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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第152話 原子爆弾製造を食い止めろ!【後編】

「現在位置を確かめろ! まもなく、ロスアラモス研究所だ!」




 アリューシャンを飛び立ってから十数時間が経過している。富嶽の特別攻撃隊はカナダの端を沿うように飛行したが、ジェット気流やターボファンの兼ね合いから調整を挟み、ちょうど深夜になるようにしていた。昼間でも構わないが特製の爆弾が赤外線誘導式のため、ロスアラモス研究所がくっきりと出るように夜が好ましく、航法担当が正確に計算しきる。




 かくして、米本土に侵入すると戦闘配置の厳戒態勢を敷いた。機銃手は遠隔操作式の防護機銃をを注視して電探手は両目を開いて瞬きを減らしている。いつ敵機が上がってきても良いように構えた。しかし、高度1万まで上がってこれる機体はない。そもそもレーダーに引っかかることもなかった。




「間違いありません! ロスアラモス研究所です!」




「見えたか!」




「はい!」




「よ~し。それでは電子戦を開始する」




「信号送ります」




 敵地どころかアメリカ合衆国のど真ん中を飛行している以上は無線を使えない。したがって、古典的ながらも有効な発光信号を用いた。その光まで感知されぬよう特殊な装置を用いる。先頭を飛ぶ富嶽電子戦仕様に妨害開始を依頼した。いざ電子戦が始まると自機の電探も使い物にならない。おそらく、敵研究所周辺の基地は大混乱に陥っているはずだ。すかさず哨戒機を飛ばしてくるだろうが、詳細な位置を掴めずに徒労を知る。




 この間に高度を8000まで緩やかに落としていった。一気に落としては発見される。操縦手が熟練の技で静かに下げた。爆撃手は照準器越しにロスアラモスの田舎町を捉える。事前に諜報員が入手した写真を頭の中で照合した。この先に秘密研究所があるはず。アメリカらしい広大な大地に巨大な研究所が見えた。




「でかい…こんな研究所があるのか」




「操縦を爆撃手へ」




「了解。操縦を回します」




「受け取った。爆撃針路を修正する」




「セキ号爆弾用意! 爆弾倉開け!」




「爆弾倉開きます!」




「念のためだ。直接見に行けるか?」




「はい!」




 爆撃進路の修正を始めると爆弾倉を開ける。これも特製で空気抵抗を極限まで減らしていた。しかし、構造が複雑なため時たまに開かないことがある。アリューシャンの出撃のギリギリまで調整していたが石橋を叩いて渡った。手の空いている者が薄い酸素の中を歩いて確認に向かう。仮に不具合で空いていない場合は恐ろしく重いハンドルを回して人力で開けた。




「無事にあいてます!」




「そのまま監視しておけ! 今度は爆弾が落ちないかもしれない! その時も頼んだ!」




「はーい!」




「すまんな! 戻ったら飯をおごってやる!」




「全員分お願いしまーす!」




 その場に居座る。彼はひき続いて爆弾が正常に落下するかを監視する。爆弾を吊り下げる装置は安全性を重視した。それが行き過ぎて落下しないことがあり得る。これも人力で切り離す装置が存在した。万が一に備えることはいくらでも行うべき。




「見えた! 敵施設だ!」




「いけぇ!」




「秒読み開始…」




 ロスアラモス研究所の広大さに圧倒されるも正確に施設を読み取った。宿舎を破壊しても意味はない。研究所の中でも重要な施設を確実に破壊すべく、精鋭の爆撃手は瞬きを一瞬たりとも許さず、いかにも重要そうな建物に照準を絞った。ノルデン爆撃照準器を国産化して更に改良した物は極めて優秀である。




「5…4…3…2…1…投下ぁ!」




 一番機が投下して二番機と続いていった。今回のために赤外線誘導式のセキ号爆弾が開発されている。元々は対艦攻撃用に開発された誘導爆弾だ。敵艦を捉えることができれば対地にも活用できるはず。赤外線シーカーの精度を高めている。少しの熱源に吸い込まれる過敏から強弱を見分けられるように進化した。これにより高精度の爆撃を可能とするが、重量は大いに嵩んで可動翼も大型化してしまい、重爆撃機でも運用は数発に限られている。富嶽は1機あたり5発まで携行できた。性能を維持しつつ小型化することが課題である。民間企業を抱き込んで鋭意改良に励んでいた。




