5.友達には、話しても、いやだめだな……。
「——それで? あおちゃん、あの子はなんなの?」
一回ゆゆをブリザードの視線で冷たいレーザーを浴びせてから、私は思考を巡らせる。
ゆゆは私の親友だ。中等部1年の時に一緒のクラスで、初等部から一緒の子が多くてぽつんと取り残されていた私に、彼女は明るく声をかけてくれた。とっても優しいし、バカだけど、めっちゃバカだけどいい子だ。小動物みたいで可愛いし。
ゆゆになら、言ってもいいかな? って、思ったんだけど……。一回、彼女にそのことを言った後の顛末を予想してみた。
——ゆゆは多分、すんごいでっけえ声で「ええっ、あおちゃんとあの子きょうだいなのぉっ⁉」って言う。するとクラスのみんなに聞かれ、私の高校生活には穏やかな渚は訪れず、ゆゆの声よりもでっけえ波が来るだろう。ああ、ざっぱああぁぁ~ん……。
だめだ。絶対にだめだ。ゆゆに話せば高校生活は嵐になり津波が来るだろう。そして私はそのたっけえ波に吞み込まれるのだ。ああ、残念無念。
「……。なんもないよ。ちょっと、あの子が職員室探してたから案内してやっただけ」
すると、ゆゆは疑いの目で私を見た。
「……その子、あおちゃんのこと名前で呼んでたじゃん。っていうかあの子の苗字澄瀬っていうらしいけど。一緒じゃん」
「いや、だからこそだよ。澄瀬って苗字一緒だったから、紛らわしいから名前呼びになっただKだYO」
「……どうした?」
今度は、哀れみを交えた目で私を見た。……解せぬ。なぜ私がゆゆなぞにそんな目で見られねばならぬのだ。
「くふふっ、どうしたんだあ? まあたゆっゆがバカなことしでかしたのかあ? くふふっ」
あ、クフだ。奇怪な笑い声が癖になっちゃった残念なクフだ。
「そうなのよ、クフ。ゆゆがバカなことまたしでかしちゃって」
「ちょっとぉ⁉ ちょ、あおちゃんあんた何言っちゃってんの⁉ しでかしたのはあおちゃんでしょお⁉」
「くふふっ」
奇怪な笑い声を上げながら、クフはしらーっと呆れたような視線をゆゆに向けた。ふふんっ、ゆゆの信頼度は昨日でがた落ちしたんだよ、ざっまっあっみっ「くふふっ、サオーネがそうなんだったら面白いなあ、くふふっ」おぉいっ⁉
「くそっだまされた、あんた私の味方じゃねーな⁉」
「くふふっ、誰の味方でもないなあ、くふふっ」
くっ、こいつめ……!
……あ、っていうかクフには言ってもいいんじゃね? バカじゃないし。ゆゆと違って。ゆゆと違ってバカじゃないし。
また、クフに教えた後の顛末を予想してみた。
——「くふふっ、面白いなあ、兄者と姉者に伝えた方がいいなあ、くふふっ」きゃあぁぁぁぁー
……だめだ。だめだだめだだめだ。この三つ子異様に仲いいから絶対共有するわ。ほんで口軽めのくははもといくいはに広められ、私の頭上には水の檻ー。はい死亡ー。ざっぱああぁぁ~ん。流木とともに漂流ー。
……うん、やっぱ誰にも言わないでおこう。
そう心に誓う私なのであった。
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