6.養子に、なりました。義姉が、できました。名前で、呼ばれました。
僕は元浮浪児です。13歳なのですが、僕は澄瀬さんという夫婦に引き取られることになりました。
その澄瀬さんたちはとてもいい人たちで、その人たちには子供さんが1人いらっしゃるようなのですが、うまくやっていきたいと思います。
そして、その当日。
僕は児童養護施設の職員さんに連れられて、澄瀬さんの家に行きました。
澄瀬さん夫婦の夫の方である亮介さんと職員さんが話している(インターホン)のを横目に、僕は澄瀬さんの家を見ました。白と黒基調のシンプルでありながらお洒落な外観で、3階建てです。しかも屋上もあって、とても青々とした芝生がさらりさらりと風に撫でられ、色鮮やかな花たちが咲っている庭のような屋上でした。すごくいい家だな、と、もし弟もこんな家にいたら生きていたんだろうな、と思って、ふるふると首を振りました。そんなこと今更考えててもしょうがないですし、月翔と“わらっていきる”って約束もしました。僕は月翔の分も生きるんです。
「月飛くん、これからよろしくね」
慌てて亮介さんを見ると、彼は優しい慈愛に満ち溢れた目を僕に向けていました。なので僕はすぐに笑顔を取り繕い、返しました。
「はい、お願いします」
子供さんは僕より年上だということで、初めての上のきょうだいです。うまくやっていけるかな、と今更に不安になってきました。
しかし、須磨子さんと亮介さんはとてもいい人です。まず2人と仲良くなることが先なので頑張ろう、と、僕は小さくガッツポーズしました。
……。
「……え、聞いてないよ?」
お2人の子供さんは、そう体を硬直させながら言いました。
いや、正直僕も戸惑っています。何も聞いていなかったので、てっきり同性だと思っていましたから。いやどっちも言ってないと言われればそうなんですけど、13歳男子と16歳女子を住まわせる意味。というか、先に言っておいてくれればいいものを。僕の義姉となる彼女も、そう思っていることでしょう。あ、そう思ったらなんか既視感湧いてきました。
「……月飛、です。……よろしく、お願いします」
とりあえず、自己紹介はしておきます。まあ、今日から一緒に暮らすのですから、自己紹介くらいはしておいた方がいいでしょう。
すると、彼女も顔を引きつらせながら自己紹介してくれました。
「ええと、碧音……です。よろしく……ね?」
僕は、彼女に同情しながら頭を下げました。
「月飛くん、って呼んでいい、かな」
突然碧音さんがそう言ったので、僕は少し戸惑ってから返事をします。
「え、あ、はい」
……月飛、くん。
そういえば、そうやってちゃんと名前を呼んでくれたのって、月翔を除いて澄瀬さんたちだけですね。
そう思うと少し嬉しくなって、なぜか世界が滴でぶれてきたので慌ててこすり、僕は碧音さんの方に向きました。
「私のことは、親友や両親には碧って呼ばれてるけど……碧音でも、碧でも。なんでもいいわよ」
「あ、は、い……碧音、さん?」
「……、うん。よろしくね、月飛くん」
その横でなぜか須磨子さんと亮介さんが笑っていて、僕は少し首を傾げ、碧音さんはぎっと2人をにらんでいました。それもわからず、僕は首を傾げるしかありませんでした。
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