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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第95話 米軍史上最悪の作戦始まる

戦争評論家は後世に吐き捨てた。




「アリューシャン列島奪還作戦は米海軍史上最悪の作戦だった」




 米軍の稚拙と頑迷を抽出した末の出来事である。日本軍が盛大な罠を仕掛けたよりかは米軍が自滅した。そもそもアリューシャン方面に大した価値を感じていない。南方作戦が遅々として進まないことに業を煮やした。小さい勝利を得て士気を発揚しようと試みるが作戦行動自体に明確な目標は存在しない。




 米軍の自棄を被ることになった日本軍は明確な目的をもって防衛に徹した。日米開戦から直ぐに確保した動きは謎に包まれている。謎を一層に深める要素としてアリューシャン列島を高度に要塞化した。大規模な飛行場が整備されて基地航空隊も進出する。沿岸砲台と高射砲、機雷原も整備される豪勢ぶりは南方から僻まれた。




 したがって、米軍が基地航空隊の爆撃機を飛ばしても戦果を挙げられない。空から攻めようと海から攻めようと早期警戒の網に絡まった。日本軍の司令部偵察機は高性能レーダーを装備する。持ち前の快足を活かして戦闘機の迎撃を嘲笑うと敵の位置と陣容など詳細を暴露した。




「敵艦隊接近中!戦艦3、巡洋艦2、駆逐艦、その他複数隻! 空母はなし!」




「陸軍さんの司偵は優秀すぎるやしないか。この時点で察知できたことは大きい。直ちに爆撃隊を発進させる! 邪魔な堀を埋めてやれ」




「爆撃隊発進準備! 陸攻は爆弾を装備するが事前に通達した機体は模擬弾を持て!」




「ア号爆弾の本来は島嶼部の拠点が航空隊の支援なく自衛できること。陸攻や爆撃機から投下することは副次的なこと。問題はどうやって誘導するか…」




 天気は珍しく晴天を極める。絶好の対艦攻撃の日和であると陸攻隊はやる気に満ち溢れた。なにせ荒れた日が殆どの中で晴天の日に敵襲とは最高以外に言いようがない。これを逃したら次に飛べる日は来年になるかもしれないと気合を注入した。整備兵はそれ以上に機体をピカピカに仕上げる。爆弾倉にしまう兵器も入念に調整した。




 一般的にはあり得ないことである。陸攻の一部は徹甲爆弾を模した模擬弾を積んだ。弾薬庫が心許ないとは言わせない。アリューシャン列島への輸送は高速輸送艦を用いた急行作戦により確実に行われた。あまり実戦機会に恵まれなかった都合で潤沢を維持できる。それでは何故に模擬弾を積み込むのかは御膳立てに収まった。




 彼らの仕事は敵艦隊の堀を埋めると称して巡洋艦と駆逐艦、その他を無力化することにある。陸攻隊は必殺の徹甲爆弾か航空魚雷を戦艦と空母の大物にぶち当てた。もちろん、大物食らいが最高だが敵戦闘機の進化に艦隊防空の充実化を受けて非現実的を呈される。現在は大物を護衛する補助艦艇を殲滅することに集中した。




「通信装置はバッチリです。バッテリーも交換したから3日間は電波を発信し続ける」




「それはいいが、本当に捕まえてくれるのか?」




「西内さんを信じるんだ。俺たちと違って帝立大学を卒業している。それも理系を」




「あぁ、それは信じるしかねぇや」




「私は戦うどころか盾にもなりません。小さな頭を使って皆さんを支えます」




「墓参りには来てくださいよ。西内さんがいなきゃ」




「わかっています。どうかご武運を」




 陸攻乗りを見送るは民間人も含まれる。アリューシャン列島の生活を支える民間人は軍人に準じた。これと別に最先端の機器を維持すべく頭脳が派遣される。内地がいかに恵まれた環境か思い知った。ここに来た当初は帰りたい気持ちでいっぱいでも次第に慣れる。自分の頭脳がフル回転しなければ彼らは無駄死にを強いられた。




「全員が戻ってきてくださいよ。お願いします」




「第二派の準備があります。どうぞ建物へ…」




「いえ、私は全機を見送ります。これが私なりの不器用な礼節です。もちろん、敵が来れば逃げますのでご安心ください」




「ぜひ、お願いします」




 一つの島を発進した陸攻隊は待機中の零戦隊と合流する。陸軍航空隊と海軍航空隊は同居した。敵艦隊襲来時の対艦攻撃は海軍航空隊の専門と明確に分業制を敷くことで効率化を図る。もっとも、陸軍航空隊も水平爆撃と反跳爆撃、急降下爆撃と攻撃法は確立して臨機応変に交代した。今日は一日を通じて海軍航空隊が担当しよう。




 零戦も陳腐化に突入し始めたが世界最高峰の艦上戦闘機を誇った。零戦の後継機開発が進んで1943年中頃に纏まった数が登場する。それまでは零戦後期型が踏ん張った。敵艦隊の上空をワイルドキャットかライトニングが固めていても恐れることはない。