 母機から離れると暫くは自由落下である。さすがに高高度から熱源を見分けることは不可能で風に身を任せた。一定高度に到達すると赤外線シーカーが起動して索敵を開始する。研究所なだけはあって熱源は数多も存在した。その中でも強力な熱源へ向けて可動翼が動き始める。グルグルと回転する様子は面白いが先端技術の塊と働いた。




「全機投下を完了しました!」




「よし、あとは逃げるだけ…」




「逆探感あり! 敵機です!」




「さすがは秘密研究所だな。はやい」




「敵機目視できます! 黒い!」




「夜間戦闘機というわけだ。どれ、遊んでやろう」




「さぁ、来やがれ。アメリカ野郎が」




 電子戦の中で逆探が微かなレーダーの電波をとらえる。それが災いしてか敵機を直下に視認した。こちらが視認したということは敵機も視認している。夜の目に優れた者は塗装が黒色まで見通した。敵機は夜間戦闘機と断定するが双発の重戦闘機らしい。ジッと目を凝らしていると敵機の上部に変な物体があるとわかった。機銃手が正確に報告する。




「敵機は斜め機銃! 斜め機銃を持っている!」




「まずい。潜り込まれては振り払えない」




「任せてくださいっての!」




 ドドドドドドドドド




 20mm防護機銃が火を噴いた。機体下部を担当する者が遠隔操作の銃座を動かす。長銃身の20mm機銃は高初速で狙い易かった。曳光弾が綺麗な弾道を描いている。敵機はすかさず回避機動を採った。重戦闘機にしては軽快である。その性能はもちろん手練れのパイロットと理解した。富嶽隊は通信の封印を解いて連携射撃を開始する。




「どうせ捨てる弾薬だ! 使い果たせ!」




「とろいなぁ! アメリカの戦闘機ってのはぁ!」




「3番機ぃ! 潜り込まれるぞ!」




「任せろやぁ!」




 各自が補う動きだ。斜め機銃らしき曳光弾が掠める。幾らか被弾するも軽量ながら強度の高い外板が耐えてくれた。エンジンなど主要区画は自動消火装置を完備して火災対策もバッチリ。高高度は湿度が低いため消化し辛く炭酸ガスを採用した。




「ええい! こうなっては非常手段だぁ! ジェットだけじゃねぇ! ロケットォ点火ぁぁ!」




「いくぜぇ!」




「おいていかれてはならん! こっちも点火しろぉ!」




 敵重戦闘機と遊んでいる暇は1秒もない。ジェットファンエンジンを最大出力に引き上げるだけでは不足した。外付け式のロケットも点火しよう。やはりロケットこそ全てを解決するのだ。燃焼を外部に頼らず内部で完結するため高度は関係なく最大出力を発揮する。その爆発的な加速を以て巨体に似合わぬ動きを見せつけた。あまりの加速力に座席に抑え付けられる。




 富嶽の迎撃に上がってきたP-61の群れは有効打を与えられなかった。巨人機がロケットの炎を噴射して離脱していく。そんな様子を眺めているしかできなかった。あまりの出来事に悪態を超えて感嘆の超えて漏れる。




「あんな爆撃機があるかよ…」




「おい! ロスアラモス研究所が燃えているぞ!」




「くそ! 守れなかったか!」




「あそこは危険物があると聞いた! 下手すりゃ爆発する!」




「予備飛行場に向かうんだ! 命を守れ!」




 高高度からもわかるほどに大地が燃えていた。セキ号爆弾は大型化と大重量化による炸薬量の減少を高品質で解決する。日本の火薬に関する技術力は意外にも高かった。少量でも驚異的な破壊を敢行する。さらに、徹甲弾を参考にした高貫徹力のおかげでコンクリートを貫通して内部で炸裂した。この日ロスアラモス研究所は大事故に見舞われる。




続く

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