33.ギャップ萌えを超えたら何なんだろう……
「じゃあ、次は……願いごとコーナー行かない?」
「いいですね、行きましょう」
「あおちゃん、あたしたちも一緒に行ってい?」
「もちろんいいわよ。月飛くん、いいよね?」
「はい、もちろんです」
願いごとコーナーに着くと、なんか見たことある生徒会役員がいた。
「……あれ、南峰さん?」
南峰さん。
おそらく皆さん覚えていないだろうが(失礼)、フルネームを南峰しほ乃さんと言う。
私のクラスメイトであり、コスプレコンテストに出たメンバーである。
鋭いクールビューティーって感じの美人さんで、頭もよくて運動神経もいいみたいなほんとにノンフィクションですか? と言いたくなるような人だが。
関西弁(生粋の関東人だが芸人には関西弁や! と言って関西弁で話してる。やっぱおかしいこの子)+ノリよすぎ+変人+芸人志望。
なんというギャップ。
ギャップ萌えという言葉もかすむようなギャップである。
「おー、澄瀬さんやん! オッスオッス」
「南峰さんって生徒会入ってたの?」
「え? ああ、そうやけど? 哀しいわー、見てなかったん? いててんけどなぁ」
「ご、ごめん」
……いたっけ……。
「で、安倉さんやんな? おお、來山くんと佐野くんもおるやん。……澄瀬くんもいるひゃん……?」
「こんちわー、南峰さん」
「ヘイ、こんちわ安倉さん」
「こんにちは、南峰先輩」
「そんな堅苦しくせんでもええやんけ! もっと当たって砕けぇや!」
それは違うと思われます。
「えと、こんにちは、南峰……先輩」
「うひゅっ⁉ お、おお……澄瀬くん。こんにちゃっ」
「……ふくっ、ぅくっ……ふはっ、」
……ちょっと待って笑いが抑えきれないんだけどおもろすぎるんだけど。
う、うひゅっ……こんにちゃっ……気抜いたらクフたちみたいな笑い声になっちゃいそっ……
「?」
そして純粋無垢な瞳で南峰さんを不思議そうに見つめる月飛くん。
……ああ、月飛くん推しが増えてくね。
「そっ、それよかあんたら願いごと書くんやろ? はよ書きぃや」
「っ、そ、そうねっ、……くっ、」
っちょ、腹痛いって……!
沈黙した私を不思議そうに見ながら、月飛くんとゆゆが短冊にさらさらと何かを書く。
あれ、來山くんと佐野くんは……と思ったら、あちらも腹を痛めてました。
「っふぅー……」
深呼吸をして、笑いを鎮める。
そして、ぽしゅっとペンのふたを開けて、短冊に願いごとを書いた。
「みんな書いたか? ……よっしゃ、じゃあどっちに括り付けるか決め。右が見られてもいい派、左が見られたくない派やで」
南峰さんの指示の元、各々でどちらかに……って。
「みんな見られていいの……?」
「え、うん」
「別に……」
「大丈夫ですよ」
まあ、私も見られていいんだけどさ。
「おお。んじゃ、終わりや。おおきに」
ひらひらと手を振ってきたので、私たちも手を振り返した。
「……あれ? クフたちじゃん」
「くふふっ、久しぶりだなあ、くふふっ」
「……? 毎日会ってるじゃん」
「くふふっ、読者だなあ、ごめんねえ(作者からの謝罪)、くふふっ」
クフたち3つ子に出くわした。
みんな浴衣を着ていらっしゃる。似てるなぁ。
あとわけわかんないこと言ってる。
「くははっ、サオーネとやらか、くははっ」
「くひひっ、出番が少なすぎるぞの、くひひっ」
おお、2人も登場してきた。みんなごめんね(作者からの謝罪)。
というか私サオーネって名前じゃないんだけど。
「くふふっ、ゆっゆは今日はバカなことしたのかあ、くふふっ」
「え? ええ、してたわよ……というか、毎日のことじゃない」
「くふふっ、それもそうだなあ、くふふっ」
クフが私の言葉に同意すると、しゅばっと腕を私とクフの間に出して、ゆゆが抗議した。
……抗議する余地ないよ君に。
「毎日バカなことなんてしてないし!」
「してるから言ってるんじゃん」
「くふふっ、してるなあ、ムンぴょんもキツツキもヨーヨーもそう思うだろお、くふふっ」
「……ムンぴょん? キツツキ? ヨーヨー……?」
む、ムンぴょん……だと……?
私たちの……勉強会を。クフは……見ていたというのか……?
「多分ね。ムンぴょんはムーンぴょーんで月飛くんで、“貴月”からキツツキで佐野くん、ヨーヨーは陽太のようを取って來山くんなんだと思うわ」
「くふふっ、大正解だなあ、サオーネも経験者かあ、くふふっ」
……。
「……えぇと、俺は安倉先輩は結構バ……面白いことをしてるなと……思いました」
「……同意見です」
「右に同じです」
ほらやっぱり佐野くんも來山くんも月飛くんもバカなことしてるって言ってるじゃん。優しーねー面白いことって言ってごまかしてくれて。
「そんなわけな、」
「皆さまにお知らせいたします。2時45分から『あること』を開始しますので、ホールのステージ前にお集まりください。繰り返します——」
ゆゆの反論を、林くんのアナウンスが掻き消した。
『あること』……って何だろ。ここまでずいぶん手が込んでてすっごく楽しかったから、自然と期待度も上がる。
「さ。行きましょっか」
「そうですねっ」
「おー」
「くははっ、楽しみであるな、くははっ」
「くひひっ、兄者、足が弾んでおるぞの、くひひっ」
「くふふっ、姉者もだあ、くふふっ」
「……あたしの反論聞いてよ誰か……」
「ど、どんまいです安倉先輩」
各々が好きに喋って、私についてくる。
それが楽しくて、私はふふっと微笑んだ。
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