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白き面に甘い香りを
冬の終わりに赤い蕾が膨らむ
濃い緑が雪に映えるのに
早春の白い花はささやかで
甘い香りをほのかに漂わせるだけ
春の訪れを知らせるのに
人はあまりに無関心で
ふと気づいたときには
香りはあふれて
花は来年へと消えている
春よ春よと呼ぶ人の
そばには咲かぬ
沈丁花
歌われた蕾は雪に濡れずにいたか
咲いた花からはあふれた香りが
あたりに満ちていく
恥ずかしがり屋のお便り屋さん
人々が春を楽しみ始めたら
また来年
冬の後にその香りに会いましょう
2016/03/02