「対艦電探に感あり! なかなかの獲物です」




「よし高度を下げる。基本に忠実に急降下爆撃を行うぞ。艦爆隊の仕事を奪ってやる」




「天雷陸攻は何でもできる。アメさんに見せてやりましょう」




「一式陸攻も悪くはなかったが天雷は画期的すぎるのが悪い」




 新鋭機である天雷陸攻は基本的に対艦電探を装備した。司令部偵察機も運用する対艦電探は優秀を極める。敵艦隊の位置が大まかにしかわからない場合も自力で手繰り寄せた。敵艦隊の反応へ突き進むと雲と雲の切れ目から航跡を視認できる。この場に友軍の艦隊は一隻も展開していない以上は敵艦隊に違いなかった。雲と雲を隠れ蓑にして接近を試みる。




「そんな、へなちょこの高射砲。当たるかっての」




「全機突撃姿勢へ。第一小隊から第三小隊は徹甲弾を叩き込め。第四小隊から第七小隊は手筈通りに模擬弾を命中させる」




「了解」




「戦闘機はいないようです。舐められました」




「いや、きっと、アメさんも一枚岩じゃないんだな」




 ご名答だ。




 この時の艦隊は再三にわたる直掩機の派遣要請を行うも悉く無視されてしまう。ダッチハーバーを筆頭に陸軍航空隊は戦闘機の派遣を渋った。アリューシャン列島の天候は頑丈自慢の米軍機も耐えられない。悪天候では日本軍も攻撃できないと踏んだ。




「全機突撃!」




 新型陸攻は零戦隊に見送られて各々が定めた目標へ降下を開始する。天雷は万能機を極めた。水平爆撃はもちろん、航空雷撃に加えて急降下爆撃も可能だ。ダイブブレーキを備えると安全で確実な急降下爆撃の能力を得る。最大1.5tまで爆装できる点より1t徹甲爆弾を腹に抱えた。




「その機関砲で落ちるかぁ!」




「行けぇ!」




「舐めるんじゃねぇ!」




 小隊単位の急降下爆撃から逃れるすべはない。米海軍は直掩機に頼らない対空を磨いた。従来の28mm高射機関砲を廃止してボフォース40mm高射機関砲に換装し、5インチ両用砲を増やすなど防空を磨いたが、直掩機なしの艦隊防空は成立しない。天雷は一式陸攻から防弾の装甲に難燃ゴムのタンクなど防弾設備を充実化させた。仮に40mmボフォースが直撃しようと当たり所によっては飛行を継続可能なタフネスを押し立てる。




「ちきしょう。外れたか」




「まぁ良い。本命は模擬弾にある。模擬弾が突き刺さりさえすればな」




「敵兵は不発弾と思って無理に触らない。その間に対艦噴進弾が迫りくる。絶対に回避できない矢です」




「気を取り直す。第三派は止めを刺すための攻撃だ。50番を3発貰いに帰ろう」




「はい」




 先鋒は苛烈な艦隊防空を無理矢理に突破すると投弾に成功した。しかし、敵艦も目一杯の回避機動を採る。急降下爆撃の命中率は意外と低かった。嘗ては9割に迫る異常な数値を叩き出すも敵味方共に研究を怠らない。そう易々と当たるようなことがあってはならないわけだ。それでも、巡洋艦と駆逐艦に直撃を浴びせる。駆逐艦程度は1t徹甲爆弾の一撃で大破まで追いやった。当初の狙い通りに本丸を守る外堀を埋める。




「模擬弾だからな。普段と違うぞ」




「何も言わんでください。集中が切れます」




「悪い」




(この目で見られないことが残念で堪らない。田舎に残したお袋と妹を守る。そのためにコレを当てる!)




 敵艦の回避する先に残りの天雷が急降下爆撃を仕掛けた。急機動から急機動はすぐにはできない。特に鈍重な旧式戦艦は切り返すだけで精一杯だった。これが真の狙いらしい。爆弾倉で黒光りする徹甲爆弾の模擬弾はギリギリの高度から放たれた。信管も炸薬も入っていないと雖も実弾と相違ない。大重量の物体が突っ込んでは甲板を為す木板を貫くが装甲に阻まれた。




「不発弾か?」




「命拾いしたがいつ爆発するかわからない。空襲が落ち着くまで触るな」




「もちろんだ」




 米海兵たちは不発弾に安堵するも下手に刺激して爆発されてはジョークにもできない。この空襲が完全に落ち着くまで放置が安全と見た。まさか、実戦に模擬弾を投じられるとは思わない。まさに意表を突いた奇策だが、きちんとした、れっきとした、意味のある行動の知る由もなかった。




 模擬弾からは電波が発信されている。それは己の位置を知らせ続けるものだ。電波は全方位に放たれた先に日本軍の基地が存在する。何もないはずの草原に水上機を飛ばすための射出機が大仰角で並んでいた。今か今かと飛翔の時を待っている。




「来た! 敵艦を捕まえた!」




「今だぁ! 全弾発射ぁ!」




 直後に生じた噴煙は島の一角を包み込んだ。




 続く

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