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38.人は、信用できないよ
翌日。
学校に行って夜ご飯を食べて、僕は誰にも言わず、何も持たずに家を出ました。
ふと家を振り返って、僕はありがとうございましたと心の中で言いました。
僕の居場所にしてくれた碧音さんと須磨子さん、亮介さんにも、心の中で感謝を伝えました。
僕が向かったのは、月翔と死に別れた場所でした。
月翔の最期のキスの感触は、頬にずっと残っています。
……もう、今はいいか。
きらきらと笑っていたあの月翔の涙を、忘れたことはなかった。
月翔との約束を、忘れたことはなかった。
お腹は空いたけれど、あまり寝れなかったけれど、痛かったけれど、哀しかったけれど、しんどかったけれど、辛かったけれど。
月翔と過ごした日々は、まぎれもなく幸せだった。
「ねぇ、月翔」
冷たく見下ろしてくる月に向かって、僕はぽつりと呟いた。
「やっぱり、人は信用できないよ」




