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其に酔い其を拾い其に救わるる
春も冬の終わりごろ
丸みのある花びらを並べて
訪れの香をただよわす
折られても傷がついても
耐えにたえて季節を巡る
鳥の目覚めにつつかれて
夏にたわわに実る緑
命継ぎゆく実なれど
叩かれて揺られて
弱く繋いだ枝から落ちる
落ちずに残った実は
静かに時を待つ
落とされた実は
洗われへたを取られ
穴を開けられ
塩に埋められ仲間ができ
太陽にさらされる
または酒の中だ
夏が強い時には
人を救う
秋には実は静かに落ち
冬には休む
そんなあなたは
梅
春の前に訪れを知らせる使者
21.1.15