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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第84話 米豪遮断作戦最終段階へ

米豪遮断作戦はソロモン諸島をめぐる戦いの戦略的な勝利、米軍後方拠点の破壊、ミッドウェー島攻撃の三点から最終段階へ移行した。米軍は一連の戦闘から太平洋の制海権を一気に漂白される。日本軍は艦隊こそ派遣しないが潜水艦を大量投入して地上部隊はオーストラリア西岸への上陸作戦を待った。米豪遮断作戦はオーストラリアを脱落させて完成を見る。




「ダーウィン、ケアンズに上陸を敢行し、大陸制覇の橋頭堡を作ります」




「大陸制覇は荒唐無稽だ。オーストラリアという国は丸ごとが要塞である」




「失礼いたしました。ダーウィンを補給拠点と構えます。ケアンズより重爆撃機を飛ばしブリスベンを爆撃します。ブリスベンを破壊した後に大軍勢を上陸させ、ブリスベンよりシドニーとキャンベラを窺えば、おのずと停戦交渉に応じることでしょう」




「海軍の空母艦隊がシドニーやキャンベラを爆撃すれば直ぐに終わるんだが」




「ミッドウェーというつまらない目標を攻撃し終えた直後です。大規模な補給と補充が必要なので数か月は見込むかと」




「まぁよい。米軍の立て直しも間に合わない。どれだけ大艦隊を拵えようと地上戦力が枯渇している中では無茶だ。ソロモン諸島の焦土戦術は徹底したな?」




 石原莞爾は辻政信から報告を受けて次段作戦を詰める最中だった。辻は前線視察を通じた己の五感で知ることを信条に動き回る。現場からすれば迷惑な話だが士気向上に繋がり、本土組は生きた情報を手に入れることができ、あながち独り善がりとも言い難かった。




 現在は日米両軍が落ち着きを取り戻す。日本軍の勝利に収まったが損害は決して許容できる範囲ではなかった。日本国民の徴兵には限界がある。中華民国から義勇軍と称した徴兵を募った。既に師団単位の戦力を揃えることに成功したが、日本軍に組み込んでは多方面に困難を抱える故に中華民国軍の将校が率い、その指揮官たちは日本軍に近代戦を学んだ優秀者が占める。




 海軍もミッドウェー島攻撃や米軍後方拠点破壊、ソロモン諸島の海戦など一挙に消耗した。大被害は見られないが水雷戦隊が半壊して交代を強いられる。空母艦隊と挺身艦隊は燃料と弾薬、食料の補給を要した。海域に生じた穴は前述の潜水艦の大量投入が埋める。陸海軍の基地航空隊が放棄した拠点などに機雷を空中投下して米軍が鬼の居ぬ間に洗濯と動きを封じた。




「ガダルカナル島は大場隊の目撃証言と照合しました。ルンガ飛行場は跡形もなく消失しており、米軍は懸命に復旧作業を行っていますが、ブーゲンビル島から爆撃を繰り返しています。ツラギ島など小島の監視所も爆破処理を行い、各地に地雷や手りゅう弾の罠、落し穴など…」




「よろしい。ソロモン諸島に価値など無いが、消耗を強いるよう妨害は手を抜かず、仮にブーゲンビル島など脅かされる場合は速やかに動け」




「もちろんです」




「ブーゲンビル島、ニューギニア、ラバウルの三点を受け皿とする。そう簡単に反攻できるわけもないがな」




「米軍単独の反攻は不可能です。豪軍の協力がなければという」




「そうだ」




 米軍はガダルカナル島を筆頭にソロモン諸島の制圧に成功した割に敗北を喫する。海軍の戦艦と巡洋艦、駆逐艦が将校ごと沈められた。地上部隊も南方特有の劣悪な環境から傷病者が続出し、酷悪な話だが死んでもらう方が負担は少なく済み、負傷や感染症になると医療を圧迫する。日本海軍は南太平洋に潜水艦を配置して無差別攻撃を展開すると移送もままならなかった。




 米軍単独の大反抗は不可能という分析がなされている。豪軍の協力が必須と見た。豪軍はニューギニアの戦いとソロモン諸島の戦いに活躍するも米軍共々粉砕の目に遭う。彼らは勇猛果敢に戦ったが敢無く散っていった。米軍の支援と称して雑務に割り当てられた上に米兵の横柄な態度に辟易する。現場単位では米兵と豪兵の喧嘩が頻発した。




