表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/156

第78話 人類の業を背負いこむ覚悟はあるか?

石原莞爾の命によりガダルカナル島は地図から消えるところだった。




「ガダルカナル島飛行場は完全に消失した。米軍の物量作戦に感謝しよう」




「飛行場丸ごとを吹っ飛ばす。最悪の焦土戦術ですが…」




「ガダルカナル島は元より無人である。いまさら自然を気にしても遅い。我々は勝つために手段を選ばない」




 ソロモン諸島で一挙撃滅を図る中でガダルカナル島は捨て駒に等しい。ここで言う捨て駒とは守備隊を除いたガ島本体を指した。守備隊の残存兵に対して西端の沿岸部を目指すよう言っている。米軍は日本軍のガ島撤収を阻止に大艦隊を動員した。有力な水雷戦隊がラバウルで待機している。日米海軍の大海戦が繰り広げられると見込んだ。




 海軍が時間を稼いでくれる。陸軍は高速輸送艦と輸送潜水艦を突っ込ませて全員を収容する手筈を組んだ。問題はいつ突っ込むかに置かれる。こればかりは現場に委ねるしかなかった。石原莞爾も多少の変更は「やむを得ない」と事後報告で構わないから必ず助け出すことを厳命する。




 米軍に前線拠点を設けさせないことが条件に浮上した。特にガダルカナル島に建設したハリボテの飛行場を完膚なきまで破壊しなければならない。米軍は圧倒的なマシンパワーを以て早期復旧を手繰り寄せた。マシンパワーが利かない圧倒的な破壊は島の地形を変える程が好ましい。




「不発弾という不発弾を埋め立てた。高性能の爆薬はいくらでもある。機雷に魚雷も」




「あの島に価値があったのかと言いたいです」




「私は大いにあると思っている。米軍を叩き潰す価値がね」




「それも今更でしたか。そういえば、辻参謀がラバウルで陣頭指揮を執っています。よろしいので?」




「辻には好きにやらせている。陸軍の仕事は一旦終わった。あとは海軍の始末である。敵戦艦を沈めてくれれば有り難いが難しいだろう。1隻を屠っただけで大戦果だ」




「ミッドウェーなんて無視すればよいものを…」




「新兵の訓練と割り切る。敵空母は動けないで敵戦艦はソロモンに釘付けだ。基地航空隊は怖いところも空母6隻が集結すれば負けることはあるまい。陸軍は次にオーストラリアを落とす」




 ガダルカナル島の飛行場がハリボテと作られた裏に超巨大な地雷が設けられた。米軍が集中的に攻撃することを鑑みて被害担当にする。不発弾がゴロゴロとそこらに転がった。米国の国力を象徴する物量作戦は相応に不良品を製造する。なにせ母数が多い故に不発弾も数百発を確認できた。不発弾を普通に爆破処理しては面白くない。米軍の爆撃や砲撃が開けた大穴に埋め立てる際に使用した。その他にも爆弾と砲弾、爆薬、機雷、魚雷など危険物を惜しげもなく投じては埋め立てる。




 まさに飛行場全体が地雷と機能した。日本軍の守備隊は飛行場を放棄したが敵には欠片も与えない。米軍が飛行場を制圧する瞬間に発破することで一網打尽にしつつ基地機能を半永久的に喪失させた。ガダルカナル島を大反攻の前線拠点に変えることを許さない。守備隊の中でも連れて行けない重傷者から軍神を数名選抜して重大な発破係を任命した。彼らは劣悪な環境の監視所で息を潜める。今すぐに楽になりたい気持ちを押し止めた。敵軍が殺到して来たところで祖国を想う。電池に電極を押し付けると楽になれた。




「その件に関して報告と言いますか共有と言いますか」




「何だ?」




「豪州政府は独自の和睦を模索しているらしく、米国政府の圧力を跳ね返すどころか、英本国の意向に従う方針へ転換を決めました」




「ほう、通商破壊作戦が効いている。適当な大地に上陸すれば一気に傾きそうだ」




「キャンベラに入ってはいかがでしょうか。潜水艦ならば上陸できます」




「馬鹿を言うな。いたずらに消耗できない」




 オーストラリア軍はニューギニアの戦いから本格的に参入する。米国から便利屋と使役されることが多く軋轢が生じた。米軍はオーストラリアの防衛に割かれると高待遇を受け、現地の酒場で様々な問題行為を引き起こしては市民から疎まれており、最前線の将兵もオーストラリア軍ばかり消耗する。一方の米軍は美味しい所を掠め取った。彼らは何も負担しないで戦っていると疑念は怒りに変わる。米軍も大損害を受けながら日本軍に痛撃を浴びせた。認知の歪みは簡単に矯正できない。




