表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

151/156

第151話 原子爆弾製造を食い止めろ!【前編】

アリューシャンの寒さは身に堪える。さすがに外での訓示はできなかった。各機が無線を繋いでいる。富嶽隊は北海道とアリューシャンを拠点に米本土空襲を幾度か行った。西海岸を射程圏内に収めている。最終目標とロスアラモス爆撃が命ぜられた。




「この作戦はアメリカが製造している世界終末の兵器を断つ。したがって、極めて難易度が高い。お前たちは選りすぐりどころじゃない。その腕前に期待された。富嶽は特製品だ。爆弾も自律誘導弾を使っている」




 ニューメキシコ州ロスアラモスに向かうに航続距離が足りない。打撃力を削ることが最も簡単だが爆弾は減らせなかった。エンジンの強化を尽くすが栄寿は完成されている。したがって、特注品の富嶽が製造されてジェット気流の自然を用いるなど日本の技術と学問の粋をかき集めた。




「機銃まで減らしている。敵機に見つかれば逃げるだけだが、攻撃は必ず行わなければならず、最悪は機体もろとも突っ込むぞ。よいか、生きて帰ろうなどと思うな。我々は世界を救うために死を選んだ」




 ロスアラモスの原子爆弾研究所爆撃作戦は4機の富嶽と44名の兵士から構成される。44名は陸海軍問わず爆撃機乗りの精鋭が集まった。海軍のT部隊や陸軍の満州飛行隊も含まれる。各員が自身の専門分野を徹底的に磨いた。ロスアラモスに向かうことは絶対に漏らしてはならない。基地から一歩も出ることは許されなかった。ただひたすらに訓練に興じる。




 彼らのために富嶽は正規量産型を素体に大規模な改造が行われた。まずは機体の軽量化の一環に余分な機銃を撤去する。防護機銃と弾薬を減らすことで数十キロの削減を得た。超高高度飛行により敵機の追従から逃れる。ロスアラモスに入る前は電波欺瞞紙を撒いた。間接的な防御を充実化して穴埋めを試みた。しかし、これでも足りないと見て富嶽の先行生産型から1機を抽出して電子支援機を製造する。




「遺書はお国が責任を持って送り届ける。生きても死んでも補償金が出る。安心して飛ぶんだ」




 ちょっとした小粋なジョークで笑いが起こった。




 このぐらいがちょうど良い。




「それでは発進する。二度と帰ってこれないかもしれない。よく目に焼き付けろ」




 アリューシャン基地の兵士たちが総出の見送りをしてくれた。こんな強風で寒い中でも見送りは自主的に行われる。基地司令官は直立不動で敬礼していた。彼が死地へ向かわせる故に自分の体調は気にしない。もし風邪を引いても「私が厄を吸い取った」と笑った。




 栄寿のターボプロップが甲高い金属音を奏でる。住友金属が開発した新合金のおかげで出力は約5200馬力まで発揮できるようになった。物理学者の助言を受け入れて効率も向上する。それでも航続距離が足りなかった。外付けの落下式増槽を装備すると適当なタイミングで放棄する。今日は一段と風が強いが上手く揚力を得られた。安心と信頼のロケットを点火して猛烈な加速を見せる。その巨体に似合わぬ綺麗な離陸は大日本帝国の技術力を象徴した。




 富嶽隊が離陸のために使用したロケットは安全なところで切り離す。島上空で落とすと事故の恐れがあって海洋投棄が適当だ。海の資源を守れなど言われそうである。世界規模の戦争をしておいて今更と返した。原子爆弾という自然破壊兵器を潰す方が自然保護と言い張る。




