じられないほどカッコ良かった。


その日は、ほとんど説明だけで終わった。

八坂くんの顔を鮮明に思い出しながら帰路につく。

同じ人間とは思えないほどのイケメンだった。

きっと人生バラ色なんだろうなぁ…。

ブサイク特有の妬みが発動する。


ん?

俺と同じような状況って言ってなかったか?

気になるな…。

明日また色々話せるといいな。

そんな事を思いながら目を伏せる。

緊張の糸が切れた安心感と適度の疲労感によりすぐ眠気が襲ってくる。



 次の日

「おはようございます。」

「あ、おはよー。」


制服に着替える。

黒のワイシャツだった。

身長のせいでこういう大人っぽい服は似合わない。


「おはー。」

八坂くんだ。身長もしっかり高い八坂くんはかっこよく制服を着こなしていた。俺とは大違いだ。


「おはようございます、八坂くん。」

「ん。おはよーう。」

飄々と構える彼からはどこか余裕が感じられ、とても大人っぽく見えた。


「それじゃあ石田くんと八坂くんは開店まで倉庫で在庫整理してきてくれるかな。」

「わかりました。」

チャンスだと思った。



 ソレイユ 倉庫

「八坂くん、インカムの音量って…。」

「あぁ、これを回すと…」

「ありがとうございます!」

「石田くんっていくつ?」

「僕17ですよ。」

「おお、タメじゃん。」

彼は明るく話しかけてきてくれた。


彼の名前は八坂祥太(やさかしょうた)

隣の市に住んでいて、高校は夢を追うためにやめたらしい。


「夢って?」

「俺さ、バンドで食って行きたくて。」

「へぇえ…。」

音楽だけで生活できるのなんてほんの一握りだろう。

そんな可能性に挑戦出来る祥太がとても眩しく見えた。

「朋也はなんで学校辞めたの?」

「ん…。まぁなんとなくだよ。」

「訳ありっぽいな。」

「まぁね。」


「どう?はかどってる?」

店長だった。

「飲み物置いとくね。」

「ありがとうございます!」


店長のくれたスポーツドリンクを飲みながら祥太が聞いてきた。

「そういえばなんでこのバイトに?」

「あぁ、ここを選んだというより、ここしか受からなかったんだよね。」

「なるほどねぇ。」

「この見た目だから、中々採用もらえなくて。」

「…。」

「祥太みたいにかっこよくなりたいよ…。」

なんだか祥太が神妙な顔持ちをしていた。


「よし!今日お前この後予定ある?」

「?ないよ」

「家来い!」

「えぇ?」

「明日シフトは?」

「入ってない…。」

「美容院予約入れとけ!」

「はっハイ!」



まじかよ…。

少し駆け足気味になってる気がする。

気をつけなくては。


それより祝!初評価頂きました!!

ありがとうございます!!!!!!

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