47.エピローグ
10年後。太陽が柔らかに微笑み、風が優しく歌い、花たちが目いっぱい咲き誇る春。
碧音は26歳、月飛は23歳となった。
2人は、陽太、貴月、由優、須磨子、亮介、環多三つ子と共に、月翔のお墓参りに来ていた。
「月飛ー、月翔くんのお墓ってどこー?」
「えぇと……ここらへん、だと思うんだけど」
陽太の質問に、月飛は首を傾げながら月翔の墓を探す。
そして彼は、見つけたのかぱっと顔を輝かせた。
「あった!」
「お、あったー? おーほんとだ、『空閑家之墓』って書いてある」
月飛の本当の苗字は、『空閑』。
「空閑月飛、空閑月翔って、すっごく綺麗な名前だね」
と、碧音が褒めてくれた苗字。
「……月翔」
月飛はふっと切なげに微笑んで、墓石をそっと撫でた。
ここに……月翔が、いる。
そう考えると、少し月翔のことを思い出して。
月飛は、一粒だけ涙をこぼした。
「僕は……今も、生きてるよ。月翔の分まで、生きてるよ——」
そんな彼を、優しく見つめて。
碧音たちは、そっと月飛の隣で手を合わせた。
「……月翔くん。月は……月飛は、幸せに生きてたよ」
「天国で、幸せになってください」
「月飛が空に行くのは、多分もうちょっと先になります」
「けど——根気強く、待っていてください」
「私たちは、月飛は、あなたのことを——」
須磨子が言い掛けて、続きを促すように月飛を見る。
ふわりと微笑んだ須磨子に、皆に、月飛はこくりと頷いた。
「——絶対に、忘れません。これまでも、これからも、あなたの想い出を抱いて、生き続けます」
その顔にはもう、哀しい影はなかった。
『——やくそく』
え、と月飛は空を見た。
風から、月翔の声が聞こえた。
『まもれてるね、月飛にぃ』
月飛の目から、涙が零れ落ちた。
それでも、彼は笑った。
「うん。守れたよ、月翔」
『なみだ、わらってるね』
「——うん。きらきら、わらってるよ」
ふわり、花のように微笑んだ彼の頬で。
きらきら、涙が笑った。
『ぼくのなみだも、わらってるや』
きらりと、風の中で滴が笑っていた。
虐待、浮浪児、弟の死亡という経験で、世界の非情さを見せつけられたある少年が、温かい家庭に生まれ変わったり。
両親に、“自分”を“自分”として見られなかったある少年が、自分を見てくれる優しい家庭に生まれ変わったり。
自分を犠牲にしてまで、家族を守らなければいけなかったある少年が、自分だけを守っていればいい自由な家庭に生まれ変わったりする。
そうして、ある優しく凛とした少女や仲間たちと出逢って。
彼ら3人が巡り合う。
そんな話は、また違う物語で。
これで、この物語は完結いたしました。
ここまで読んでくださった皆様、応援をくださった皆様。
皆さまのお陰で、完結させることができました。
本当に、ありがとうございました。
月飛も、碧音も、陽太も、貴月も、須磨子も、亮介も、由優も、くいはも、くいひも、くいふも、皆さまに読んでくださって本当にうれしいと思います。
皆の幸せを願っていただくと同時に、私も皆様の幸せを願っております。
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お待ちしています。
皆さまと、気持ちを共有したいです。
本当に、これまでありがとうございました。




