30.生徒会企画
ぴんぽんぱんぽーん。
スピーカーからががっと音がして、生徒会長の声が次に聞こえた。
『1時になりました。これから、生徒会企画を始めます』
その言葉に、おっ、とみんなが湧く。
そして、生徒会長はまた続けた。
『生徒会企画は体育館で行いますので、体育館にお集まりください。10分後に開始いたします』
みんながぞろぞろと体育館に向かうなか、私は月飛くん、ゆゆ、來山くん、佐野くんとその人の波に乗った。
「楽しみですね、生徒会企画」
にこっと月飛くんが笑い掛けてきたので、私もこくりと頷いて笑った。
「そうねっ」
体育館につくと、すでにたくさんの生徒たちが集まっていた。
ステージには生徒会長がいて、生徒会役員たちもパイプ椅子に座って待っている。
そこからは、全くなんの企画かはわからないけど……。
「あおちゃーん、なんだと思う? 企画の内容」
「ん……わかんない。ゆゆはわかったの?」
「え? いやいや」
ひらひらと手を振りながら、ゆゆは笑って言った。
「あおちゃんにわかんないんだから、あたしがわかるわけないじゃんー」
「よくわかっていらっしゃる」
「え、ひどくね? めっちゃひどくね? ねーあおちゃん? さすがにそれはひどすぎね?」
「自分で言ったんじゃん」
「自分で言うのと他人に言われるの違うじゃんー!」
ばたばたと手足を忙しなく動かして、ゆゆが暴れる。
どーどーと彼女をなだめて、私は楽しそうに談笑している月飛くん、來山くん、佐野くんを見た。
「貴月と月飛はさ、なんだと思う? 生徒会の企画」
「んー……体育館だと、参加型か鑑賞型かも微妙だよなー」
「そうですね。……あの、去年も生徒会企画ってあったんですか?」
ん、と來山くんと佐野くんが目を合わせて、ふっと苦笑いをする。
「俺ら中1だし、去年はいないよ。この学園」
「……あ、そっか」
「澄瀬先輩とか安倉先輩なら知ってると思うよ?」
ぱたぱたと月飛くんがこっちに向かってきて、私たちに問う。
「碧音さん、安倉先輩、生徒会企画って去年とかもあったんですか?」
「ん-……いや、やってたんだろうけどあんまり目立ってはなかったなぁ。ねぇ、ゆゆ」
「うん、そうだねぇー。こんなに盛り上がってなかった」
「……? じゃあ、なんで今年はこんなに盛り上がってるんですか?」
「そりゃあ、生徒会長があの子だからだよ」
ゆゆが至極当然というように言って、月飛くんはことんと首を傾げる。
「……林真央先輩、でしたっけ? あの方が生徒会長だったら、何か変わるんですか?」
「そっか、君転校生だから知らないのか。あの子すごいんだよねー。完璧すぎてほんとに現実の子かなってなるんだけど。カリスマだから、みんな尊敬してるよ」
「へぇ……」
驚いたように月飛くんが目を開く。
「あ、……始まるみたいだよ」
誰からともなくそう言って、体育館にいた全員がステージの方に向く。
そして、おもむろに林くんが話し始めた。
「——これから、生徒会企画・『夏祭り』を開催します!」
ざわっ。
その言葉を聞いた時、体育館が騒がしくなった。
「夏祭り……?」
「ねーあおちゃん、今って秋だよねー?」
「うんそうなんだけど比喩でしょ夏ってのは」
「じゃー秋祭りなんじゃないのー?」
「夏祭りみたいな祭りをするんじゃない?」
ゆゆが企画立案者の意図を全く汲んでいない発言をしたので、教えてあげた。
「では! せっかく体育館に集まっていただきましたが——『夏祭り』は体育館ではなく、メインホールで行われます! メインホールにお集まりください! 同じく、10分後に始めます!」
林くんの言葉に、私たちはえぇーっと肩を落とす。
……また移動……?
林くんはその声に苦笑して、生徒会副会長、高校3年生の真面目そうな黒縁眼鏡をかけた女子生徒・茨屋優佳先輩が代わりに言った。
「メインホールでは、もう準備が整った状態でしたので。申し訳ありません」
彼女はそう淡々と謝罪して、林くんはその淡白っぷりに苦笑を深める。
「茨屋先輩、もうちょっと笑顔で」
「……」
茨屋先輩は、林くんのその言葉にふんっと顔を背けた。
……なんか、林くんと茨屋先輩ってめっちゃ仲いいな。
「……今、こんなことしてる場合じゃないでしょ」
「まあそうだけど」
林くんはふ、と嘆息して、茨屋先輩は置いていたマイクを握りなおす。
そして、先ほど林くんが言った言葉をもう一度繰り返した。
「繰り返しますが、『夏祭り』は体育館ではなく、メインホールで行われます。メインホールにお集まりください。10分後に始まります」
そして、私たちはメインホールに向かった。
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