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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第83話 米豪軍の立て直しを許さず

ガダルカナル島を巡るに終止符が打たれる前に既に勝敗は決していた。米豪軍はソロモン諸島へ戦力を集中させる。彼らの後方に一時的に空白が生じて付け入る隙が生じるが、重々承知の上でありB-17とB-24の重爆撃機を多く配備した。ここに『蜘蛛の巣』と恐れる殲滅域が構築される。




 B-17とB-24の集中投入によって日本軍の艦船を一方的に撃沈できると豪語した。P-38の重戦闘機を護衛につけることで無敵を誇る。日本軍の輸送船や駆逐艦を撃沈する戦果をあげていた。強行偵察か遠洋哨戒に出た飛行艇まで撃墜する。ソロモン諸島の攻勢は存分にやってくれと言わんばかりだ。




 それも今日で終わる。




「なにぃ! B-17を送り出しておきながら戦果をあげられなかっただとぉ!」




「はい。敵艦の対空砲火は苛烈を極めています。B-17を2機も撃墜されました。敵戦闘機も懸命でライトニングを振り回して対空砲火まで誘い込んでいます」




「今度の敵は手練れということか」




「帰還した機体の者が口をそろえて回避機動が上手いと言っていました。昼間の爆撃は集中的に飽和的に行うべきかと」




「そうだな。これは私の失策だ。次は万全を期して数十機を飛ばす」




 現地航空隊の指揮官はカタリナ飛行艇が発した「敵艦隊接近」の報告を受け即座に重爆隊に出撃を命じた。今日は面白味に欠ける弱い者イジメではなく歯応えのある大物を食えると息巻こう。いざ戦場に到達するとゼロの群れがライトニングを引き剝がすと激しい空戦に突入した。敵艦隊の上空まで自慢の堅牢を信じたが今までに経験したことのない対空砲火に絡められる。




 重爆隊は全身に傷を負っても爆弾を投下することに成功した。徹甲爆弾のスコールを降らしたが水平爆撃の命中率は低いと相場が決まっている。駆逐艦は軽快に避けて回るが空母と戦艦は比較的に鈍重だ。ボマーが自信を持って当たると言った爆弾は漏れなく海へ突っ込んでいる。敵艦隊の回避機動は洗練されて悪態を飛び越えて感嘆を強いられた。それどころか退避中も激しい対空砲火を被ってB-17が2機も撃墜される。




「次の矢は出せるか」




「難しいです。敵艦隊の空母が健在である以上は反撃が来てもおかしくありません。日本海軍の艦載機は一様に足が長いことはご存知のはず」




「やむを得ない。帰還する機体の収容を急ぎつつ哨戒機を出すんだ」




「それが正解かと…」




「て、敵機襲来! 繰り返す! 敵機襲来!」




「どうして気づかなかったぁ!」




「まずは避難が優先です。こちらへ」




 B-17隊が手負いで帰ってくるため受け入れの準備を進めていた。敵艦隊が五体満足のため速やかに収容して攻撃に備える。さすがに空襲を受けて直ちに反撃の矢をつぐことはできないはずだ。敵が攻撃隊を放ってきたとしてもレーダー監視所が報告する。日本軍の快進撃に驚いて初期でもレーダーの配備を進めていた。それなのに肉眼の発見が早いとはいただけない。




「空の要塞も滑走路が穴だらけじゃ着陸できないだろう。送り狼戦法良いじゃないか」




~基地上空~




「案内ご苦労様だぁ」




 角田覚治の下で戦う以上は猛烈な戦闘精神の持ち主である必要が呈された。隼鷹と飛鷹の航空隊はもちろんのこと扶桑と山城、伊勢と日向も同様である。B-17の空襲を掻い潜った直後に送り狼戦法による第一次攻撃が命ぜられた。




 艦隊が空襲を受ける前に空中退避していた紫雲水上偵察機が攻撃から退避中のB-17を尾行している。敵基地の場所は強行偵察から把握したが敵機がちょうど帰投するタイミングを計算した。B-17が着陸する寸前に滑走路を破壊して着陸を許さない。他の島へ向かおうものなら隼鷹と飛鷹の航空隊が襲い掛かった。




