20.そもそも……文化祭って、何……?
月飛はここからため口です。
前書きの下ちょっと読んで、これ誰だ? ってなったそこのあなた。
これは月飛です。
敬語じゃないなんて月飛じゃない! と思ったそこのあなた!
慣れなさい。
あ、ごめんなさい。舐めた口聞いてごめんなさい。
そして前書き長くてすみません。
「文化祭……?」
僕は、そう学級委員長の佐野さんの言葉をオウム返しした。
僕は学校に行ったことがないから、イベントというイベントを全く知らないのだ。
「よっし、出し物決めるぞぉ! どんどん挙げてなー!」
出し、物……?
僕が首を傾げていると、みんながはいはいと手を挙げて、すごい勢いで何かを言い出す。
「スタンプラリー!」
「謎解きゲームー!」
「合唱!」
「劇劇ー! 演劇やりたいー!」
「フリースタイル!」
「組体操ー」
「ミスコン‼」
「カフェ!」
「たこ焼きとお好み焼きー!」
わわっ……⁉
みんなの熱に圧倒される僕に、佐野さんが目を向けた。
……何か嫌な予感が……。
「澄瀬は何したい?」
「え、あ、う……」
あぁ。予感が当たってしまった。
答えに詰まってしまって、皆さんに迷惑をかけてしまっている僕の窮地を救ってくれたのは、陽太さんだった。……陽太さん神。太陽神。
「……月飛。“カラオケ大会”」
「ふぇっ? か、からおけ……大会?」
僕は陽太さんの言葉を復唱して、はっと佐野さんの方を見る。
すると、佐野さんの瞳は、きらきらと星みたいに眩く輝いていた。
「カラオケ、大会……!」
「、え?」
「いい……いいいいいいいいめっちゃいい……! すごいよ澄瀬……!」
うおおおおおと肩を揺すぶられて、僕は頭がぐわんぐわんと異常な音を鳴らしているのが聞こえるあ、これやばい……うぅ。
「お、おい佐野やめてやれ。月飛がダウンしてる」
「あ……ごめん澄瀬」
「素直でよろしい……大丈夫か月飛」
「う、う……大丈夫、ですぅ……」
まだ目は回ってるけど……うぅ。
「えっと……さ。佐野くーん、でもカラオケ大会するなら歌あんま上手くない人いるかもじゃん? どうすんの?」
「え? あー……それは……うーん……」
「審査員とか司会とか音響とか、いろいろあるんじゃねぇの役割。歌うまいけど人前で歌いたくねぇって奴らもいるだろうしさ。……ま、歌そんな上手くねぇけど歌いてぇって奴は歌わせたらいいけどさ」
「おー! 陽太、マジナイス!」
陽太さんの意見に、佐野さんが嬉しそうにニッと笑顔を浮かべる。
「なー、みんな! うちのクラスの出し物は、“カラオケ大会”ってことでいいか⁉」
「いよー」
「どぞどぞ」
「どうでもいいー」
「めんどー」
多種多様の「いいよ」が佐野さんに帰されるのを見て、僕は佐野さんがお月様みたいだなと思った。
——太陽みたいに眩しくはないけれど、優しく道を照らしてくれる、お月様みたいだな、と。
それは、あでやかな百合のような碧音さんにも似ていた。
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