ネコVsイヌ
夕食にチップスとロールパン半分とスープを食べるとミリーの食事の手が止まった。ミーシャが首を傾げてミリーを見上げた。
「ミリー、もうちょっと食べるニャ」
「だって、もうお腹いっぱいだよ?」
ミリーは眠そうに目を擦っている。
「もう寝るか?」
「うーん。もうちょっとだけ起きてる」
そう言いながらカックンカックンと船を漕いでいる。ミーシャとハインリヒはミリーを立たせて部屋に連れて行った。案の定ベッドを見ると着替えもせずにモゾモゾと布団に潜り込んでしまった。
「ミリーは体力がないからすぐ疲れるニャ」
スヤスヤ眠るミリーの頭を優しく撫でながらミーシャが誰にともなく言った。
「食べる量も少ないみたいだな」
「そうだ、心配ニャ……おい、お前は触るニャ」
ハインリヒも負けじとミリーの頭を撫でると、ミーシャがその手をてしっと払い除けた。
「俺より小さくて可愛いからっていい気になるニャよ……俺はお前を信用したわけじゃないからニャ」
「ふん。俺が可愛いのは認めるんだな」
「ニャにぃ? 良い年して可愛子ぶってミリーに尻尾振って、このロリコン!」
「お前だって良い年じゃないか! 語尾に「ニャ」まで付けて!」
「あ! 触るなって言っただろうが!」
「触ってない! 舐めてるだけだ! 犬の特権だ!」
「……っこの野郎! 俺のミリーが犬臭くなるじゃニャいか!」
「もう唾付けたからミリーは俺のものだ!」
「唾ってレベルじゃないだろ! それ、ヨダレだろ!? くそっ、俺の匂いも付けてやる!」
二人で眠っているミリーを挟んでミーシャがミリーの右のホッペをスリスリして、ハインリヒは左のホッペをベロベロ舐めている。
そんなことをしているうちに眠っているミリーが寝ぼけながら起きた。
「……二人とも、どうしたの?」
「にーにー。にーにー」
「クゥーン……クゥーン」
「二人とも眠いんだねぇ。もう寝ようねぇ。ほら、おいで」
ミーシャがミリーの上で丸くなりハインリヒが足元で横になると、ミリーは幸せそうな顔で再び眠りに就いた。