「どうやら遅刻しちまったようだ」




「遅刻するぐらいがちょうどいいです」




「さて突っ込みますか」




「低空から襲撃する。まさに襲撃機の仕事よ」




 扶桑型と伊勢型に搭載された襲撃機は陸軍機を素体にした専用機である。海軍の射出機を用いて発進するための装備など小幅な変更が行われた。低空からの襲撃を行う都合で低空における安定性と操縦性を重視している。日本軍も大々的に運用する電探ことレーダーの探知を持ち前の低空飛行から回避した。今回は紫雲と連携を取りながら海面スレスレを飛行して基地を襲撃するが見事に嵌った形である。




 彼らは滑走路に幾つか並べられたB-17へ機首を向けた。主翼下に100kg爆弾6発を携行して全弾を満遍なく投下する。日本軍の襲撃機は面の打撃を重視した。小型爆弾を多数投下した後は20mm機関砲による機銃掃射に移行する。たとえ、B-17が空の要塞と呼ばれるだけの重装甲を持てども100kg陸用爆弾の直撃はよく効いた。20mm機関砲の掃射も脆弱な部分を着実に破壊されていく。




「軟弱な奴は逃げ惑う兵士を撃つことを躊躇うという。俺たちは違うんだ」




「機銃が煩いんで黙らせてきます」




「きぃつけろよ。最近の基準は狙いが妙に良い」




「わかってます。零式襲撃機の装甲は伊達じゃありませんから」




「一人で行くんじゃない。3機で行きましょう」




「よっしゃ。いつもの一本鎗でいけぇ」




 襲撃機は3機で一本鎗の名前通りに一直線に変わった。彼らが独自に編み出した攻撃法である。機銃掃射を行える時間は意外と限られたが、3機が縦方向に連なると単純計算で3倍を確保でき、尚且つ敵兵に与える心理的な効果も強かった。地上の対空機関砲に対して突撃を敢行すると先まで勇ましかった機関砲は狙いが狂い始める。襲撃機の重装甲も相まって効果を減じられた。ソ連人民空軍のIL-2襲撃機の出現を知って速度性を犠牲に防御力に重きを置いている。20mm機関砲の直撃に耐えうる装甲を纏うが急速に配備の進んでいる60口径40mm機関砲は厄介だ。




「いかん。燃料がギリギリだ。隼鷹か飛鷹に滑り込む」




「飛べる時間が短いこと。本当に惜しい」




「何もかもが完璧な航空機があってたまりますか。あとは空母艦載機に任せる」




 第一波の襲撃機は鎌鼬の一撃である。鎌鼬のように一瞬で切り裂くと言えば格好良いが実際には燃料が底を尽きかけた。重武装と重装甲を揃えたことで大重量を極めて燃費は劣悪を極める。全員が節約を心がけようと限界が存在した。彼らの後詰めは空母艦載機に任せて帰投する。隼鷹か飛鷹に着艦して再出撃の用意を進めるはずだ。




 ニューヘブリディーズ諸島のバヌアツは大規模な空襲を受ける。空襲がひと段落して直ぐに滑走路を仮で復旧させた。ロードローラーやショベルカーを動員するマシンパワーは流石である。それでも基地の攻撃能力は一時的に喪失を強いられた。角田艦隊はじわりじわりと接近を試みる。お日様が落ちて夜に突入して静寂が支配するかと思われたが日中以上の喧騒が代理して支配した。




「お手本のような弾着観測射撃だ。三式弾も零式弾も撃ち尽くして構わない。下手に残した方が角田さんから雷を落とされる」




「午前中にはB-17相手に温存しましたが正解でしたか」




「三式弾は艦対空には使えない。脅かしの武器が精々だった。しかし、対地砲撃には十分どころか非常に強力を誇る」




「アメさんを叩き起こしてやりましょうぞ」




「どんどん撃つんだ。渋るような真似は認めん」




 扶桑型と伊勢型は悪足搔きと艦前部に36cm連装砲2基4門を残す。戦艦としては中途半端と雖も4隻が集まれば圧巻と変わった。米兵が寝静まった頃に飛行場へ艦砲射撃を実施する。主砲には新兵器の三式弾と従来型の零式弾を込めた。前者は対空榴散弾と開発されたが、焼夷子弾をばら撒く性質から対地に活路を見出し、飛行場を丸ごと焼き払う。後者の従来型たる零式弾も信管を調節することで破砕の榴散弾と働いた。これを交互に叩き込むことで飛行場の機能を完全に喪失させよう。




「これで豪州の命脈は絶たれた。米豪遮断の完成である」




続く

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