 日本軍のオーストラリア上陸が現実味を帯び始めた。大陸規模の大地を制覇することは非現実的である。ダーウィンやキャンベラ、シドニーなど重要都市が狙われた。現にダーウィンは連日のように爆撃を受けている。東部の都市も無差別爆撃を受けた。一度でも上陸を受ければ市民が反戦を訴えるどころか暴動を起こしてもおかしくない。国体がボロボロになる前に和睦を結んで穏便な解決を模索した。嘗ての宗主国であるイギリス本国も欧州戦線を優先すべく仲介に立候補する。アメリカは南太平洋の大拠点が失われれば大反攻が覚束なくなると圧力を加えた。




「今村大将は何と言っている」




「今すぐに戦線を縮小すべきと言っています。オーストラリアを落とせばニューギニアは不要とも」




「ニューギニアの縮小は考えている。各地から兵力を抽出して米本土上陸に充てる」




「米本土上陸は何年後になります。ハワイを落とすが先と…」




「ハワイに構うから何年もかかるんだ。私がアリューシャン列島を落とせと言ったのは単純に北方の警戒網を構築するために限るか? お前は私の傍にいて気づけないか」




「申し訳ありません。 己の不覚を恥じています…」




(憎まれ役はいつまで経っても慣れないんだ)




 日本軍の最上層部は次段作戦に移行するところまで話を進める。海軍がミッドウェーを無力化してソロモン諸島で海戦を起こそうと関知しなかった。陸軍と海軍が連携しなければ勝てないことは百も承知である。仲良しこよしもいけなかった。適度に対立しなければ均等を取れずに傾いてしまう。




「海軍にはパナマ運河でも封鎖してもらいたい。元栓を閉めれば出てこれん」




「マゼラン海峡を通過する度量もないかと」




「そうだな。米軍は戦艦は一時止めて空母を優先している。航空機以下の中小物は拡大を止めなかった。私の読みでは100隻に迫る空母が登場する。重爆撃機から戦闘機、戦車は数え切れない」




「仮に作ろうと運べなければ、何も恐れることはありません」




「パナマ運河の封鎖作戦は陸軍としても好都合である。ハワイよりもパナマを…」




 米豪遮断作戦はオーストラリアの脱落を以て完遂を認めた。この大作戦で消耗は著しい故に半年以上の空白期間を設ける。石原莞爾は最終段階を米本土上陸作戦に定めた。海軍が声高に主張するハワイ攻略を無視して米本土へ直接に攻撃と上陸を敢行しよう。米本土上陸は史上最大規模の大作戦になることを見越した。南方戦線を縮小して兵力を抽出して充当する。長期戦を想定して迎撃態勢を整えることに並行して敵本拠地への殴込みも考えた。




 表向きは長期戦の構えから厭戦気分を蔓延させて和平に持ち込みたい。国際情勢は一昼夜で大転換することが十分にあり得るのだ。枢軸国陣営の動きやソ連の動きを注視している。仮にアメリカが徹底抗戦から長期戦も上等ならば謀略を張り巡らして政変を誘発した。それでも動かない場合は地獄を覚悟して直接上陸も辞さない。




「中島から報告は来ていないか?」




「中島ですか? 私は受け取っておりません。私の所に来ないならば皆無であると」




「わかった。上がってきた際は直ぐに回せ」




「かしこまりました」




 米本土上陸は最終段階の苦肉の策が含まれた。たった五文字から得られる興奮は極度の裏腹に損害の予想は天井を知らない。あまりの数字に驚いて回避策を講じたいが今のところ有効案は呈示されなかった。私的に切り札の用意を進めているが夢物語で間に合う以前のことである。




(人類の業を背負いこむ覚悟はできている。アメリカよりも早く超兵器を…)




続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