「高度1万2000を飛行する。アラスカの電探から逃れる。与圧は聞いているな」




「了解しました」




「与圧装置は正常です。問題ありません」




「まさに快適そのもの。飛行服がいらんです」




「着ておけ。故障時は電熱服だからな」




「電熱服は着ると蕁麻疹が出ます。どうにかならんのですか」




「俺に言うな」




 順調に高度を上げていった。アラスカが目の前でレーダーや哨戒機に引っかかるために迂回しながら上昇を続ける。栄寿の5200馬力と四枚が二組の二重反転プロペラが強引に押し上げた。上昇用のロケットは持ち合わせていない。それは小型で軽量のインターセプターに優先された。その代わりと言ってはだが、彼らは世界初のターボファンエンジンを装備し、一定高度に到達次第に点火する。




「そろそろだ。ターボファンエンジンを点火するんだ」




「了解。ネ330点火ぁ!」




「さぁ、グイッと行くぞ」




 ジェット気流に合わせるはターボファンエンジンだ。ターボジェットの高速性能は圧倒的だが燃費は劣悪を極める。戦闘機と攻撃機、高速爆撃機には十分だが、戦略爆撃機のような長時間で長距離を飛行するには不十分とされ、連山の後継機や富嶽の正規量産型の補助的な利用に限定された。戦後世界の民間旅客機構想からも低燃費だが高速のジェットエンジンが求められる。




 種子島少佐と三菱、日立、萱場、石川島、帝立工業大学が連携してターボファンエンジンを開発した。仮称『ネ330』と呼ばれる。本作戦のために逸品が納入された。日本は職人技の逸品ならば高品質を用意できる。あまりに非効率的だがロスアラモス爆撃は一度限りだ。ネ330は極初期の割に完成度は高い。低速域で良好な燃費を発揮した。栄寿と組み合わせると最速700キロも夢でない。しかし、一気に燃料を食らう以上は緊急時以外に使用しなかった。あくまでも、高高度を飛行する際の補助に過ぎない。これが主翼に半分を埋める格好で4基が吊り下げられた。したがって、本機は10発機と言うことができる。




「米本土に入ればいつ迎撃を受けるかわからない。米陸軍は新型の重戦闘機を投じた。噂によれば排気タービン式過給機やロケットを装備して高高度まで来れる上に電探を装備している。地上に限らず空中にも電子の目が開かれた」




「空にも目ありってか」




「お前は黙っていろ」




「へい」




「ロスアラモスの爆撃は高度8000を予定する。我々が高高度から安全に攻撃できるよう赤外線誘導弾を開発してくれた。よく感謝することを忘れてはならない。いいか、我々は多くの犠牲の上に飛んでいた」




 富嶽の特殊作戦仕様は究極的な戦略爆撃機だ。与圧装置を完備して各種レーダーと逆探警報装置、自動操縦システム、航法補助装置、寝台など全てが揃う。搭乗員は快適に過ごすことができた。これも官民問わず関係者の不断の努力による。過労で倒れて病室から計画に参加する者までいる始末で数多くの献身に支えられた。




「野中隊長…」




「なんだ?」




「いつも思うんです。あれでよく飛べると思いませんか?」




「俺も信じられないが飛べるらしい。それもコイツより速いんだ」




「速いんですか!?」




「そりゃ爆弾も機銃もないからな。軽けりゃ速いだろ」




 彼らの前を1機の富嶽を飛行する。防護機銃を持たない以前に機体上部に大型の円盤を装備した。なんだあれはと驚くが電子兵装と説明される。生粋の爆撃機乗りには何が何だか理解できなかった。機内は電子機器が詰め込まれて専門の人員が操作する。これにより強烈な電子妨害を展開することができ、最大出力を出せば複数空域を潰す程に強力だが、周辺の味方も巻き込まれてしまった。その運用は細心の注意が必要である。




 今回はロスアラモス周辺のレーダーを無力化して迎撃を著しく困難にさせた。富嶽隊は旧来の光学的な爆撃を行う際に自律誘導式の特殊爆弾を投下する。ズレていても爆弾自身が修正してくれた。ロスアラモスの研究施設を完膚なきまで破壊することは不可能である。さらに、石原莞爾の命により適度に破壊することが付け加えられた。彼の意図は読めないが戦後世界を見据えていることは間違いない。




「アメリカの秘密を暴いてやろうじゃないか」




続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