「今や豪州は本土の本格的な攻撃の危機に瀕している。そんな中で米国から反攻作戦を手伝えと言われて首を縦に振るか?」




「振らないでしょう」




「当たり前だ。アメリカ人という生き物は自らを第一にしている。同じ白人の中でも階級を構築して自分たちは最上級でふんぞり返った」




「米豪遮断作戦は心理的に断つことも含んでいる。石原閣下には敵いません」




「それはさておき、豪州が籠城戦を選択した場合が面倒だ。無駄な長期戦は避けたい」




「やはり首都を直接攻撃することが一番です。しかし、約半年は要すると見込んでいました」




「43年には締め上げて単独の停戦を引き出す。多少は譲歩して構わない。」




「それではフィジーとサモアから特殊部隊をシドニーとメルボルンへ投じてはいかがでしょうか」




「貴重な少数精鋭を捨て駒にはできない。海軍に心理的な圧力をかけさせる」




 石原莞爾もオーストラリアを全土制覇することは無茶と理解する。内陸部は広大な荒れ地が広がった。そこに価値は欠片も存在しない。鉱物など天然資源に富んでいるが掠め取ることも叶わなかった。どうにか外的な圧力を加えて単独の停戦交渉を引き出して大東亜戦争から脱落させたい。首都のキャンベラに進撃することは非現実的であり、辛うじて、ダーウィンを制圧して港湾拠点を確保できる見込みだ。




「海軍にそのような戦力がありますでしょうか…」




「あるんだ。私も全貌は把握できていないが特殊攻撃隊が存在する。連合艦隊や航空艦隊が不在の隙にだ」




「あくどい」




「最高の褒め言葉と受け取ろう」




~山口県周南市~




 田舎の漁師町に海軍の秘密基地が設けられる。




「自分たちはいつになったら出撃できるのですか。身寄りはありません。いつでも死んで行けます」




「馬鹿を言うんじゃない。お前たちが死ぬとしても時期と場所は選ぶもんだ」




「無駄な燃料は使いたくありません。訓練は十分に積みました。自爆する覚悟もあります」




「お前たちの気概は十分に受け取った。お上が良いと言わない限りは動けん。わかってくれ」




 若い兵士が上官らしき中年男性に食ってかかった。普通は殴られるような行いでも上官は若人を必死に宥めている。上官が年齢不相応に落ち着きのある理解者ということを差し引いても異常な光景だ。上官はまったくの常識人である。部下と抱える若人が死にたがり、かつ上層部から常軌を逸した特殊攻撃隊を押し付けられ、良心の呵責と相まって板挟みは加速した。




 小島の岩盤をくり抜いて作られた簡易的な発進所に特殊潜航艇が並んでいる。奇襲兵器の切り札と開発されたが、あまりの劣悪な環境と作戦の非人道性、そもそも有効かどうか等々の疑念より半ば凍結された。しかし、いつか出撃の機会が訪れると信じて改良だけでなく、各位の育成と訓練は現在も行われている。




「おぉ、こんなところで喧嘩とはいただけんよ」




「申し訳ございません。私では宥めきれず…」




「仕方あるまい。彼らは報国の精神に満ちた。若さとは羨ましいよ」




「はい。おじさんには輝いて見えます」




「それでは輝きを最期まで持って行ってもらおうか。遂に出撃の機会がきたらしい」




「わかりました」




 若い兵士を抱える中年以上の士官は複雑な気持ちでいっぱいだ。彼らが永遠に出撃しないことを切に願う。その半面に日本が勝利すべく投入の時を待った。残念ながら、特殊潜航艇が死地へ向かうことが決定的と変わる。つい先ほど連絡役の士官が基地を訪ねて作戦概要を直接の手渡しで伝えてきた。




「オーストラリアの港湾都市を急襲せよと来ている。潜水艦による回収を前提にしているが実際は上陸して斬り込みだ。100名にも満たない犠牲で大陸を落とせば大戦果を誇る」




「体の良いことばかり」




「軍隊はそういう組織と相場が決まっている。せめて、彼らが誇りを抱いて死ねるように」




「はい…」




続く

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